
こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
中学受験といえば、算数・国語・理科・社会の4教科です。
でも、社会って「4番手扱い」にされてませんか?
社会の勉強を後回しにしている受験生は結構多いはず…
今回の記事では…
- 社会が後回しにされる理由
- 社会は後回しにして大丈夫か
- 社会の勉強するタイミング
がわかります。

社会は暗記すればいいだけだから、後回しにしても大丈夫!
そんなふうにお考えのお母様・お父様はぜひお読みください。

たかが社会
されど社会
なんで社会は後回しにされちゃうの?
まず、社会が後回しにされてしまう原因から考えていきましょう。
社会が後回しにされるようになった理由は…
- 関西圏では3教科受験が主流になってきた
- 「暗記教科」なので6年からでも間に合うと思われがち
の2点でしょう。
1つずつ見ていきますね。
後回し理由1.関西圏では3教科受験が主流になってきた

関東の中学受験では、今でも4教科受験、つまり、算数・国語・理科・社会がメインだそうです。
でも、関西圏の中学受験では、3教科受験、つまり、算数・国語・理科が主要3教科になりつつあります。
そう、社会は完全に「4番手扱い」です…
社会科も担当する私としては寂しいばかりです(涙)

社会は楽しくて、おもしろい教科なのにな…
家庭教師として依頼されるのは、国語がメインで、社会はほとんど需要がない…
中学受験塾でも、社会は「選択講座」、オプション扱い…
まぁ、「3教科でうちの学校は受験できますよ!」とお手軽さをアピールしたい、中学校の経営上の理由もよくわかりますが、ちょっと社会がかわいそうですよねぇ
社会が4番手になってしまった理由は、こちらの記事をご覧ください↓
人気記事:『【関西圏中学受験】社会は必要? 4教科受験のメリット』
後回し理由2.「暗記教科」なので6年からでも間に合うと思われがち

算数は、いわゆる「積み上げ型」の教科です。
例えば、小学生が苦手とする単元が「割合」ですよね。
その「割合」の概念を使って、「相当算」「食塩水」「売買」などの問題を学習します。
つまり、「積み上げ型」の教科では、手順を踏んで、トレーニングを積まなければなりません。

手前でつまずくと、その先がわからなくなってしまうのが「積み上げ型」の怖いところやな
スポーツもそうですが、トレーニングには時間がかかりますよね。
トレーニングという意味では、国語のトレーニングにも時間がかかります。
英語もそうですが、言語の学習というのは「壮大な慣れ」です。
経験の少ない小学生が、文章を読むために必要な語彙(ボキャブラリー)を身につけ、一般的・社会的な知識を知るには、時間がかかりますね。
理科は、物理・化学・生物・地学に分かれます。
さらに、知識の暗記だけでなく、目に見えない現象の理解、そして、計算も必要とされます。
それに比べて社会科は…

社会は暗記さえすればいいから楽勝やん!
と思われがちです。
その結果、「6年生になってから詰め込めば何とかなるから」と後回しにされてしまうのです…
社会は後回しにするべきじゃない!

実際には、社会は後回しにするのはオススメできません!
社会を後回しにすべきじゃない理由は…
- 下地がないと6年生になってからでは暗記しきれない
- 6年生は忙しく、社会だけに集中できるわけではない
の2つだと、私は考えています。
もう少しくわしく見ていきましょう!
後回しにしない理由1.下地がないと6年生になってからでは暗記しきれない
以前…

社会は6年生になってから本気出す
と言っていた男の子がいました。
でも、本腰を入れて社会を勉強しようと考えて、私に依頼が来たのは、6年生の夏ごろ。
「勉強しなければ」とは思いつつも、やはり苦手な社会を、ズルズルと夏まで後回しにしていたそうです。
本人としては、夏休みの間に、社会をマスターできると考えていたようでした。
実際に指導を始めてみると、都道府県の位置も名前もあやふや…
歴史の時代の流れも、主要な登場人物・できごともほとんど覚えていませんでした。

これはまずい…
そう思った私は、現状をお母様・お父様にもお話しし、かなり急ピッチに課題をこなさなければならないことをお伝えしました。
手始めに、都道府県の位置と名前を、次の週までに暗記してくるように課題を出しました。
1週間後、私が「じゃあ、都道府県テストをしようか」と言うと…

覚えられへんかった
と言って、いろいろな言い訳を口にしました。
本人だけでなく、お母様・お父様にも事情を聞いてみると…

社会に回す時間はあったけれど、結局は好き嫌いで勉強して、後回しになったみたいです
とのことでした。
他の教科の暗記事項は頭に入っているので、暗記が苦手というわけではありません。
また、都道府県の名前と位置の暗記の練習方法は、事前に伝えていたので、やり方がわからなかったわけでもありません。
歴史の暗記課題を課したときも、結果は似たようなものでした。
その後、指導自体は楽しんでくれて、授業を通して、地理と歴史の知識を急速に吸収してはくれました。
でも、結局は夏休みの間に、社会をマスターするまでには至りませんでした。
その子は、社会をあきらめて、算数・国語・理科の3教科受験をしました。
お父様は…

