
こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。

うちの子、英語が苦手だけど、国語も苦手…
何か関係あるの?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
私自身、英語を指導する中で、「国語力の壁」にぶちあたることがときどきあります…
今回の記事では…
- どのように国語力が英語力に影響するか
- 「国語は苦手だけど英語は得意」はあり得るか
がわかります。
国語学習・英語学習の参考になれば幸いです!

のべ1000人以上を担当してきた元塾講師・現プロ家庭教師があれこれ語ります
国語力と英語力は関係ある?

まずは国語の力が、英語の勉強に影響を及ぼすのかを考えてみましょう。
国語力と英語力には相関関係がある、と私は思っています
なぜかと言うと、
母国語を使って英語を学ぶから
です。
英語ネイティブではない私たちが、外国語として英語を学ぶ以上、どうしても日本語(国語)の影響を受けてしまいます。
- 英単語
- 英文法
- 文章理解
に分けて、どのように国語力が英語の学習に影響しているのかを見ていきましょう。
※発音も母国語の影響を受けますが、「国語力」による影響は少ないと思うので除いています。
英単語を日本語で学ぶ
英単語を学ぶときって、まずは日本語の名前に、英語の名前を結び付けて覚えていきますよね。
水族館→aquarium
という感じ。
英単語を見て、単語の意味を思い出すときには、その逆のことをしています。
「aqarium→水族館」というように、頭の中で翻訳して英語の勉強に取り組みます。

その単語慣れてきたら「cat→猫」とわざわざ変換しなくても、ニャーとなく生き物ってイメージわくけどな
ということは、日本語として知らない言葉を、英語で覚えるのはかなり難しいはずです。
たとえば、小学生・中学生が「uncle=おじ」、「aunt=おば」、「nephew=おい」、「niece=めい」を覚えるのに苦労することがあります。
というのも、そもそも「おじ・おば・おい・めい」という日本語(家族関係)自体を、知らない子ってけっこう多いんです。

「おじ=近所のおじさん」と思ってた!
まずは「おじ=親の男兄弟」であることを国語として知ってもらわないと、英単語を学べません。
高校生でも同様です。
英単語テキストに「refer=言及する」、「irrigation=灌漑(かんがい)」とのっています。
でも、やっぱり「言及」や「灌漑」の意味を知らないと、英単語も覚えにくいものです。

「灌漑(かんがい)」って、水をまくことなん!?
「干害(かんがい)」と逆やん!
と、めっちゃいいリアクションで驚いてくれる子もいました。
このように、日本語を知らないと、英語の名前をヒモづけることができません。
語彙(ボキャブラリー)は「武器」です。
- 知っている言葉が多い=読みやすい・解きやすい
- 知っている言葉が少ない=読みにくい・解きにくい
というのは、言語を学習したり、文章を読んだりうえでの鉄則ですね。
このように、語彙としての国語力が、英語学習に影響することが大いにあり得ます。
英文法を日本語で学ぶ
英語ネイティブでない限り、英文法を学ぶときにも、日本語を通して学習します。
He likes cats.
- 主語・動詞・目的語の順
- 主語が三人称単数のときには一般動詞にsをつける
というように、日本語で文法を学びながら、英語を理解していきます。
英文を読むときには、同様です。
英文法を学ぶ段階では、英文を日本語で分析し、日本語に訳していきますね。

いちいち和訳せず、英語のまま、英語の語順のまま理解できるようになるのが理想ですね
そこで問題になるのが、国語力(日本語の感覚)です。
中1英語では動詞を使い分けるトレーニングをしますが、日本語の感覚が弱いと、英文法を使いこなせなくなります。
たとえば、
走る | 現在形 |
走っている | 現在進行形 |
走った | 過去形 |
走っていた | 過去進行形 |
走れる | can 動詞の原形 |
「走る」と「走っている」、「走れる」の違いがよくわからない!
そういう小学生・中学生が実はけっこういるんです。
また、学年が上がってくると、名詞・形容詞・副詞といった文法的な用語も増えてきます。
国語の文法への理解や感覚が薄い場合も、英語に苦戦することが多いです。
英語の文章も日本語で理解する
英語の文章を理解するときも、和訳して理解します。
そのときに、日本語で読んで理解できないものは、英語で読んでも当然理解できません。
たとえば、高校生向けの教材で、こんな文章が出題されています。
Strange is our situation here upon earth. Each of us comes for a short visit, not knowing why, yet sometimes seeming to divine a purpose.
基礎英文問題精講
(この地球上における我々の立場は不思議なものである。我々は皆この地球を訪れて、つかの間、地球に滞在する。なぜそうするのかはわからないが、ときにはある目的を察知することができるように思われることもある。)
長い文章の一部分だけを切り取って、出題されているので余計にわかりにくくなっていますが、日本語を読んでも意味はピンとこないですよね…
例としては極端でしたが、易しい内容であっても同じです。
日本語で読んでわからないものは、英語で読んでもわからない。
つまり…
国語の読解力≧英語の読解力
であり、英語力は国語力を上回ることはないのではないでしょうか。
「国語は苦手だけど英語は得意」はあり得る?

中学生を指導をしていると、ときどきこういう子がいます。

おれ、国語よりも英語の方が成績ええねん!
実際、その子だけでなく、得点や偏差値で、英語の成績が国語の成績を上回る子はけっこう多いものです。
ですので、「国語は苦手だけど英語は得意」はあり得るかと言われたら、確かにあり得ます。
ただ、「国語力≦英語力」になっているわけではありません!

どういうこと?
というのも、中学校で学ぶ英文法、そして、中学文法で読む文章は、内容的には易しいものだからです。
中学英文法は、英語ネイティブにとっては幼い子たちが使うレベルだそうです。
実際、私たち日本人は、英語で書かれた児童書を読むのも苦労するものです…
ですので、英語力が国語力を上回っているのではなく、和訳した内容が国語力で理解できるレベルだった、というだけの話です。
英語学習を通して国語力は伸びる!


じゃあ、国語が苦手やと英語は絶望的やん…
と思ったかもしれません。
でも、英語学習を通して、国語力が伸びることはじゅうぶんにあり得ます!
さきほどの例なら、「uncle」を学ぶことで「おじ」を理解すればいい、「refer」と出会うことで「言及する」の意味すればいいわけです。
「形容詞=名詞を修飾する」、「副詞=動詞・形容詞を修飾する」という英文法の理解が、国語文法の考え方に通じます。
もちろん日本語の語彙(ボキャブラリー)や文法を知っている子に比べたら、遠回りになり、勉強の時間が余計にかかってしまうかもしれません。
でも、英語をしっかりと勉強することで、国語の力も引き上げることは可能だと私は考えています。

実は私も国語が苦手で、英語で国語を学んだ一人です
まとめ:国語力がないと英語力は伸びない?プロが考える英語と国語の関係性
今回の記事では、英語力と国語力の関係性についてお話してきました。
英語の学習は、国語の力に左右されるので、「国語力≧英語力」であるのは確かだと思います。
でも、英語の勉強を通して、国語の語彙が増え、言葉の感覚が研ぎ澄まされることはじゅうぶんにあります。
英語も国語(日本語)も、同じ「言語」です。
ともに磨いていきたいですね!