こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
社会って、どうやって勉強したらいいの?
暗記するだけじゃないの?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- やってはいけない暗記法
- 効率的な暗記方法
- 社会の分野別の勉強法
- 社会のおすすめ問題集・参考書(関連記事リンク)
がわかります。
これまで当サイトでは、地理・歴史・公民に分けて、勉強法を解説してきましたが、今回の記事ではそれらをまとめてみました!
社会はきちんと勉強(暗記)すれば、成績が安定する頼もしい教科です。
でも、まちがった方法で勉強している子どもたちも多いものです…
ぜひ、社会を味方につけて、入試に挑みましょう。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
やってはいけない暗記法
社会って暗記するだけでしょ?
受験学年になってからでも間に合うよね
そのように考えているお母様・お父様、そして、子どもたちも多いでしょう。
でも、いざ受験学年になってから、仕上げようとしても、なかなか間に合わないものです。
「暗記」といっても、いくつかの段階(ステップ)に分かれているからです。
お母様・お父様が思っている以上に、子どもたちにとって「暗記」ってつまずきやすいんです…
効率的な暗記法を紹介する前に、「やってはいけない暗記法」をお話しておきたいと思います。
「やってはいけない暗記法」は…
- 「だけ勉」
- ひたすら書きまくる
- 文字だけで覚えようとする
などです。
掘り下げてみていきましょう。
※中学受験合格へのロードマップは、こちらの記事をご覧ください↓
※高校受験合格へのロードマップは、こちらの記事をご覧ください↓
「だけ勉」
「だけ勉」というのは私の造語で、「形だけ」の勉強法です。
たとえば…
- 教科書を読むだけ
- ノートに写すだけ
- マーカーを引くだけ
- 答えを写すだけ
- 提出物を出すだけ
などです。
やらないよりはマシかもしれませんが、効果の出にくい勉強方法です。
私が担当しているお子様が、「だけ勉」をしていたら(適性を見て)やめさせます。
中には、教科書を読むだけで、記憶に残ってしまう特殊な能力を持った子もいます
「テスト」というのは、頭に入っている知識を「出す(アウトプットする)」場です。
ですので、テスト勉強の段階から、頭から知識を「出す」練習をしておかなければなりません。
さきほど例に挙げた「だけ勉」は、どれも頭から知識を「出す」プロセスを踏んでいません。
「だけ勉」では、テスト本番に、知識を出せる保証はどこにもないわけです。
教科書を読んだのに、点数が取れない…
ノートをきれいにまとめたのに…
マーカーで線を引いたのに…
と、まちがった暗記をしているのに、無力感だけが残ってしまいかねません。
他の教科でも、「だけ勉」は効果がありません。
もしお子様が、効果の薄い「だけ勉」をしていたら、軌道修正してあげましょう。
ひらすら書きまくる
最近の子って、あまり手を動かさないですよね…
私の頃は、チラシの裏に書きまくって覚えましたよ!
そのようにおっしゃるお母様・お父様もたくさんいらっしゃいます。
確かに、「見るだけ(だけ勉)」よりは、絶対に手を動かした方が記憶に残りやすいでしょう。
実際、私も子どもの頃に、チラシの裏やいらない紙に、覚えたい言葉を書きまくっていました。
ところで、最近の折込チラシって、両面印刷が増えたやんな。
というより、新聞を購読してる家が減ってるやんな。
ただ、ひたすら書いて覚えるのも、子どもによっては「ただひたすら書くだけ」の「だけ勉」に陥ってしまうことがあるので、注意が必要です。
たとえば、「公事方御定書」を何度も書いたとしましょう。
でも…
- 問われ方が変わると答えられなくなる(例:公事方御定書を定めたのは誰か)
- 書く練習をしていたが読み方がわからない(→記憶に残りにくい)
- 実力テストになると何時代のできごとかあやふや…
というように、「書く」ことを目的にした勉強では、「木を見て森を見ない」暗記になってしまいがちです。
後で紹介しますが、覚えにくい用語だけを「書いて覚える」というのは有効です。
実は「ひたすら書いて覚え」ていたお母様・お父様も、補助的に「書いて」覚えていたはず
文字だけで覚えようとする
後で「一問一答形式の問題」で暗記(インプット)する方法を紹介します。
「問題集を解く」のは、知識をインプットしてアウトプットする上で欠かせないプロセスです。
でも、やり方を間違ってしまうと、覚えにくく、記憶に残りにくくなってしまいます。
地域や時代のイメージがわかないままでは、なかなか覚えにくいものです。
- 世界の気候ってどんなに違う?
