こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
勉強が嫌いなお子様から、次のような質問をされることがあります。
それは…
「なんで勉強せなあかんの?」
「何のために勉強するん?」
そう、「勉強する意義・理由」についての質問です。
お子様にそのような質問をされたお母様・お父様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな質問をされたときに、どのように答えていますか?
今回は、『【何のために勉強するの?】勉強する意義・理由』と題して、「勉強する意義・理由」について考えていきましょう!
子どもだって「勉強する意義・理由」が欲しい
たくさんの生徒さんを担当する中で、自ら勉強する動機を語ってくれるお子様もいらっしゃいます。
たとえば…
「地元の公立小学校には、行きたくないから」
「鉄道研究会のある私立中学校に行きたい」
「医者になりたいので、医学部を目指します」
「お姉ちゃんと同じ学校に合格したい」
このように、目標を持っている場合には、勉強へのモチベーションになるでしょう。
やはり「勉強する意義・理由」を実感していると、勉強にも力が入ります。
将来の夢・職業を具体的に思い描いて、勉強に取り組める子もいます。
しかし、中学受験に関しては、お母様・お父様が主導している場合がほとんどです。
お子様はどうしても「勉強させられている」という受動的な状態になってしまいがちです。
それでも中学受験する場合には、志望校という目標があるので、その目標がモチベーションになることもあります。
一方、中学受験しない小学生の場合には、もっと「勉強する意義・理由」を見つけにくいかもしれません。
日々、クラブ活動や遊びに忙しい中学生も同様でしょう。
勉強する意義・理由はいずれわかる
さきほどのように生徒たちに「なぜ勉強するのか?」とたずねられたとき、私はいつもこのように答えることにしています。
勉強する意義・理由はいずれわかる
子どもにとっては「それはずるい!」と感じるかもしれませんが、ごまかしているわけではなく、まぎれもない事実だからです。
まだ10年くらいしか生きていない子どもに、「勉強する意義・理由」が持てる方が珍しいのです。
中には、子どもの頃からの夢を持ち続けて、大人になってその夢を実現したという人もいます。
しかし、1本の道をまっすぐに歩き続ける大成者はごくわずかです。
私を含めてほとんどの人が、明確なビジョンを持って、人生を送っているわけではありません。
人生の節目節目でいろいろな選択をしてきたはずです。
「どの学部に進学しようかな…」
「どんな業界の企業に就職しよう…」
「独身の間に転職したほうがいいだろうか…」
「知り合いに誘われたけど起業するのは怖いな…」
つまり、大人であっても、1本道をまっすぐに歩めるわけではないですよね。
経営コンサルタントの本田直之さんは、『本田式サバイバル・キャリア術』という本で次のように書かれています。
アメリカのスタンフォード大学、ジョン・クランボルツ教授による「プランド・ハプンスタンス(Planned Happenstance Theory)という論があります。
『本田式サバイバル・キャリア術』本田直之(Amazonへのリンクは下の画像からどうぞ)
直訳すれば「計画的な偶発性のセオリー」といった意味ですが、教授が数百人に対して「今のキャリアはどうやってできましたか?」という質問をしたところ、八〇パーセントの人が「予期しない偶然でできた」と答えているそうです。
このように、大人でも偶然の連続の中で生きているのです。
その中で「あのときに勉強していたから、今の自分があるのだな」と思うもの。
つまり、「勉強する意義・理由」とは、ほとんどの人にとって、大人になってから振り返って実感できるものだと私は考えています。
ですので、人生という旅の途中、いえ、旅の入り口に立ったばかりの子どもたちが「勉強する意義・理由」を見つけられなくても仕方がないのです。
人生は「伏線」と「複線」
これは私の持論ですが、人生は「伏線」と「複線」だと考えています。
「伏線」というのは、物語などで後で述べることのために、前もってほのめかしておくことです。
「複線」というのは、1つではなく、2つ以上あるという意味です。
少し長くなりますが、拙著『プロ家庭教師が教える偏差値30台からの高校英語攻略法』から抜粋してお話しします。
勉強だけでなく、今やっていることが、将来何かにつながることがあります。これは「伏線」です。
『プロ家庭教師が教える偏差値30台からの高校英語攻略法』藤川ひかる(Amazonへのリンクは下の画像からどうぞ)
たとえば、あなたは高校時代にギターをしていたとします。あなたは10年後就職してから、同期がドラムを昔やっていたことを知り、久しぶりにバンドを組むことになるかもしれません。
