こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
入試システムがめっちゃ複雑…
そもそも内申点ってどうやって計算するん?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 内申点とは何か
- どのようにして内申点は決まるのか
- なぜ内申点が大切なのか
- 大阪府の公立高校入試ではどうやって内申点を計算するのか
がわかります。
公立高校を目指す中学生にとって、避けては通れないのが「内申点」です。
でも、受験生本人も実はよくわかっていない(笑)
内申点の計算の仕方を知り、そして、内申点を味方につけて、高校受験に臨みましょう!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
内申点ってどうして大切なん?
まず「内申点」とは何なのか確認しておきましょう。
内申点とは…
通知表の評価を得点化したもの
です。
その内申点が「内申書(調査書)」に記載され、高校入試の判定に使われます。
学力検査(入試当日)の段階で、すでに内申点は決まっています。
つまり…
- 内申点が高い⇒有利に受験できる
- 内申点が低い⇒受験で不利になる
というわけです。
つまり、内申点は「持ち点」
内申点がどのように計算されるかは、都道府県によって違ってきます。
大阪府では、さらに高校によって、どれだけ内申点を重視するのかが変わってきます。
※高校受験合格へのロードマップは、こちらの記事をご覧ください↓
どうやって内申点は決まるん?
さきほど内申点は、通知表の評価を得点化したものだとお伝えしました。
では、大阪府では通知表の評価は、どのように決まるのでしょうか?
それは…
絶対評価
です。
何それ?
「絶対評価」というのは、「定期テストで良い点数を取れば、通知表で良い点数がもらえる」ということです。
「当たり前じゃないか!」と思われるかもしれませんが、以前は「相対評価」で通知表が決まっていました。
「相対評価」は、中学校の中での順位で評価されます。
極端な例で言えば、定期テストで同じ80点であっても…
- 絶対評価:「80点はよく頑張ったな」→通知表4
- 相対評価:「平均点は82点だから80点は普通やな」→通知表3
という違いがあります。
現在は「絶対評価」ですから、定期テストで点数を取れば、それだけ通知表がよくなる。
つまり、内申点がアップするということです。
ただ、学校によって、定期テストの問題の難しさが違うので、不公平が出てきます。
A中学校の定期テストはかんたんやから点数を取りやすいけど、B中学校は難しかったら、B中に通う子たちは不利やもんな
そこで、中学校による差を少しでも小さくするために、大阪府では「チャレンジテスト」を実施しています。
大阪府で共通のテストをすることによって、学校ごとの通知表の点数の幅が決まります。
かんたんに言うと…
- チャレンジテストで点数が高いA中学校 → 通知表を高めにつけていい
- チャレンジテストで点数が低いB中学校 → 通知表を高めにつけられない
ということです。
だから、成績がよくない生徒に「お前はチャレテ、休んでいいぞ」と言った教師もいるらしい…
これでどこまで学校ごとの不公平感が解消されているのかはわかりませんが、「絶対評価」の定期テストでは、自分のがんばりが通知表(内申点)に反映される公平なテストと言えるでしょう。
内申点はどうやって計算するん?
では、具体的に、大阪府の公立高校入試では、内申点がどうやって計算されるのかを見てみましょう。
受験者が多い、「一般選抜」の計算方法を紹介しますね。
通知表では、9教科とも5段階で評価されます。
すべて満点の5の場合には、5×9教科で45点満点ですね。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 音楽 | 美術 | 技術家庭 | 保健体育 | 合計 |
5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 45 |
中1と中2の評価は2倍、中3での評価は6倍されます。
げっ!
中1と中2の通知表も入るんか…
やばいわ…
すると…
中1:45点満点×2=90点満点
中2:45点満点×2=90点満点
中3:45点満点×6=270点満点
⇒合計:90+90+270=450点満点
つまり、内申点の合計は450点です。
たとえば、ねこ殿の通知表が、中1で40、中2で31、中36だったとします。
中2で中だるみした典型的なタイプやな
すると…
中1 | 40×2=80点/90点満点 |
中2 | 31×2=62点/90点満点 |
中3 | 36×6=216点/270点満点 |
内申合計 | 358点/450点満点 |
という計算になります。
もし中3になってから、通知表の国語の評価が4から5に上がったとすると、1アップ×6=6点アップしたことになります。
入試本番の6点と価値は同じ!