社会は中学に入ってからも必要なので、勉強できてよかったです
とは言ってくれました。
でも、本人もお母様・お父様も、そして、私も…

もっと早く社会に本腰を入れていれば…
と思わずにはいられませんでした。
社会が好きor得意で、下地がある場合でなければ、6年生まで後回しにすべきではありませんね。
(社会が好きor得意なら、そもそも6年生になるまで、後回しにはしませんが…)
後回しにしない理由2.6年生は忙しく、社会だけに集中できるわけではない

社会を後回しにすべきでない理由の2つ目は、「6年生は忙しいから」です。
さきほど紹介したエピソードの男の子もそうですが、5年生までの間には…

社会は6年生になってから本気出す
と思ってしまうのは、よくわかります。
なぜなら、5年生までのスケジュールは、まだまだ余裕があるからです。
でも、実際には、5年生の2月から新6年生として、塾で授業をスタートしてみると…
授業時間数が増える…
それに合わせて、宿題も増える…
日曜日には特訓授業が始まる…
さらにその特訓授業の宿題も増える…
季節講習会は、朝から晩まで塾…
6年生になると、塾のスケジュールをこなすだけで精一杯、という状況になることがほとんどです。

受験生は大変やで
算数や理科の難問を解かなければならない…
国語の文章を読むには時間がかなる…
結局は、6年生になってからも、社会の勉強は後回しになってしまう可能性大なのです。
むしろ5年生までに社会の基礎を固めておくのが正解!

国語や算数は、出題内容によって、点数の波が出やすいでしょう。
また、時間との勝負になるので、常に時間配分に注意しなければなりません。
理科は、単元の幅が広く、得意単元・苦手単元の出題バランスによって、点数が左右されがちです。
でも、社会のテストで「時間切れ」になることは、ほぼないでしょう。
また、一問一答形式で覚えた知識が、テストでそのまま問われることもかなり多くあります。
つまり、社会は覚えれば覚えるだけ点数につながる「おいしい教科」なのです!

うまそうやな
そんな「おいしい」社会は、6年生になるまでに、味方につけておいたほうがお得です。
さきほどお伝えした通り、6年生になってから、社会だけに集中できる時間はそれほど取れません。
ですので、社会は比較的時間の余裕がある5年生までの間に、基礎固めをしておくのが正解です!
では、どのタイミングで社会を学習しておけばいいのか、スケジュールをチェックしていきましょう。
【小学4年生】「地理」の下地を作っておく
まず、4年生までの間に、「地理」の下地を作っておきましょう。
手っ取り早い方法は、塾の社会の講座を受講することです。

最近は、4年生の間は、社会のクラスは開講せず、映像授業のみという塾が増えてきています(残念…)
具体的には…
地名の暗記
都道府県・県庁所在地・山地・山脈・平野・半島・島・海・海流・川など
系統地理
気候・農業・工業・林業・水産業・環境問題など
地誌
九州地方(沖縄含む)・中国四国地方・近畿地方・中部地方・関東地方・東北地方(北海道含む)など
これらの地理の基礎を、楽しみながら学んでいきましょう。
ただし、地理が好きで、下地ができている場合には、必ずしも塾の授業を受講しなくてもいいでしょう。
地理のテキスト・問題集だけを購入して、家庭学習しておくのもアリです。
そして5年生になってから、しっかりと地理の知識を固めていきましょう。
地理の勉強方法については、こちらの記事をご覧ください↓
関連記事:『【中学受験・社会】地理の勉強方法!』
【小学5年生】「歴史」の下地を作っておく
小学5年生の間に、塾ではひととおりの地理の学習が終わります。
地理の知識を固めるのはもちろん重要ですが、5年生の間に、「歴史」の下地を作っておくことが大切になります。
5年生では、塾の社会の授業は必ず受講することをオススメしています。
なぜなら、塾では入試に向けて綿密にカリキュラムを組んでくれているからです。
もう少し具体的に言うと、授業では主に歴史の学習を進めながら、宿題や公開テスト対策として、地理の復習のカリキュラムを組んでいます。
復習、つまり、サイクル学習のカリキュラムを、自分自身で作るのは難しいですよね。
塾のカリキュラムという「レール」に乗った方が、学習はずっと楽になるでしょう。

我流で勉強するのも限界があるよな
歴史の勉強をするときには、「歴史の流れ」を意識しながら学習しましょう。
言い換えると、歴史の「ストーリー」をつかむのがポイントということです。
社会はともすれば、暗記に頼ってしまいがちです。
でも、ただただ単なる暗記に頼ってしまっては、知識がバラバラで散らばってしまいます。
何時代に、誰が出てきて、どんなできごとが起こったのか、ある暗記では忘れてしまいやすいでしょう。

