こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
関西の中学受験について、関東にお住まいだったかたにビックリされたことがあります。
それは…
関西の中学受験って、3教科で受験できるんですね
ということです。
全国では算数・国語・理解・社会の4教科、あるいは、算数・国語の2教科での中学受験が一般的です。
しかし、関西圏の中学受験では、社会を除く、算数・国語・理科の3教科受験が増えています。
今回の記事では…
- 3科受験のメリット・デメリット
がわかります。
社会を捨てるかどうかを悩まれているご家庭は多いですよね。
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を書きました。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
関西圏の中学受験塾の昨今の実情
関西でも、かつては4教科必修という塾がほとんどでした。
つまり、塾に通うには、算数・国語・理科・社会をすべて受講するのが基本でした。
しかし、関西圏では3教科で受験できる中学校が増えたため、「教科選択制」を導入する中学受験塾が増えてきました。
特に多いのが、算数・国語・理科が必修3教科で、社会が選択制というシステムです。
社会いらんの?
あとで説明するから、ちょっと待ってね
私が塾講師として勤めていた塾でも、もともと4教科か2教科という選択制でした。
算数・国語だけで受験できる女子校志望の女の子だけが、2教科を選択していました。
もちろんほとんどの生徒が4教科を受講していました。
でも、多くの中学校が3教科で受験可能になってからは、私が勤めていた塾も3教科、つまり、算数・国語・理科をメインにして、社会を選択制に切り替えざるを得ませんでした。
私は国語と社会の授業を担当することが多かったのですが、国語の授業が終わると、社会を選択していない生徒たちは帰ります。
そして、閑散とした教室に中で、社会の授業をスタートするのです。
先生、社会って人気ないなぁ
社会だけ人数少ないから、先生の給料減るんちゃうん?
と好き勝手なことを言う生徒たち…
広々と教室を使えるからええやんか!
と虚勢を張る私…
他の中学受験塾でも同様です。
中には、4年生の間は、プロ講師の映像授業が配信されて受講するという塾もあります。
それほどまでに社会は「4教科目」扱い…
中学受験塾にも、そして、ご家庭の中でも、社会は軽んじられています。
関西圏中学受験で3教科受験をするメリット
それでは、関西圏の中学受験において、社会を捨てて3教科受験をするメリットとは何でしょう?
それは…
勉強の労力を3教科に集中させることができる
この1点に尽きます。
算数・国語・理科・社会の4教科を学習しようとすると、労力を4つに割かなければなりません。
でも、算数・国語・理科の3教科にしぼれるのであれば、労力を3つに集中させることができます。
労力の代表が「時間」です。
時は金なり、やな
受験生の毎日は超多忙です。
平日は朝から小学校に登校し、学校が終われば塾です。
塾がない日も、塾の宿題をしなければなりません。
土曜日や日曜日も、公開テストや志望校別特訓授業で通塾することになります。
入試が近づいて来れば、過去問演習をして、入試対策もしなければなりません。
そんななか、貴重な勉強時間を3教科に注げるのは、かなり有利です。
4教科受験を目指している生徒が社会を学習している間に、3教科受験を目指している生徒は、他の3教科に時間をまわすことができますから。
本来なら社会に充てるべき時間で…
算数・国語・理科の苦手を克服できるかもしれません。
復習や入試問題の演習に時間を割けるかもしれません。
社会を捨てたほうが、うちの子の負担が減るかも…
お母様・お父様がそう考えるのもうなずけます。
また、「体力・精神力」も貴重な労力です。
関西圏の中学受験は、統一入試日を皮切りにいっせいにスタートします。
午前入試・午後入試をこなし、数日間のうちに何校も受験する短期決戦です。
そのような過密スケジュールの入試では、やはり3科と4科では、体と心への負担が違ってきます。
もし、午前入試で3科受験だった場合には、余裕を持って午後入試の会場に向かうことができます。
翌日の入試に向けても、体力と精神力を温存しておけるかもしれません。
このように3教科に的をしぼることによって、お子様の負担を軽減してあげることができます。
じゃあ、3教科にしぼった方が絶対お得やん
うーん、実はデメリットもあるで。
これから説明するわな
もちろん最難関の灘中学校や甲陽学院中学校は、もともと3教科受験の学校です。
算数・国語・理科でしか受験できない学校を受験する場合には、そもそも社会は不要です。
関西圏中学受験で3教科受験をするデメリット
では、関西圏中学受験で3教科受験をする、つまり、社会を捨てるデメリットは何でしょうか?
