こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、暗記が苦手みたい…
特に歴史が覚えられない…
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では…
- 効率的な歴史の勉強方法
がわかります。
社会の中でも大きな比重を占める「歴史」の勉強方法を考えていきましょう。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
歴史の勉強方法の「全体図」
歴史の勉強法をくわしく見ていく前に、歴史学習の「全体像」を確認しておきましょう。
歴史の学習は…
- ストーリーを理解する
- 写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す
- アウトプット暗記法
- 総合問題でアウトプット
の4つだと、私は考えています。
それでは、1つずつくわしく考えていきましょう!
1.ストーリーを理解する
まず、歴史の学習において、優先しなければならないことは「ストーリーを理解する」ことです。
歴史には、古代から現代にいたるまでの「ストーリー」があります。
そういう意味では、国語の物語文の読解に近いものがあります。
物語文の読解と同じように、歴史においても「登場人物」と「できごと」を把握することが先決です。
そう言われたらそうやな
つまり、誰が登場して、どんなできごとが起こったのか、理解することが大切ということですね。
例えば、鎌倉時代であれば…
鎌倉時代のストーリー
・源頼朝が征夷大将軍に任命されて、鎌倉に幕府を開く
=武士の政治の幕開け
↓
・しかし、源氏の支配は3代で終わり、頼朝の妻・政子の家族である北条家が権力を握る
=執権政治
↓
・武士の政治をよく思わない後鳥羽上皇が反乱を起こす
=承久の乱
↓
・北条政子が御家人たち(武士たち)を団結させ、後鳥羽上皇は隠岐へ島流し
=京都の朝廷を見張る六波羅探題の設置
このように、誰が何をしたのかを中心に学習すれば、歴史の流れを理解しやすくなります。
細かい知識を、ストーリーに肉付けしていきます。
また、ストーリーには必ず「因果関係」があります。
【原因】なぜ?
【結果】だから
を理解しながら歴史を学ぶと、歴史の内容が覚えやすく、そして、忘れにくくなります。
2.写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す
歴史の勉強方法のコツの2つ目は、「写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す」ことです。
例えば、源頼朝の絵を見て…
けっこうイケメンやな
と思うだけでも、男前将軍として、記憶に残るでしょう。
また…
あれ?
武士やのに、貴族みたいな服装してるやん
と疑問に思えば、結局は権力を握ると、豪華な衣装を着たくなるのだとわかります。
北条政子の像を見て…
お坊さんみたいやな
と思ったならば、正解ですよね。
出家して、「尼将軍」と呼ばれていたわけですから。
このように、写真やイラストを併用して歴史を学ぶことによって、脳に印象付けて覚えることができます。
フランシスコ・ザビエルはみんな忘れませんもんね
3.アウトプット暗記法
歴史の勉強方法のポイントの3つ目は、「アウトプット暗記法」です。
「アウトプット暗記法」とは…
頭に知識を入れるインプットではなく、頭から知識を出すアウトプットを中心にして、知識を覚える方法です。
テスト本番で点数を取るには、知識を頭から出せる状態にしておかなければなりません。
テストって、頭から知識を取りだす作業ですから
そういう意味では、知識を頭に入れる、つまり、インプットするだけでは不十分なのです。
算数や数学でも、先生から習って「わかる!」の段階で止まっていては、実際のテストでは解けるとは限りませんよね。
自力で「できる!」という段階まで、トレーニングしておかなければなりません。
同様に、社会でも、「自力で解ける!」というレベルまでトレーニングしておく、それが「アウトプット暗記法」です。
「アウトプット暗記法」は具体的には…
- テキストの「一問一答」を解く
- 暗記ペン・暗記シート(下じき)を使う
という2つの方法を使うのがスタンダードです。
もう少しくわしく見ていきましょう。
アウトプット方法1.テキストの「一問一答」を解く
1つ目の「アウトプット暗記法」は、テキストの「一問一答」を解くことです。
「一問一答」とは…
〔問4〕1858年に江戸幕府がアメリカと結んだ不平等条約を何といいますか。
〔答え〕日米修好通商条約
というような、問題と答えが1対1対応の基本問題のことです。
多くの社会のテキストの構成は、まず解説ページで重要事項を説明します。
そして、その解説ページで学んだ内容を整理するための「一問一答」のページが載っていることがほとんどです。
さらに次のページでは、基本問題や標準問題、応用問題などの練習問題が続きます。
宿題として、解いておしまい!
