こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、「深海魚」になりそう…
どうしたらいいの?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 中高一貫校の「深海魚」とは
- なぜ「深海魚」になってしまうか
- 「深海魚」にならないためにすべきこと
がわかります。
せっかく中高一貫校に合格・進学できたのに、「深海魚」になってしまってはもったいないですよね…
中学受験の時期からしておきたいことから、入学後にすべきことまでお伝えします!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
中高一貫校の「深海魚」とは…
最近、受験界で「深海魚」という言葉がよく聞かれるようになりました。
中高一貫校の「深海魚」とは…
中学受験をして入学した中高一貫校で、成績が低迷して上がってこられない状態
をたとえた言葉です。
小学生の頃に勉強して、せっかく中学受験して中高一貫校に入学したのに、勉強で苦労したくはないですよね…
ただ、「深海魚」という言葉が使われるようになる前から、中学受験の後、勉強しなくなってしまう子はずっといました。
でも実際、地元の公立中に進んだ同級生に、3年後・6年後に追い抜かれているのはよくある話…
また、高校生になると、いわゆる「留年」があります。
小学校の頃は勉強がよくできていたのに、高校では進級・卒業できるかの瀬戸際にいる子もいるものです…
「深海魚」になってしまう7つの理由
では、どうして「深海魚」になってしまうのでしょうか?
中高一貫校で「深海魚」になってしまうのは…
- 中高一貫校は進度が速いから
- 自走できないから
- 中学受験の「貯金」を使い果たしてしまうから
- 中学受験で燃え尽きてしまったから
- 6年一貫で中だるみするから
- 勉強以外に夢中になってしまうから
- 反抗期だから
という7つの理由が多いと、私は考えています。
掘り下げて見ていきましょう。
中高一貫校は進度が速いから
中高一貫校は、6年一貫のメリットを活かして、前倒しのカリキュラムで指導します。
もちろん大学受験に余裕を持って臨むためですね。
中学2年生で中学校内容を終わらせてしまうという私立中学校も多いでしょう。
特に数学は、ペースが速い中学校・高校は多いです。
中学受験しているから、算数の基礎はできているでしょ?
ということで、中3では容赦なく高校数学を進めるわけです…
また、私立中学校では「体系数学」や「NEW TREASURE」など、中高一貫用の教材や塾専用教材を採用します。
ですので、授業も定期テストの内容も難しい場合がほとんどです。
定期テストの試験科目も、英語A・英語Bとか多いやん
ですので、気を抜いてしまうと、一気に勉強がわからなくなってしまう子が多いんですね。
自走できないから
中学生・高校生になると、ある程度は「自律」して勉強しなければなりません。
でも、中学受験の頃は、中学受験塾やお母様・お父様が引っ張る形で勉強していました。
ですので、おとなに管理してもらわないと、自走できない子は中高一貫校でつまずきやすくなってしまいます。
おとなでも自分を律するのは難しいやん
中学受験の「貯金」を使い果たしてしまうから
自走できないとどうなるかというと、どうなってしまうでしょうか?
中学受験時代の知識が使える単元なら大丈夫なのです。
でも、中学で新しく学ぶ単元をおろそかにしてしまい、苦手な単元がどんどん増えていってしまいます。
つまり、中学受験時代の「貯金」を使い果たして、「借金」を背負ってしまうわけです…
中学受験で燃え尽きてしまったから
中学受験で合格して、燃え尽きてしまう子もいます。
塾に通い、難しい問題を解き、たくさんの時間を受験勉強に費やしてきました。
でも、志望校合格という目標を達成してしまい、目標を見失った結果、「勉強する気が起こらない…」という状態になってしまいがちです。
6年一貫で中だるみしてしまうから
中高一貫校に通うと、高校受験がありません。
高校受験を気にせずに、部活動に打ち込んだり、大学受験に向けて勉強できるメリットは大きいです。
一方、高校受験がない分、中だるみしてしまうリスクがあります。
公立中の子たちは、高校受験という目標に向けて仕上げていきます
義務教育である中学に間は、進級できるので余計に中だるみしがちです。
でも、高校になると「留年」が待っています…
中だるみの結果、高校性になって一気に窮地に追い込まれるという子はけっこう多いものです。
勉強以外に夢中になってしまうから
中学校に入ると、本格的に部活動もスタートします。
部活の練習もハードで、帰ってきたらヘトヘト、授業中はウトウト…
そんな中学生・高校生は多いですよね。
友達・先輩・後輩との関係、恋愛で、勉強が手につかなくなることもあるでしょう。
私もテニス部で朝練したあとは、授業中よく寝てました
また、中学生になったら、スマホを解禁するというご家庭も多いはず。
すると、スマホのゲームやSNS、あんなことやこんなことを検索してネットサーフィン三昧…
スマホやアプリは中毒性が高いので、依存してしまう子が特に最近増えてきています。
すると、昼夜が逆転して、学校に通えなくなったり、勉強に集中できなくなったりしてしまいます。
反抗期だから
中には、親への反抗の手段として、勉強をしなくなる子もいます。
- 中学受験のときに無理やり勉強させられていた子
- 親に決められた学校に入学した子
などに、起こりやすいでしょう。
中高一貫校で「深海魚」にならないためにすべき8つのこと
では、中高一貫校で「深海魚」にならないためには、どうすればいいのでしょうか?