- 平安時代の貴族はどんな暮らしぶり?
- 裁判員ってどこに座って裁判に参加するの?
それぞれ写真や絵を見た方が、記憶に残りやすいでしょう。
実際、平安時代の復習をしてみると、「寝殿造り」や「十二単」など、当時の上流階級の暮らしのイメージがわいていない受験生は、意外と多いんです。
雨温図を理解しようとがんばっているけど、その地域にどんな住まいがあり、人々がどんな生活をしているのかが、結びついていない受験生も多いですね。
そして、イメージがわいていない受験生ほど、記憶があいまいで、社会を苦手にしている子の割合は高いように感じます。
「百聞は一見に如かず」って言うもんな
ですので、文字だけを追い求めるのではなく、ビジュアルや耳を使って勉強した方が、暗記しやすくなります。
ただ、社会への苦手意識が強く独学が難しい場合には、個別指導や家庭教師を使うのも1つの手です。
勉強方法から教えてもらうといいでしょう。
社会の用語の効率的な暗記方法
「やってはいけない暗記法」を踏まえたうえで、「効率的な暗記方法」についてお話していきたいと思います。
「効率的な暗記方法」は、地理・歴史・公民のどの分野にも共通します。
また、社会に限らず、他の教科の暗記モノにも使えるので、知っておくとお得ですよ。
社会の用語の効率的な暗記方法は…
- ストーリー(因果関係)を理解する
- 用語の意味を理解する
- 一問一答ですらすら言える
- 一問一答ですらすら書ける
- 練習問題でアウトプットする
の5ステップです。
1つずつくわしく見ていきましょう。
ストーリー(因果関係)を理解する
まず、単語そのものよりも、その単元のストーリー(因果関係)を理解しましょう。
歴史はストーリーを意識しやすいですね。
たとえば…
奈良時代に疫病やききんがよく起こった。
→聖武天皇は仏教に頼った政治を行う。
→国分寺・国分尼寺、大仏を建立する。
というように、奈良時代のメインストーリーを理解したうえで、「行基」「鑑真」「天平文化」「正倉院」などのキーワードを肉付けしていきます。
用語だけを丸暗記するよりも、ストーリーの中で、どんな人物が出てきて、どんなできごとが起こったのかを知った方が、記憶に残りやすく、忘れにくくなります。
地理は、ストーリーが見えにくいですが「因果関係」はあります。
たとえば…
九州のまわりは暖流が流れ温暖で、また、火山が多い。
→火山灰に覆われた台地
→米作りと相性が良くない
→畑作(さつまいも・茶)や畜産(ぶた・とり)が盛ん
というように、地形や気候を軸に、「日本海流(黒潮)」「対馬海流」「桜島」「阿蘇山」「カルデラ」「シラス台地」「促成栽培」などのキーワードをからめて覚えた方が、覚えやすく、忘れにくいでしょう。
英単語も単語だけで覚えるよりも、文脈で覚えた方が覚えやすいのと同じやな
用語の意味を理解する
ストーリー(因果関係)を理解するのと同じように、用語の意味を理解しておくことも大切です。
たまに、用語の意味を知らないまま、言葉を覚えようとしている子どもたちがいます。
平等権、平等権、平等権
自由権、自由権、自由権
社会権、社会権、社会権
と、がんばっておぼえているのですが、「社会権ってどういう権利?」とたずねても、よくわからないまま覚えようとしていることがあります。
ただ、漢字や英単語でも同じですが、意味の分からない言葉って、覚えにくいですし、忘れやすいですよね…
ですので、用語を覚えるときには、言葉の意味を確認したうえで、暗記トレーニングをするようにしましょう。
一問一答ですらすら言える
では、「暗記する」「覚える」と言っても、具体的に何をすればいいのでしょうか?