まちがった問題がは、答えを写して終わり!
というもったいないテキストの使い方をしていないでしょうか?
この「一問一答」のページをまずはしっかりと覚えることで、公開テストや入試問題などの総合問題での得点が違ってきます。
「一問一答」の使い方は…
- 授業・板書ノート・解説ページで「ストーリー」を理解しておく
- 解説ページや答えを見ずに、すらすら答えが言える
- 解説ページや答えを見ずに、すらすら答えが書ける
という流れがベターです。
さきほど、ご説明した通り、丸暗記に頼ってしまうのはよくありません。
きちんと歴史というストーリーを理解しておくことが大前提です。
ですので、授業では、塾の先生が話す歴史のストーリーをしっかりと追うようにしましょう。
また、宿題の際には、板書ノートやテキストの解説ページで、歴史のストーリーを復習しましょう。
次に、解説ページや答えを見ずに、「一問一答」の答えをすらすら「言える」ようにします。
この段階では、「言える」だけで大丈夫です。
漢字が書けなくても構いません。
え?
漢字を書けなくてもいいん?
漢字の練習は後回しでOK。
用語を覚える作業と、漢字を練習する作業は分けましょう
歴史用語でつまずいているのか、漢字でつまずいているのかを分けて考えなければなりません。
「武家諸法度」って書けるけど、読めない…
結構そういう小学生・中学生は多いんです。
読めない漢字は、知識として定着しにくいものです。
英単語でも、読み方がわからない単語、意味を知らない単語は、つづり(スペル)を覚えにくいですよね。
そして、「一問一答」の答えをすらすら「言える」ようになったら、今度は漢字を「書ける」ようにします。
最終的に「解説ページや答えを見ず」に、一問一答が解けるように仕上げましょう。
答えを見ずに、「自力」で解けることが重要です!
一問一答形式が終わったら、次の練習問題に取り組みましょう。
解ける問題がずいぶん増えているはずです。
アウトプット方法2.暗記ペン・暗記シート(下じき)を使う
「アウトプット暗記法」の2つ目の方法は、暗記ペン・暗記シート(下じき)を使って覚える方法です。
暗記ペンとは、オレンジ色やピンク色のペンです。
暗記シートとは、濃い赤色のシートです。
暗記ペンで書いた文字を、暗記シートでかぶせると、保護色で見えなくなるという方法ですね。
(暗記シートは赤い下じきで代用できます)
このグッズにお世話になった、お母様・お父様も多いのではないでしょうか?
