こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、説明文の読解が苦手…
どうやって教えたらいいの?
そのように悩んでいるお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回は、説明文の読み方テクニック第3弾です。
今回の記事では…
- 説明文の5つの「型」(パターン)
がわかります。
説明文に対して苦手意識を持っているお子様は、「型」を知らずに読んでいます。
きっとどこに重要なことが書かれているのかがわからず、すべて「平坦」な文章に見えていたでしょう。
しかし、筆者は大事なことを伝えるために、書き方のテクニックを使っています。
ということは、読む側もテクニックを知っていれば、読みやすくなります!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
説明文の5つの「型」とは?
説明文は、論理的文章とも呼ばれます。
ものごとを順序立てて説明している文章
のことですね。
論理的に説明するのは、ランダムに思いついたことを書くわけにはいきません。
多くの書き手は、相手に伝わる「型」に沿って書いています。
その「型」とは…
- 「キーワード」強調型
- 「主張&具体例」型
- 対比型
- 「Q&A」型
- 列挙型
などです。
いろいろな文章のタイプがありますが、この5つの型がよく使われます。
小学生に「型」は必要ない!
受験では「解くテクニック」だけでじゅうぶん!
というように、「読」よりも「解」を重視する塾講師もいます。
(実際、解くテクニックも大切ではあります)
でも、文章の内容を理解していなければ、解きにくい設問があるのも事実。
また、解くテクニックだけでは、いずれ頭打ちになってしまうでしょう。
せっかくならワンランク上を目指して、説明文を読解していきましょう!
【第1の型】「キーワード」強調型
まず、説明文の1つ目の「型」は、「キーワード」強調型です。
自分の伝えたいことは、やっぱり強調したいですよね。
説明文の筆者も同じで、大事な言葉を強調したいのです。
では、強調されている言葉は、どうやって見つけるのでしょうか?
それは…
- 何度も登場する言葉に注目する
- セリフや固有名詞以外の「」に注目する
の2つの方法があります。
何度も登場する言葉に注目する
まず、筆者が伝えたいキーワードは何度も登場します。
強調したいのですから、何度も出てくるのは当然ですよね。
例えば、大阪南部の難関校、清風南海中学校<2017年度A入試>の説明文では、何度も出てきた言葉があります。
- グローバル人材
- グローバリズム
- グローバル戦略
- グローバル時代
- グローバル教育
そう、筆者は明らかに「グローバル」について語りたがっていますよね。
バレバレやな
このように何度も同じ言葉が出てきたときには、その言葉が文章を読むときのキーワードとなります。
そのキーワードについて知っている場合は問題ありませんね。
でも、そのキーワードのことを知らない場合には、どういう意味なのかを把握しなければなりません。
ですので、キーワードの「定義」をしっかりとつかみながら読むことが大事になります。
セリフや固有名詞以外の「」に注目する
次に、セリフや固有名詞以外の「」に注目するという方法もあります。
「」、つまり、かぎかっこはどのようなときに使われますか?
セリフちゃうん?
もちろん正解!
例えば、大阪府の進学校、大阪桐蔭中学校<2019年度後期入試>には、たくさんの「」が出てきました。
まず、出題文で「自分の子供の頃はこういう感じ方をしていたなあ」という箇所に「」がつけられています。
これはセリフですね。
また、アニメ作品のタイトルにも「」がつけられていました。
「魔女の宅急便」
「となりのトトロ」
「天空の城ラピュタ」
「ポケモン」
「ドラゴンボール」
などでした。
これらは作品名、つまり、固有名詞ですね。
固有名詞に「」や『』をつけておかないと、他の言葉とまぎれてしまいます。
しかし、セリフや固有名詞とは、異質な「 」も登場しました。
それは…
「ラーメン屋的供給構造」
大阪桐蔭中学校<2019年度後期入試>『ラーメン屋VSマクドナルド』(竹中正治)より
なにこれ?
いったい何でしょう?
セリフでも作品名などの固有名詞でもありません。
これは筆者が作った言葉、つまり、伝えたい「キーワード」です。
「ラーメン屋的供給構造」とは、日本のアニメ・漫画ビジネスの状況を表した言葉です。
大量生産するよりも、製作者がこだわりを持って、ユニークなものを生み出すビジネスのことを指しています。
試験中に「ラーメン屋的供給構造」を読んだ受験生も、おそらく「何これ!?」と戸惑ったことでしょう。
そのキーワードが何を意味しているのか、つまり、「定義」を探しながら読むことによって、文章がぐっと理解しやすくなります。
なんとなく読み流すのではなく、目的を持って読むことが大切です
中には「」以外に、〈〉や《》など、別の記号がつけられていることもあります。
もしかしたら「」がつけられておらず、見つけにくいキーワードもあるかもしれません。
意識的に「キーワード」を見つけるトレーニングをしながら、慣れていきましょう。
【第2の型】「主張&具体例」型
説明文の2つ目の「型」は、「主張&具体例」型です。
ふだん生活していても、「主張&具体例」はよく使っているはずです。
例えば…
ほら、この「たとえば」が、具体例の始まりですよね(笑)
書き手は、いくら伝えたいこと(主張)があったとしても、主張を何度も繰り返すだけでは、読み手は納得してくれません。
そのときに、具体的な例やエピソードを紹介して、説得力をアップさせます。
日常生活でもよく使ってるな
「2023年の阪神タイガースは強い!」と、訴えたいとしましょう。
その場合には、きっと…
<具体例>
やっぱり岡田監督の采配は渋いわ!