また、あなたは交通事故にあって大けがをしてリハビリが必要になったとします。そのときに理学療法士にお世話になり、理学療法士を目指すことになるかもしれません。
もしあなたがギターをしていなかったら、大けがをしていなければ、同期と仲良くなることも、理学療法士になるという夢を見つけることもなかったかもしれません。
私の場合、受験勉強して入った大学で、今の奥さんと出会いました。また、大学時代に家庭教師のアルバイトをしていました。そこで教えることのおもしろさを知り、大学卒業後、塾講師として仕事をし、今はプロ家庭教師として生計を立てています。そして、超かわいい子どもの子育てを楽しんでいます(親バカではありませんよ)。受験勉強をしていた高校生の頃は、15年後自分の将来がこのようになっているなんて少しも予想できませんでした。
つまり、人生なんて、「伏線」だらけ。何がきっかけで人生が変わるかなんて、わからないのです。
あなたは今、高校生で、目の前の受験勉強をしなければなりません。今、勉強することが、将来にどうつながるのか、なかなか見えないでしょう。
でも、それは当然なのです。
将来、振り返ってみて、「ああ、あのとき勉強していたから、今の自分があるんだな」と思うものなのです。
逆に将来「勉強したけど、意味なかったな」と思う人がいるかもしれません。しかし、そう感じる人も、別の何かがきっかけで勉強とは縁のない世界に進んだのだと思います。
何事もしている最中は、その意味や結果なんてわかりません。人生のずっと先までいってみて、「ああ、あれは『伏線』だったんだな」と思える時がくるのです。
また、勉強がすべてではありません。
友達と遊び、恋をして、仕事をして、親になる。つまり、子どもとしてのあなた、兄弟としてのあなた、友達としてのあなた、恋人としてのあなた、部下としてのあなた、上司としてのあなた、親としてのあなた、あなたにはさまざまな社会的な役割があります。
学生としてのあなたは、その1つの面でしかありません。これは人生が『複線』だという意味です。
別に勉強や受験で失敗しても、命までとられるわけではありません。親はあなたを見守ってくれるし、友達がいなくなるわけではありませんし、おとなになれないわけでもありません。
「高校生」という役割を演じている間は、「学校」がすべてのように感じてしまいます。
「友達とケンカしちゃった……絶望的」
「勉強なんてやってられない……」
しかし、勉強も学校も、学校での友達関係も、これらかあなたが経験する人生の一部分でしかありません。
そう考えると、なんだか気が楽になりませんか?
このように、いろいろな役割を演じ続けるのが、「人生」なのです。勉強という「単線」が、将来どこにどのようにつながっているのか、今はわからないでしょう。誰にもわかりません。
しかし、勉強することによって、それが「伏線」になり、「複線」化することによって、あなたさえも予想がつかない未来が、あなたを待っているのです。
少しどころか、かなり長い引用になりました(笑)
つまり、「勉強」は、人生のいち部分でしかない(=複線)。
そして、人生において、「勉強する意義・理由」を感じられるのは大人になってから(=伏線)ということです。
勉強しなくて後悔した人は多いけれど…
「もっと英会話の練習を続けていれば…」
「学生時代に資格を取っておけばよかった…」
このように大人になってから、かつて勉強しなかったことを悔やむものですよね。
そして、いざ大人になって勉強したくなったとき、勉強せざるを得なくなったときには忙しい…
仕事に家事、育児で、自分の勉強の時間を確保するのは難しいものです。
「少年老い易く学成り難し」とは、よく言い当てた言葉ですよね。
勉強する時間がたっぷりある子ども時代に限って、勉強したくない、勉強する意義・理由が見いだせない…
勉強する意義・理由に気づいた時には、もう大人になっている、というわけです。
勉強しなくて後悔している人はたくさんいます。
しかし、勉強したことを後悔している人っていますか?
少なくとも私は勉強して後悔した人に出会ったことがありません。
勉強しなくて後悔している人が多いからこそ、子どもには勉強してほしいと願う。
しかし、「何のために勉強するの?」とたずねられたときに、どう伝えていいのかわからない。
そんなときには「勉強しないと、○○になってしまうぞ」というネガティブな例を提示するのではなく、「勉強すると、○○になれるよ」というポジティブな例を提示してあげたいものです。
そして、その例が何よりもお母様・お父様自身であればいいですよね。
つまり…
「勉強したから、お母さんはこの仕事ができるようになったんだよ」
「勉強したから、お父さんはお母さんと出会って、君と出会えたんだよ」
みたいに言えるのが理想ですね。