暗記の定番やな
暗記ペン・暗記シートを使えば、どんなテキストも、ノートでさえも、暗記教材に早変わりさせることができます。
例えば、先生が黒板(ホワイトボード)に書いた赤文字を、ノートに写す際に、暗記ペンで書いておきます。
また、テキストの一問一答を解き始める前に、授業の復習として、解答欄に暗記ペンで先に答えを写しておきます。
あるいは、自分オリジナルの暗記ノートを作ることも可能です。
私は生徒手帳をオリジナル暗記ノートにしていました
暗記ペンで書いてしまえば、あとは暗記シートで隠して、暗記を徹底するだけです。
暗記シートで答えが「言える・書ける」ということは、テスト本番も答えられるということですね。
4.総合問題でアウトプット
歴史の勉強方法の最後の行程は、「総合問題でアウトプット」です。
ここまでは時代別の学習で、知識を頭に定着させてきました。
しかし、実力テストや入試問題では、時代を明示して、単元別に出題してくれることはありません。
つまり、総合問題では「何時代なのか?」を自分で見極めなければならないのです。
時代をごちゃ混ぜにされると困るねん
入試問題では、時代の「並びかえ問題」が出題されます。
例えば、大阪府南部の難関校・清風南海中学校の社会の入試問題では…
次の文Ⅰ~Ⅲを年代を古いほうから順に並べたものとして正しいものを、あとからア~カのうちから1つ選び、記号で答えなさい。
というように、時代の並びかえ問題が、例年出題されます。
他の中学校や、高校受験においても同様です。
時代の流れをきちんと理解していなければ、解けないようにできています。
また、総合問題を解くことによって、自分の苦手な事項をあぶりだすことができます。
覚えたはずなのに忘れてた…
この時代、もしかしたら苦手かも…
各時代の練習問題を解いているときには見えていなかった、自分の弱点が総合問題を解くことで見えてきます。
入試問題の過去問演習をこなしながら、苦手分野をつぶしていく、忘れていた内容を覚え直していく…
また、過去問演習を通して、その学校でよく出題される時代や単元の傾向をつかんでいくことも大切です。
弱点=のびしろ
やで
やってはいけない歴史の勉強法とは?
ここまで、効率的な歴史の勉強方法を紹介してきました。
ここで、「やってはいけない勉強方法」もご紹介しておきます。
「やってはいけない歴史の勉強法」は…
- 単なる丸暗記に頼ってしまう
- 文字だけのテキストで勉強する
- 形だけの「だけ勉」
の3つです。
1つずつくわしく見ていきましょう。
NG勉強法1.単なる丸暗記に頼ってしまう
「やってはいけない勉強法」の1つめは…
単なる丸暗記に頼ってしまう
ことです。
どうしても目先のテストで点数を取るためには、「暗記」することが必要になります。
そこで、その時代の人物やできごとを、とりあえず丸暗記してしまうわけです。
心当たりあるわ…
きっと、範囲が決められたテストでは、点数が取れるでしょう。
しかし、単なる暗記に頼ってしまうと、後で大きなしっぺ返しをくらうことになります…
それは…
- 時代の流れがわからなくなってしまう
ということです。
言い換えると、単なる丸暗記に頼ると、複数の時代がまたがった、実力テストや入試問題などの総合問題では、点数が取れなくなってしまうということです。
摂関政治を習ったけど、何時代だっけ?
後醍醐天皇って何したっけ?
このように、頭の中で、時代の整理ができていないお子様は多いものです。
そのようなお子様に共通するのは、時代の流れ、つまり、「因果関係」を理解していないということなのです。
決して、その子たちはサボっているわけではありません。
むしろ、きちんと1つ1つの歴史用語は暗記しているのです。
それなのに、「歴史が苦手!」と苦しんでいるのです。
なんだかもったいない、というか、何か変ですよね…
せっかく覚えたのに、すぐに忘れて得点につながらないと、イヤになりますよね
そうならないためにも、単なる丸暗記だけに頼らずに、ストーリー(因果関係)を理解して、歴史の流れをつかんで、歴史の勉強に取り組むことをオススメします。
NG勉強法2.文字だけのテキストで勉強する
「やってはいけない歴史の勉強法」の2つめは…
文字だけのテキストで勉強する
ことです。
ビジュアルで勉強するって大切やったもんな
写真やイラストには、著作権・肖像権などの権利が関わります。
すると、その写真やイラストを使うときに、使用料がかかるわけです。
いくら大手塾が良いオリジナルのテキストを作りたいとは言え、コストはできるだけ抑えたいですよね…
そうなったときに、塾や教材会社の教材では、写真やイラストをあまり使わない、文字・文章が中心の教材ができあがってしまうことがあります。
実際、私自身がプリント教材を作るときにも、勝手に画像が使えません。
その結果、どうしても文字・文章中心のプリント教材となっていまいます。
もっと鮮やかな教材を作りたいんですけどね…
そこで、おすすめしたいのが…
学校の教科書・資料集
です。
学校の教科書・資料集を活用しよう
学校の教科書・資料集をあなどっていませんか?