一方、一般選抜の当日の学力検査は、主要5教科が90点満点です。
つまり、本番の入試は90点満点×5教科=450点満点ですね。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 |
90 | 90 | 90 | 90 | 90 | 450 |
ですので…
内申点450点 & 学力検査450点
この合計で、合格か不合格が決まるということです!
確かに、内申点が高いと有利やな
そう!
入試当日に、すでに持ち点が決まってるんです
※大阪府の高校選びの方法について、くわしくはこちらの記事をご覧ください↓
内申重視か学力検査重視か高校によって異なる
さきほど、一般選抜では、「内申点450点+学力検査450点」ではなく、「内申点450点&学力検査450点」と書きました。
単純に内申点と入試当日の点数を足し算するわけではありません。
内申点を重視するか、学力検査を重視するかを、それぞれの高校が決めます。
そして…
- 内申点を重視 → 内申点の比重を大きく
- 学力検査を重視→ 学力検査の比重を大きく
計算して、合計点で合格・不合格を判定するというわけです。
内申点と学力検査の比重は、5タイプあります。
タイプ | 内申点:学力検査 |
Ⅰ | 3:7 |
Ⅱ | 4:6 |
Ⅲ | 5:5 |
Ⅳ | 6:4 |
Ⅴ | 7:3 |
5タイプについて、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
入試システムがわかりにくい原因はここかも…
【タイプⅠ】内申点:学力検査=3:7
まず、タイプⅠは、「内申点:学力検査=3:7」の、入試本番を重視するタイプです。
一般選抜では、もともと内申点も学力検査も450点満点ですが、内申点を0.6倍、学力検査を1.4倍して、学力検査の割合を大きくして評価するというわけです。
- 内申点:450×0.6=270点満点
- 学力検査:450×1.4=630点満点
となり、入試本番のできが大きく入試結果を左右することになります。
内申点がは圧縮されるので、内申点がいまいちでも、入試本番で逆転できる可能性が高くなります。
その逆もしかり…
タイプⅠを採用する学校は、難関校~中堅校に多いです。
<2023年度入試でタイプⅠを採用した主な学校>
北野・大手前・高津・天王寺・豊中・茨木・四条畷・生野・三国丘・岸和田・東・清水谷・夕陽丘・阿倍野・東住吉・池田・桜塚・刀根山・箕面・春日丘・山田・三島・寝屋川・枚方・牧野・香里丘・いちりつ・布施・八尾・河南・富田林・狭山・登美丘・泉陽・金岡・東百舌鳥・高石・和泉・久米田・佐野・日根野・市岡・槻の木・鳳・住吉・千里・泉北・今宮・千里青雲・堺東など
学力検査が重視されるとはいえ、文理学科をはじめとする難関校では、「内申点の点数は取れていて当然」が前提となります。
タイプⅠを選択する高校を受験する場合でも、内申点はしっかりと確保しておきましょう。
定期テストで高得点を取る子の勉強法や心構えについて、くわしくはこちらの記事をご覧ください↓
【タイプⅡ】内申点:学力検査=4:6
タイプⅡは、「内申点:学力検査=4:6」の割合で評価されます。
タイプⅠと同様に学力検査を重視しますが、タイプⅡでは内申点もある程度評価してくれます。
一般選抜では、もともと内申点も学力検査も450点満点ですが、内申点を0.8倍、学力検査を1.2倍して計算します。
- 内申点:450×0.8=360点満点
- 学力検査:450×1.2=540点満点
内申点でリードしていれば、そのまま逃げ切れる可能性が高くなります。
いわゆる中堅校で、タイプⅡを採用している高校が多いです。
<2023年度入試でタイプⅡを採用した主な学校>
東淀川・旭・平野・阪南・渋谷・豊島・茨木西・北摂つばさ・吹田・吹田東・北千里・高槻北・芥川・阿武野・大冠・摂津・緑風冠・交野・花園・みどり清朋・山本・八尾翠翔・長野・藤井寺・堺西・泉大津・貝塚南・今宮工科・堺市立堺・咲くやこの花・桜和・枚方なぎさ・芦間・貝塚・東住吉総合など