それは…
一問一答形式で自力で答えられる
ようにすることです。
一問一答形式の問題とは…
(1)平安京に遷都した天皇は誰ですか?
(2)比叡山延暦寺を建てて、天台宗を開いた僧は誰ですか?
(3)空海が開いた宗派を何と言いますか?
というように、シンプルな問いに答えを出すタイプの問題ですね。
まずは、一問一答で答えをすらすら「言える」ようにします。
え?
書く練習をしなくていいの?
と思われたかもしれませんが、書く練習は後回しにして大丈夫です。
というのも、「書ける」ためには、まず「言える」必要があるからです。
じゃあ、なおさら書く練習したほうが、一石二鳥じゃない?
と、さらに思われたかもしれませんが、子どもってそうかんたんにはいかないんですよね…
おとなからすれば、かんたんな漢字でも、子どもから見たら、読むのも難しい漢字ってあるんです。
もしいきなり書く練習をさせてしまうと…
- 用語自体を覚える作業
- 漢字を覚える作業
の2つを同時にさせてしまうことになります。
これは、2つのことを同時にさせるマルチタスクは、社会や漢字が苦手な子どもたちにとっては、実はけっこうな負担です。
実は、他の教科でも、ステップを踏んで勉強した方がいい場合があります。
ですので、書く練習はいったん置いておいて、「すらすら言える」ことに徹しましょう!
漢字が得意な子にとってもメリットがあります。
さっさと「言える」ようにして、難しい漢字だけ練習すればいいんです。
一問一答ですらすら書ける
すらすら言えるようになったら、すらすら「書ける」ようにしていきましょう。
すらすら「言える」ように練習できていれば、すらすら「書く」負担は少ないでしょう。
すらすら「言える」のに、すらすら「書ける」ようになかなかならないのであれば、社会ではなく、漢字の学習に原因があるかもしれません。
漢字の学習も見直すといいでしょう。
練習問題でアウトプットする
すらすら「言える」「書ける」ようになったら、一問一答形式を卒業します。
問題集の他のページについている練習問題に移りましょう。
練習問題、基本問題、標準問題、発展問題など、ネーミングはさまざまです
一問一答で暗記することは大切なのですが、一問一答ばかりで練習する弊害もあります。
それは…
- 場所で答えを覚えてしまう
- 問われ方が変わると答えられない
という弊害です。
子どもって丸暗記する力がありますから、問題をよく読まずに、場所で答えを覚えてしまう子もけっこういます。
(6)の答えは、武家諸法度。
その次は、参勤交代。
でも、これでは、社会の用語を覚えたことにはならないですよね…
同様に、問われ方が変わると、答えられなくなってしまうことがよくあります。
一問一答のおかげで「3代将軍徳川家光が武家諸法度を改定して制度化したルールは?」という問いには「参勤交代」と答えられます。
でも、「参勤交代は誰が制度化した?」と問われても、「徳川家光」が出てこないということ。
そうならないためにも、違った角度から出題される練習問題を解きましょう。
そうすることで…
違った角度から知識を定着させられる
でしょう。
※中学生の社会の定期テスト対策について、くわしくはこちらの記事をご覧ください↓
地理の勉強法
「やってはいけない暗記法」と「効率的な暗記方法」を紹介してきました。
これらは、地理・歴史・公民のどの分野にも共通しています。
そのうえで、各分野で注意しておきたいポイントを解説しておきます。
まず、地理の勉強方法を見ていきましょう。
地理の勉強法は…
- 地名のインプット
- 系統地理のインプット
- 地誌のインプット
の3つがポイントです。
まず、「地名」をある程度覚えておかなければなりません。
都道府県や主な国の名前は、必ず身につけていきましょう。
これらは知識の「土台」にあたります。
覚えていなければ、他の地理の知識を理解しにくくなるでしょう。
九九を覚えてなかったら、算数の勉強ができへんのと同じやな
ただし、なじみのない国、川や平野、山地・山脈などは覚えにくいもの…