「暗記=かんたん」とは限りません
だからこそ、「歴史の流れ=ストーリー」を理解しましょう。
歴史の流れには「因果関係」がありますよね。
例えば、平安時代なら…
奈良時代はお坊さん(僧)が政治に口出ししてきたな
↓
だから都を平安京に移して、桓武天皇は天皇中心の政治を再び目指したんだね
↓
空海や最澄というお坊さんは、山の中で修行する宗教を始めて、政治には口出ししなくなったのか
↓
でも、貴族・藤原氏が自分の娘を天皇と結婚させて実権を握ったね(摂関政治)
↓
じゃあ、藤原氏よりも権力を持つためには、天皇よりもレベルアップした上皇になるしかない!(院政)
↓
天皇と上皇がケンカするけど、ケンカの専門家である武士が活躍するんだね
↓
そして、とうとう平清盛が武士として初めて太政大臣に上りつめたんだ
このように、たくさんの人物が権力を奪い合う平安時代も、因果関係をつかむことで、ストーリーを理解しやすくなります。
ストーリーを理解しておけば、知識を肉付けしやすくなるので、記憶が定着しやすくなります。
歴史のくわしい勉強方法については、こちらの記事をご覧ください↓
関連記事:『【中学受験・社会】歴史の勉強方法!』
【小学6年生の夏まで】「公民」を学びながら「地理・歴史」の復習
塾では6年生になると、歴史の学習を終わらせ、「公民」がスタートします。
憲法や政治、経済について学ぶ分野ですね。
でも、中学入試では、公民の割合はそれほど大きくありません。
たとえば、近畿大学附属中学校2019年度後期入試では…
- 地理30点
- 歴史40点
- 公民10点
という割合で出題されています。
他の学校も、公民よりも、地理と歴史の配点が高いものです。
ですので、6年生になって公民の学習を進めながらも、地理・歴史の復習を進めておかなければなりません。

なおさら小5までの勉強が大切やな
6年生になってからも、基本的には塾のカリキュラムの沿うと、地理・歴史を復習しやすいでしょう。
また、公開テストなどの模擬テストの出題範囲に合わせて、復習するのもオススメです。
テスト結果が返ってきたら、まちがい直しをして、苦手単元をあぶり出し、1つ1つ克服すると効果的です。
塾と家庭教師との併用に関する記事はこちら↓
関連記事:『中学受験には塾+プロ家庭教師の併用がおすすめ!【2つのメリット】』
【小学6年生の夏以降】入試問題などの総合問題でアウトプット

夏休みの間に、地理・歴史・公民の土台をある程度固めてしまいましょう。
そして、夏休みを終えると、いよいよ「過去問演習」がスタートします。
過去問などの入試問題では、出題範囲は…
全単元
ですよね。
「九州地方が出題されるよ」とか「江戸時代がテストに出ます」とか、教えてもらえませんよね。
ですので、単元と単元がごちゃ混ぜにされた総合問題で知識をアウトプットすることで、これまでインプットしてきた知識を、実際に使えるように磨いていきます。
スポーツでもどんなに基礎練習をしていても、試合などの実戦をしてみないと、基礎練習で身につけた技術が本当に使えるかどうかはわかりませんよね。

勉強もスポーツと同じやな
入試問題という実戦形式の問題を解くことによって、これまで身につけた知識を使えるようにトレーニングしていきます。
過去問でまちがった内容は、自分の弱点でもあり、「伸びしろ」でもあります。
覚え直しをして、類題が出題される次の機会に、きちんと得点できるようにしておきましょう。
また、過去問を解くことで、その学校の出題傾向がつかめてきます。
例えば、大阪府南部の難関校・清風南海中学校の社会を解いて…

社会やのに、計算問題出てくるやん!
時代のならびかえ問題が細かくて難しい…
世界地理を出題するなんて、反則やわ…
というように、その学校の出題傾向をつかむことができます。
「敵を知る」ことは大事ですね。
出題傾向をつかんだら、対策も立てやすくなります。
過去問演習についてのくわしい内容は、こちらの記事をご覧ください↓
関連記事:『過去問はなぜ解くの? どう解くの? いつから解くの?』
まとめ:社会の勉強を後回しにして大丈夫?
関西圏の中学受験で社会が後回しにされてしまうのは…
- 関西圏では3教科受験が主流になってきた
- 「暗記教科」なので6年からでも間に合うと思われがち
でも、社会は後回しにすべきじゃない! なぜなら…
- 下地がないと6年生になってからでは暗記しきれない
- 6年生は忙しく、社会だけに集中できるわけではない
むしろ、5年生までに社会の基礎を固めておくことが正解!
- 【小学4年生】「地理」の下地を作っておく
- 【小学5年生】「歴史」の下地を作っておく
- 【小学6年生の夏まで】「公民」を学びながら「地理・歴史」の復習
- 【小学6年生の夏以降】入試問題などの総合問題でアウトプット
「おいしい教科」である社会を、あきらめてしまうなんてもったいない!
ぜひ、社会を後回しにせず、4年生・5年生の間から、基礎固めしておき、6年生になってから「頼れる武器」になってもらいましょう!
社会を強化する方法については、こちらの記事をどうぞ↓
関連記事:『【社会に悩む受験生・保護者へ】家庭教師で社会を鍛えるメリット!』