それは…
- 1教科で失敗すると、他の2教科でカバーするのが難しい
- 中学入学後には、一から社会の勉強をしなければならない
それぞれくわしく見ていきましょう。
1教科で失敗すると、他の2教科でカバーするのが難しい
3教科受験するデメリットの1つ目は、入試本番のリスクです。
例えば、入試本番に国語で失敗して点数が振るわなかった場合、算数と理科の2教科でその失敗をカバーしなければなりません。
また、3教科で受験した場合、4教科受験した受験生との合計点をそろえるために、3科の合計点が補正されます。
例えば、大阪府にある清風中学校では、次のように計算し、合否を決定しています。
<4教科型>
算数120点+国語120点+理科80点+社会80点=計400点満点
<3教科型>
(算数120点+国語120点+理科80点)×1.25=計400点満点
このように3教科の合計点320点を1.25倍して、400点満点にそろえたうえで点数比較を行っています。
(※2024年度入試までの場合。くわしくは清風中学校ホームページをご覧ください)
この「×1.25」というのが、ポイントになります。
もし入試本番にうまく得点できた場合には、その良い点数が1.25倍されるので問題ありません。
でも、もし失敗して点数が低く出てしまった場合には、その悪い点数も1.25倍されてしまいます。
確かにリスキーやな
一方、社会を使って4教科受験した受験生の場合には、1教科にかかるリスクを低減することができます。
もし仮に、先ほどと同じように国語で失敗したとしても、他の算数・理科・社会の3教科で挽回可能です。
1.25倍という補正もありません。
また、3教科受験の場合には、理科の得点が低かった場合には、理科の点数をバッサリ切ってもらえます。
そのかわり社会の点数で判定してもらうことが可能です。
このように、社会を捨てて3科受験すると、入試本番のリスクが上がります。
緊張して何が起こるかわからない入試本番のリスクは、かなり大きいものです。
特に小学生は幼いので、本番に何が起こるのかわかりません
4教科受験のメリット・デメリットについては、こちらの記事をどうぞ↓
中学入学後には、一から社会の勉強をしなければならない
社会を捨てて、3科受験するデメリットの2つ目は、中学に入学した後のリスクです。
中学入試は3教科で切り抜けられたとしても、中学に入学してからは社会から逃れることはできません。
すぐに地理と歴史の授業はスタートし、ゴールデンウィーク明けにはすぐに中間テストがやってきます。
中学受験の勉強として社会を勉強していなかった場合には、一から社会を勉強し直す必要があります。
中学に入ると、数学は正負の数に突入し、新しく本格的な英文法の学習が始まります。
少しでもそちらに時間を回したいところですよね。
しかし、中学受験のときのように、社会を捨てて3教科にしぼることはできません。
むしろ中学に入ると、私立中学校では、英語A、英語B、数学代数、数学幾何、生物・化学・物理・地学というように細分化されて科目が増えます。
もちろん社会も、地理・歴史・公民に分かれて、定期テストの科目も公立中学校の2倍ほどになります。
あとでツケが回ってくるんか
一方、中学受験で社会を勉強していた場合には、小学校社会の内容に付け加える形でインプットすることができます。
その分、社会以外の科目に労力を割くことができるでしょう。
また、大学受験においても国公立大学を受験する場合、結局は社会を勉強しておかなければなりません。
このように、中学受験時代に労力を3教科にしぼりこんだ結果、中学に入学してから余計に労力が必要になるというケースもあります。
だから中学受験が終わってから、家庭教師を使って、急ピッチで社会の学習をするご家庭もあります。
結局、3教科受験と4教科受験どちらがいいの?
4教科受験の生徒がもし3教科にしぼっていたら、算数・国語・理科の成績がもっと向上していたか?
タラレバの仮定なので、この成績を計測することは不可能です。
もしかしたら、社会に注いでいた労力を3科に集中すれば、もっと3科の力がついていたかもしれません。
あるいは、社会を勉強していたからこそ、算数・国語・理科にも良い影響を与えていたのかもしれません。
ですので、3教科受験と4教科受験とでは、どちらがいいのかという質問に対し、一般解を出すことは困難です。
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もし急に中学受験することになって、入試まであまり時間がない場合は、3教科受験にせざるを得ないでしょう。
一方、入試まで比較的時間がある5年生以下の場合や、社会を勉強しておくのはオススメです。
また、社会が得意という場合には、4教科受験したほうが得策でしょう。
つまり、3科受験するか、4科受験するかは、ケースバイケース。
そのお子様の状況、ご家庭の方針によっても変わってきますね。
ただ、3教科受験をするにしても、4教科受験するにしても、きちんと納得しておくことが大切です。
3教科にしぼるって学習する場合には、お子様もお母様・お父様もその覚悟をしなければなりません。
受験が終わってから…
やっぱり4教科にしておけばよかった…
と後悔するのは、最も避けたいことです。
4教科受験する場合にも、社会を勉強するからには、覚悟を持って社会の学習に取り組まなければなりません。
受験が終わってから…
やっぱり3教科にしておけばよかった…
と後悔するのも、最悪です。
社会を勉強しておいて、6年生の春から夏頃に、社会に見切りをつけるのはアリですよ
まとめ:【関西圏中学受験】3教科受験のメリット
中学受験の勉強コストだけを考えた場合、3教科受験の方がいいような気もします。
ただ、入試のシステムや、中学校に入学してからのことを考えると、社会を勉強しておく方が最終的にはコスパはいいかもしれません。
ご家庭によってケースバイケースですが、納得のいく選択をなさってくださいね。