そういったなじみのない地名は「系統地理」や「地誌」を学びながら、覚えていくといいでしょう。
「系統地理」というのは…
地形・気候・農業・工業・水産業・環境問題などのように、場所に関係なく分野ごとに学習していく地理
のことです。
一方、「地誌」というのは…
九州・中国・四国地方、アジア・ヨーロッパなどのように、地域ごとに学んでいく地理
のことです。
「系統地理」と「地誌」を学ぶことで、同じ知識でも違った角度で学べます。
例えば、「促成栽培」は、系統地理では「農業」の単元で学びます。
一方、地誌では「九州・四国地方」で学びます。
このように、系統地理が「縦糸」、地誌が「横糸」のようになり、知識を強化することができます。
また、同時に「地名」も覚えやすくなります。
地理の勉強法について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
歴史の勉強法
次に、歴史を勉強するポイントについて、見ていきましょう。
歴史の勉強法は…
- ストーリーを理解する
- ビジュアルで記憶に残す
- テーマ別で復習する
の3ステップです。
まず、さきほど紹介した通り、ストーリーを理解するのが先決です。
細かい知識は、後から肉付けしていきましょう。
また、こちらも先ほど紹介した通り、写真やイラストを使って、ビジュアルで記憶に残すようにするのがおすすめです。
大河ドラマとか歴史マンガの方が、イメージわくやんな
ひととおり歴史を学び終わった後は、「テーマ別」で復習するのがおすすめです。
「テーマ別」というのは…
- 政治史
- 経済史
- 外交史
- 人々の暮らし
- 文化史
- 宗教史
などです。
1つのテーマについて、歴史を追いかけていきます。
歴史の勉強方法について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
公民の勉強法
次に、公民の勉強法についてみていきましょう。
公民の勉強法は…
用語の意味を理解する
ことを重視しましょう。
基本的な勉強法は、地理と歴史と同じなのですが、公民は用語の意味がわかりにくい…
例えば、人権を学ぶとき、「社会権」「生存権」「請求権」など、どんな権利かわかりにくい…
裁判所を学ぶときも、「控訴」「上告」「原告」「被告」「被疑者」「被告人」などややこしい…
ですので、地理や歴史以上に、用語の意味を確認して覚えるようにしましょう。
公民の勉強法について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
社会のおすすめ問題集・参考書
基本的には、塾に通っているなら、塾のテキストや問題集をやりこむことをおすすめしています。
また、ストーリーを理解するなら学校の教科書が、読み物としてよくまとまっています。
カラーで写真やイラストも掲載してくれているので、ビジュアルで学ぶにもピッタリです。
でも、中には、「手持ちの教材が合わない…」というお子様もいるでしょう。
その場合には、市販の教材を使うのもいいですね。
中学受験・高校受験におすすめの問題集・参考書をまとめた記事があります↓
中学受験の社会の学習におすすめの問題集・参考書はこちら↓
高校受験の社会の学習におすすめの問題集・参考書はこちら↓
また、文字を見て勉強するのが苦手なお子様は、映像を見て学んでもいいでしょう。
最近では教育系のYouTubeも充実していますし、オンラインの教材もたくさんありますね。
ただ、社会への苦手意識が強い場合、独学が難しいという子も多いでしょう。
その場合には、個別指導や家庭教師を利用して、苦手意識を取り除いていきましょう。
勉強方法から教えてもらうのも大切ですね。
まとめ:社会の勉強法・暗記法
ひとくちに「暗記」と言っても、いくつかのステップに分かれていました。
おとなから見たら「覚えるだけなのに…」と思ってしまいますが、子どもにとっては、そのどこかのステップでつまずいているものです。
お子様がつまずいている暗記のポイントをクリアし、覚えるのをサポートしてあげてくださいね!