こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
突然ですが、皆さんが「中学受験をする!(させる!)」と決めた理由は何でしょうか?
「地元の中学校が荒れていて、行かせたくないから」
「知り合いが〇〇中学校に通っていて、良い学校だと聞いたから」
「〇〇中学校には鉄道研究会があるから」
などなど、様々な動機があると思います。
ちなみに私は「(知り合いの)●●くんが塾行くけど、あんたも行ってみる?」と、母に言われたことがきっかけでした。
もちろん中学受験のことなんて知らなかったですし、私立・国立の中学校が存在することすら知りませんでした(笑)
今回は、様々な「中学受験をする動機」をご紹介しつつ、「理想の中学受験とは」どんな形なのかを一緒に考えてみたいと思います。
まだ中学受験をすると決めていないかた、これから中学受験を検討されるかたの参考にもなれば幸いです。
ネガティブな動機でも大丈夫
ネガティブな理由で、受験を決意するかたもいらっしゃいます。
ネガティブな動機というのは、「〇〇したい!」ではなく、「〇〇したくない!」という動機です。
例えば…
「地元の小学校で友達関係がうまくいっていないので、そのまま地元の中学校に進級したくない!」
「地元の中学校が荒れていて、通わせたくない!」
このように、地元の中学校を敬遠するパターンです。
ネガティブな動機というのは、時として強いモチベーションを生み出します。
誰だって不快な状況からは、何としてでも抜け出したいものですよね。
特にお子様本人が、「地元の中学校には絶対に行きたくない」と考えている場合は、大きなモチベーションになります。
なぜなら、「地元の公立に入学する」という選択肢を捨てているならです。
自ら退路を断って、背水の陣で中学受験に挑んでいるわけですから、勉強にも力が入ります。
ポジティブな動機はもちろん理想的
「ネガティブな動機」は強いモチベーションを生み出すと述べましたが、「ポジティブな動機」ももちろん理想的です。
ポジティブな動機というのは、「〇〇したい!」という前向きな理由です。
例えば…
「将来お医者さんになりたいから、医学系のコースに入学したい!」
「〇〇中学校の吹奏楽部の先生に教わりたい!」
「知り合いの〇〇ちゃんと同じ中学校に行きたい!」
このように、具体的なやりたいこと・なりたいこと・憧れが、志望動機に直結しているパターンですね。
このようなポジティブな動機も、勉強への強いモチベーションにつながることがあります。
小学生が自分のやりたいことを決めて、進路を模索しているというのは、素晴らしいことです。
中学受験の主役は、受験生本人です。
受験生本人の動機を尊重してあげられるのであれば、それにこしたことはありませんよね。
お母様・お父様が主導の中学受験もアリ
さきほど、お子様がポジティブな動機を持っている場合と、ネガティブな動機を持っている場合をご紹介しましたが、お子様自身が中学受験への強い動機を持っているとは限りません。
というよりも、かつての私のように、中学受験のことも知らないし、私立・国立の中学校があることすら知らない小学生がほとんどでしょう。
その場合には、お母様・お父様主導で、中学受験を始めるというご家庭も多いはずです。
中には、おじい様・おばあ様が中学受験に積極的、あるいは、出資してくださるというご家庭もありますね。
私は保護者主導の中学受験もアリだと考えています。
「この子には公立よりも私立のほうが向いている」
「大学附属の中学校で、のびのび成長してほしい」
「少しでも良い環境で、大事な時期を過ごしてほしい」
大人が子どもに対して、選択肢を提示してあげることは大切だと、私は考えています。
また、いつも身近にいるお母様・お父様だからこそ、わが子にピッタリの環境を見つけてあげられるはずです。
小学生に見えている世界というのは限られています。
ですので、大人が「こんな世界もあるよ」と教えてあげることは必要ですよね。
中学受験を通して子どもは成長する
中学受験を目指すにあたって、注意しなければならないことももちろんあります。
それは…
中学受験を通して、子どもがたくさんのことを背負ってしまう
ということです。
中学受験をしない友達の目…
いっしょに中学受験するライバルたちとの競争…
家族からの期待…
失敗したくないという不安とプライド…
そのようなたくさんのものを小さな体で背負わなければならないのです。
中学受験を目指す以上は、お子様に目に見えない負担がかかることを、ご家族は覚悟しておかなければなりません。
(もちろんご家族にも、肉体的な負担、精神的な負担、経済的な負担がかかりますが…)
しかし、そういった負担は、お子様にとっては、必要な「試練」かもしれません。
お子様が試練を乗り越えていくことで、つまり、中学受験を通して、強くなるはずです。
むしろ中学受験は、お子様を成長させられるものでなくてはなりません。
中学受験が終わってみると、あっという間に感じるはずです。
それと同時に、ずいぶん遠くまで走ってきたようにも思えるでしょう。
きっとお子様が精神的に大きく成長したことにも気づくはずです。
子どもに背負わせてはいけないものとは?