中学受験が終わってからも、勉強し続けるためには…
- 中学受験がゴールではないと伝えておく
- 「勉強=苦行」にならないようにする
- 次の目標を見据える
- 中学受験の「貯金」を活かす
- 積み重ねの教科・単元は手を抜かない(抜かさない)
- 親は少しずつ手を離していく
- 部活動とスマホとは適度に距離を取る
- 予備校・塾・家庭教師を利用する
の8つです。
掘り下げて見ていきましょう。
中学受験がゴールではないと伝えておく
まず、中学受験までにできることからお伝えしておきたいと思います。
中学受験が終わって、勉強をやめてしまわないためにも「中学受験がゴールではない」と、事前に伝えておくことは大切です。
私が担当しているご家庭には、決して「ゴール」という言葉は使いません。
そして、中学受験が終わると、いつも「塞翁が馬」の話をしています。
昔、中国にとあるおじいさん(塞翁)がいました。
おじいさんが、飼っていた馬が逃げてしまいました。
でも、逃げた馬が、別の馬をつれて帰ってきます。
しかし、おじいさんの子がその馬から落ちてケガをしてしまいました。
その結果、息子は戦争に行かなくてすみました。
つまり、「何が幸せにつながり、何が災いにつながるかは予測できない」という故事成語ですね。
中学受験で第1志望の学校に合格できなくても、進学した学校でかけがえのない友人と出会うかもしれませんし、大学受験でリベンジできるかもしれません。
一方、中学受験で第1志望の学校に合格したのに、勉強しなくて留年したり、友達関係がうまくいかなくて、地元の公立中に戻ってくる子もいます。
わずか12年で人生が決まるわけがありませんよね
もちろん中学受験の結果は、子どもたちにとっては、大きなできごとです。
でも…
- 中学校に入ってから何をするか?
- どんな中学・高校生活を送るか?
これからどんな中学・高校生活を送るのかで、そのあとの人生が変わってきます。
中学受験はゴールではないと、伝えてあげてくださいね。
「勉強=苦行」にならないようにする
これも、中学受験までにやっておきたいことですが、「勉強=苦行」にはならないようにしたいものです。
- 点数が悪くてお母さん・お父さんに叱られた
- 塾の先生に机を蹴って怒鳴られた
- 体調が悪い時に無理に勉強させられた
など、勉強にイヤなイメージがついていると、中学受験から解放されると、勉強から逃げるようになってしまいます。
さきほどお伝えした通り、そこに反抗期が混ざると、反抗の手段として勉強しなくなる子も出てきます。
「勉強=楽しい」とまではいかなくても、中学受験期に勉強に対してマイナスイメージを植え付けることは、避けたいですね。
次の目標を見据える
次は、中学受験が終わってからのお話。
中学受験が終わったら、怒涛の日々から解放されます。
もしかしたら受験生本人よりも、お母様・お父様の方が放心状態かもしれません…
いったんリフレッシュして、中学受験のない日常を満喫しましょう。
でも、しっかりと休んだら、次の目標を見据えて動き出すのをおすすめしています。
せっかくついている勉強習慣は続けたいやん
ただ、いきなり「国公立大学合格!」なんて6年後の目標を立てても、遠すぎて現実味がありませんよね。
まずは、学校から課題が出るので、その宿題を進めるなど、小さなところからリスタートするといいでしょう。
また、英検や漢検など、検定の合格を新たな目標にすえるのもいいですね。
学校が始まってからは、定期テストでの点数や席次を目標するのもアリです。
中学受験の「貯金」を活かす
入学してからは、中学受験の「貯金」を活かすことを心がけるといいですね。
たとえば、社会は中学受験で、中学内容の日本地理と日本史のほとんどを学んでいます。
ですので、中学受験の頃の知識という「貯金」をやりくりしつつ、新しく学ぶ世界地理と世界史に集中すれば、中学の社会は問題なく乗り切れるでしょう。
世界史と言っても、中学内容は大したことありません
また、中学受験を経験した子は、勉強の内容以外でも大切なことが身についているものです。
勉強のやりかたや習慣、ストイックさという「貯金」もしっかりと活用しましょう。
勉強の経験がない中学生に「どうやって勉強する?」とたずねると…
教科書を読むだけ
マーカーを引くだけ
答えを写すだけ
という形だけの効果の薄い勉強方法しか、思い浮かばない子も多いんですよね。
また、勉強習慣やストイックさがなく、机の前に座っていられない子も少なくありません。
でも、中学受験を経験している子なら…
- 問題集を解く
- まちがった問題を解き直す
- テスト前に一問一答で思い出す