お母様・お父様よりも、お子様本人の方が、学校の教科書・資料集を軽視してしまいがちです。
学校の教科書なんている?
塾のテキストの方がくわしいやん
このように考えている子どもたちも多いものです。
確かに、塾のテキストの方が、学校の教科書よりも、入試で出題されるような詳しい情報が書かれています。
それに、問題数も充実していて、力を付けることには、塾のテキストの方が向いているでしょう。
しかし、学校の教科書・資料集は、さきほどご紹介した、ページをめくるたびに、たくさんの写真やイラストが掲載されています。
写真やイラストをからめて覚えた学習は、歴史の暗記をサポートしてくれます。
実際、多くの学校の入試問題では、地図や写真を見て、考えさせ、答えさせる問題が出てきます。
その場合にも、きちんと写真やイラストを使って学習していれば、特別な対策をしなくても入試問題に対応できます。
百聞は一見に如かず
やな
また、写真やイラストだけでなく、教科書を読むメリットはもう1つあります。
それは、前項でご紹介した「ストーリー」が教科書には書かれていることです。
塾のテキストは、重要なことを生徒たちに伝えるために、歴史用語を箇条書きしていることがよくあります。
確かに、整理されていて見やすいのですが、ともすれば、歴史用語の「羅列」になってしまいます。
でも、学校の教科書ならば、ストーリーが文章で書かれています。
ですので、教科書の文章を読めば、歴史のストーリーを追いやすくなっています。
学校の教科書を読むと、意外な発見がありますよ
しかも、学校の教科書は、重要な用語にしぼって、文章に入れ込んでくれています。
つまり、歴史の「幹」を形作るのに、学校の教科書は適していると言えます。
逆に、塾のテキストは、歴史の「枝」を網羅してくれていると言っていいでしょう。
このように、学校の教科書と塾のテキストには、それぞれメリットがあります。
お互いのメリットを活用しながら、歴史の勉強をすれば、より効率的な学習ができますね。
NG勉強法3.形だけの「だけ勉」
「やってはいけない歴史の勉強法」の3つ目は…
形だけの「だけ勉」
です。
「だけ勉」というのは、私の造語で「形だけ」している効率の悪い勉強法です。
- ノートはカラフルで美しく書くだけ…
- テキストを眺めているだけ…
- テキストの内容をノートにただ写すだけ…
- 重要な用語にマーカーで線を引くだけ…
- 答えを写すだけ…
う…
心当たりあるわ…
確かに何もしないよりはマシかもしれません。
ただ、「だけ勉」では、成果は出ないでしょう。
なぜかは、もうお分かりですね。
「だけ勉」は、一切アウトプットをしていないからです。
私が担当する生徒が、「だけ勉」をしていたら、すぐに止めます。
小学生に限らず、中学生・高校生もです。
暗記とは「インプット」を意味しますが、さきほどご紹介した通り、実際には「アウトプット」を土台に考えなければなりませんね。
勉強方法から身につけたい場合には、勉強方法に精通した家庭教師などを利用するといいでしょう。
正しい方法で、暗記することを心がけましょう。
まとめ:歴史の勉強方法
歴史の勉強法のコツや、やってはいけないNG勉強法をご紹介してきました。
社会は、努力した分、点数が上がりやすい「おいしい教科」です。
点数が安定しやすい社会は、入試本番で頼もしい味方になってくれるでしょう。
だからこそ、効果が出る正しい方法で勉強し、楽しみながら学んでほしいと、私は思っています。
ご家庭で「社会の勉強がはかどらない…」という場合には、家庭教師などを利用するといいでしょう。