さきほど、中学受験を目指すために避けられない負担は「試練」だと述べました。
しかし、お子様に背負わせてはいけないものもあります。
それは親の「投影」です。
例えば…
「自分が〇〇中学校に不合格だったから、子どもにリベンジしてもらいたい」
気持ちはわかります…
しかし、これは親の「期待」を通り越して、自分の人生の「投影」ではないでしょうか?
つまり、親の人生を子どもに背負わせようとしていると言い換えてもいいかもしれません。
それは、子どもが背負うにはあまりにも重過ぎます。
見ていて、辛くなることがあります。
もちろん、ご家族からの「期待」なら大丈夫です。
「お母さんが喜んでくれるから!」
「お父さんが褒めてくれるから!」
ご家族が期待してくれるから、お子様はがんばれます。
期待に応えようとすることで、成長する面も大きいはずです。
しかし、「投影」は違います。
「投影」では、中学受験の主役が、お子様ではなく、親になってしまっています。
子どもが親と同じ人生を歩むことはできませんし、ましてやリベンジの道具ではありませんよね。
お子様自身が「お父さん(お母さん)と同じ中学校に行きたい!」と考えて、志望するのは問題ありません。
中学受験の主役が、お子様本人になっていますから大丈夫です。
中学受験はあくまで選択肢の1つ
中学受験に向けて突き進んでいると、中学受験しか見えなくなることがあります。
つまり、中学受験は1つの選択肢であるということを忘れてしまいます。
その結果、お子様本人も、ご家族も精神的に疲弊してしまうということはよくあります。
もし地元の公立中学校がイヤでなければ、高校受験を目指すのも1つの手です。
副教科も含めてオールラウンダーなら、内申点(通知表)で高得点が取れて、公立トップ高校を目指せるかもしれません。
英語が得意なら、高校受験の方が有利に受験できるかもしれません。
もし、お子様本人があまりにも中学受験に向けた勉強をしたがらない、中学受験塾をイヤがっているというのであれば、中学受験から撤退するのもアリだと思います。
その子にとって、本格的に勉強をするタイミングは「今」でないのかもしれません。
もちろん、「投資した塾代がもったいない」と感じられるかもしれません。
しかし、中学受験の学習で得た経験は、無駄にはなりません。
算数の考え方や、国語で長くて難しい文章を読んだ経験、理科・社会でインプットした内容というのは、中学校に入ってからも必ず役に立ちます。
中学受験は結局しなかったけれど、トップ高校に合格した。
中学受験では不合格だったけれど、高校受験では系列校にリベンジ合格した。
そのような例は、実際にたくさんあります。
中学受験は人生のすべてではなく、あくまで選択肢の1つです。
高校受験・大学受験も視野に入れて、中学受験から「勇気ある撤退」をすることも必要かもしれません。
【理想の中学受験とは】中学受験は誰のため?
今回の記事のタイトルに戻りますが、結局、理想の中学受験とは何なのでしょうか?
そして、中学受験は誰のためなのでしょうか?
身もふたもない結論になりますが、「理想の中学受験」はケースバイケース、ご家庭によって異なります。
しかし、「中学受験は誰のためなのか」という質問には迷いなく答えることができます。
中学受験は、お子様のためにあるべきです。
繰り返しになりますが、中学受験は受験生が主役です。
勉強を教えたり、体調管理をしたり、心のケアをしたりして、主役を支えるのが、大人の役目だと、私は考えています。
「理想の中学受験」はケースバイケースだと書きましたが、お子様本人が、そして、ご家族が納得のいく中学受験ができることを祈っています。