など、効果の出やすい勉強のテクニックを身につけているはずです。
中学生になるまで、勉強方法や習慣を意識してこなかった子たちよりも大きなアドバンテージがあります。
せっかく身につけている中学受験の「貯金」をうまく活かしていくことが大切です。
積み重ねの教科・単元は手を抜かない(抜かさない)
中学生になってから勉強で手を抜いてしまった子たちの多くが苦しんでいるのが、英語と数学です。
この2教科は、「積み重ね型」の教科だからです。
「積み重ね型」の教科というのは…
中1内容が身についていないと、中2以上の内容がわからなくなる教科
という意味です。
たとえば、英語は中1でのbe動詞・一般動詞・三単現・進行形・過去形という動詞の使い分けができないと、中2以降の文法がぐちゃぐちゃになってしまいます。
数学も、正負の数・文字式・方程式・比例反比例が身についていないと、中2以降の方程式や関数があやふやになってしまいます。
高2になってから、中1英語の復習が必要な子を担当することもあります
そうならないためにも、積み重ね型の英語と数学に関しては、手を抜かないことが大切です。
でも、子どもたち自身は、教科や単元の特徴を知りません。
ですので、まずは周りのおとなが、手を「抜かさない」ことが必要になるでしょう。
理系の学部を目指す場合には、理科も気を抜けません。
親は少しずつ手を離していく
周りのおとなが、手を「抜かさない」ことが必要だと書きましたが…
もう中学生・高校生なんだから、自分で勉強しないと!
と、感じていらっしゃるお母様・お父様も多いのではないでしょうか。
中学・高校は、お子様の勉強から手を離す時期でもありますよね。
もちろん自分を律して勉強に取り組める、自己管理できる子も中にはいます。
でも、なかなかそんな子ばかりではないですよね…
ですので、中学校が始まって、勉強が軌道に乗るまでは、お母様・お父様がサポートしてあげてはいかがでしょうか?
自分で勉強できる態勢が整ったり、後ほど書きますが、家庭教師などを利用する場合に、少しずつ手を離してあげるといいでしょう。
勉強計画表、つまり、家庭学習の時間割を作るのも役に立ちます↓
部活動とスマホとは適度に距離を取る
部活動に中には、拘束時間がとても長いクラブもあります。
運動部だけでなく、みんなと演奏を合わせなければならない吹奏楽部も拘束時間が長い傾向がありますね。
入部するときには、入部後にどんな生活になるのかを、考えておかなければなりません。
年に数日しか休みがないような、強豪の吹奏楽部もあるやん
現在、子どもたちの勉強時間と集中力を奪っているのは「スマホ」ですよね。
定期テスト期間なのに…
- SNSから手が離せない
- 友だちとずっとLINEしている
- ゲームでガチャをしないといけない
そんな中学生・高校生も増えてきています。
スマホに時間が奪われるだけでなく、昼夜が逆転してしまって、登校するのがしんどくなってしまう子もいます。
スマホがポケットに入っているだけで、集中力や効率が落ちるという研究結果も出ています。
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズは自分の子に、スマホを与えるのは慎重だったそうですね…
子どもたちの脳へのスマホによる影響について、くわしく知りたい方はこちらの本がおすすめ↓
予備校・塾・家庭教師を利用する
「深海魚」になってしまう前に手を打つなら、予備校や塾に通ってしまうのも1つの手です。
中学受験を経験している子たちは、塾で学ぶという形に慣れています。
中学受験塾の延長線上で、予備校や塾に通わせるのもアリでしょう。
私自身は「深海魚」という言葉があまり好きではありませんが…
ただ、すでに「深海魚」になってしまっている場合には、予備校や塾に通っても、わからないことが多すぎて空回りしてしまう可能性が高いです。
苦手な単元が積み重なってしまっている場合には、家庭教師や個別指導を利用するのがおすすめです。
まずは、苦手な単元を1つずつ克服して、自信をつけていく必要があります。
苦手が根深い場合には、すぐに点数は上がらないかもしれません。
でも、土台から築き直すことで、大学受験でいわゆる「逆転合格」できた子もたくさんいます。
まとめ:中高一貫校で「深海魚」にならないためにできること
中高一貫校で「深海魚」にならないための方法を、まとめてきました。
入学前からできること、入学後にできることもあります。
すでに中高での成績が落ちてしまっている子にとっては、苦しい時期が続いていると思います。
家庭教師や個別指導などの手も借りながら、ぜひ浮上できることを祈っています。