しっかりと内申点を確保することが大切です。
内申点が大きく影響するので、タイプⅡの高校を受験する場合、合否の予想がほぼ当たります
【タイプⅢ】内申点:学力検査=5:5
タイプⅢは、「内申点:学力検査=5:5」の、均等に評価されるタイプです。
一般選抜では、もともと内申点も学力検査も450点満点ですが、そのままの点数で評価するというわけです。
シンプルでわかりやすいな
- 内申点:450点満点
- 学力検査:450点満点
となり、タイプⅡ以上に、内申点が高ければ逃げ切りやすい入試となります。
逆に言えば、内申点が低ければ、逆転は難しいと言えるでしょう。
タイプⅢを採用する学校は、工業科などの高校が多くなります。
<2023年度入試でタイプⅢを採用した主な学校>
桜宮・汎愛・港・西寝屋川・北かわち皐が丘・長尾・枚方津田・守口東・野崎・かわち野・大塚・金剛・懐風館・堺上・りんくう翔南・東大阪市立日新・大阪府教育センター附属・農芸・東淀工業・淀川工科・都島工業・西野田工科・泉尾工業・生野工業・茨木工科・城東工科・布施工科・藤井寺工科・堺工科・佐野工科・淀商業・岸和田市立産業・大阪ビジネスフロンティア・柴島・大正白稜・門真なみはや・成美・伯太など
内申点が合格と不合格を、大きく左右します。
【タイプⅣ】内申点:学力検査=6:4
タイプⅣは、「内申点:学力検査=6:4」の割合で評価されます。
タイプⅡとは真逆で、内申点が6割を占めます。
一般選抜では、もともと内申点も学力検査も450点満点ですが、内申点を1.2倍、学力検査を0.8倍して計算します。
- 内申点:450×1.2=540点満点
- 学力検査:450×0.8=360点満点
ここまでくると、ほぼ内申点で入試結果が決まってきます。
タイプⅣは、商業科や総合学科の高校で採用しているところが多いです。
<2023年度入試でタイプⅣを採用した主な学校>
門真西・福泉・美原・信太・園芸・鶴見商業・住吉商業・福井・枚方樟風・八尾北・松原など
【タイプⅤ】内申点:学力検査=7:3
タイプⅤは、「内申点:学力検査=7:3」の割合で評価されます。
一般選抜では、もともと内申点も学力検査も450点満点ですが、内申点を1.4倍、学力検査を0.6倍して計算します。
- 内申点:450×1.4=630点満点
- 学力検査:450×0.6=270点満点
ただ、私が調べ、知っている限り、全日制の一般選抜でタイプⅤを採用している学校はなかったと思います。
抜け・漏れがあったら申し訳ありません…
また、最新の情報は、大阪府のホームページをご確認ください
タイプは大阪府のホームページでチェック
どの高校が、どのタイプを採用しているかは、大阪府のホームページで掲載されています。
2023年度入試であれば、2022年7月8日に発表されていました。
ですので、1学期の終わり頃に、大阪府のホームページをチェックするといいでしょう。
この記事を書くときにも、2023年度(令和5年度)入試の資料を参考にしました。
公式の情報が1番や
※集団塾・個別指導塾のメリット・デメリットについて、くわしくはこちらの記事をご覧ください↓
まとめ:大阪府公立高校入試の内申点の計算方法
内申点(調査書)に点数は、入試結果に大きく影響します。
内申点を確保して、大阪府の高校入試を有利に挑みましょう。
また、学校によって、内申点と学力検査の割合が違ってきます。
比率を一律にするのではなく、高校に選ばせるのは良いことだと私は思います。
それだけに、入試システムが複雑になってしまっているのも事実ですが…
塾や学校で教えてもらえる場合もありますが、大阪府のホームページに公式の情報が掲載されます。
大阪府では、内申点のタイプだけでなく、英数国の入試問題がA・B・C問題という3つの難易度に分かれていて、それも高校の裁量で決まります。
さらに受験生や保護者を混乱させているんですけどね…
※拙著『保護者のための「中学生の勉強法」』はこちら↓
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