投手陣も調子ええで!
若手の新戦力も強いで!
<主張>
あかん!優勝してまう!
こんな風に、具体的な強いポイントを挙げて、主張するはずです。
強引な上に、阪神ファン以外のみなさん、ごめんなさい
説明文の筆者も同じです。
さきほど、大阪桐蔭中学校の入試問題を例に挙げましたが、「魔女の宅急便」「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」「ポケモン」「ドラゴンボール」といった名前が何のために挙げられていたのかというと、筆者の主張を補うためです。
アニメに代表される日本ポップ・カルチャーに見られるひとつの特徴は、文化的要素の雑多性、多様性である。
大阪桐蔭中学校<2019年度後期入試>『ラーメン屋VSマクドナルド』(竹中正治)より
その具体例として、さきほどのアニメーションのタイトルが紹介されていたわけです。
このように、筆者は主張を伝えるために、主張をサポートする具体例を紹介してくれているのです。
ですので、説明文を読むときには…
ああ、ここは具体例だな。
筆者は結局何が言いたいんだろう…
と、具体例をもとに、筆者の言いたいことをつかんでいく読み方が大切になります。
【第3の型】対比型
説明文の3つ目の「型」は、「対比型」です。
対比とは…
何かと何かを比べること
ですね。
比べることによって、2つのものごとの違いがはっきりします。
例えば、以前テレビの街頭インタビューで、このように答えている人がいました。
オーストラリアではコロナ感染者1人が出ただけで、ロックダウン(都市封鎖)したじゃないですか。それに比べて日本の緊急事態宣言は…
ロックダウンと緊急事態宣言の是非はさておき、ここではオーストラリアと日本のコロナウィルスへの対応を比較しています。
日本の政策について考えるときに、他の国と比べることによって、その違いが浮き彫りになるわけです。
さきほど紹介した、大阪桐蔭中学校<2019年度後期入試>では、「対比」も使われています。
日本のアニメ・漫画のビジネス構造と、ハリウッド映画のビジネス構造を比べて論じています。
- ハリウッド映画=巨額の資金を必要とするビッグ・ビジネス
- 日本のアニメ・漫画ビジネス=ユニークで小規模な「ラーメン屋的供給構造」
この場合も、日本のアニメ・漫画ビジネスを、ハリウッド映画のビッグ・ビジネスと比較することによって、その特徴を明らかにしていますね。
2つの違いを理解しながら、読めばええんやな
そういうこと
このように、「対比型」の説明文では、筆者は2つのものごとの違いを明確にしながら、説明してくれています。
ですので、読者もその違いに注目しながら、筆者の主張をつかんでいけば、うんと読みやすくなります。
【第4の型】「Q&A」型
説明文の第4の「型」は、「Q&A」型です。
塾では、「問題提起型」と指導していることもあります。
「Q&A」では、筆者が読み手に対して、質問(Qestion)を投げかけます。
ただ、質問が出されっぱなしで答えを教えてくれないのは理不尽ですよね…
ですので、問題を提起した筆者は、必ずどこかで答え(Answer)を書いてくれています。
なぜ、こんなまわりくどいことをするのでしょうか?
↑この文も問題提起ですね
それは、ためて…ためて…もったいぶって…答えを強調するためです。
漫画でもゲームでも、重要なボスキャラは最後に出てきますよね。
説明文も同じです。
はじめに問いかけをしておいて、読者を引き付けておきます。
そして、重要な答えを後で「種明かし」するわけです。
たとえば、さきほど紹介した清風南海中学校<2017年度A入試>の説明文でも、「Q&A」が出てきます。
そもそも、グローバリズムとは何を意味しているのか。
清風南海中学校<2017年度A入試>『グローバリズムという病』(平川克美)より
筆者は、グローバリズムとは何なのかを読者に問いかけています。
「あなたもいっしょに考えてみてね」
ということです。
読者は、グローバリズムの意味を探りながら、考えながら文章を読み進めます。
すると…
アメリカ化というバイアスを抜いてしまえば、グローバル化というのは、ただ歴史的な自然過程を言っているにすぎない。
清風南海中学校<2017年度A入試>『グローバリズムという病』(平川克美)より
このように、さきほどの問題提起に対する答えを、筆者は用意してくれていました。
「Q&A」を追いかけながら読むことで、筆者の言いたいことを見つけやすくなります。
【第5の型】列挙型
今回ご紹介する最後の「型」は、「列挙型」です。
「列挙」とは…
いくつかのものごとを並べること
ですね。
たとえば、英語検定1級のライティングでは、200~240語のエッセイが出題されます。
その際、「Give THREE reasons to support your answer」と指示され、3つの根拠を「列挙」するのがルールとなっています。
つまり…
- 私は~だと考えます。
- 第1に~。
- 第2に~。
- 第3に~。
このように「型」を使ってエッセイを書くのが、要求されています。
なぜ、このように「列挙」することが、必要なのでしょうか?
それは、列挙した方が「読みやすいから」です。
だらだらとたくさん説明が書かれていても、何が大切かわかりにくいですよね。
それに対して、段落をかえて「列挙」することによって、書かれている内容を整理することができます。
この記事でも、説明文のタイプを「列挙」してるやん
「列挙」を見抜くには、次のような言葉が目印になります。
- [1つ目] まず・はじめに・第一に・一つ目は
- [2つ目] 次に・第二に・また・二つ目は
このようなキーワードを見つけたら、「あ! 列挙しているな!」とピンと来ます。
1つ目が出てきたら、2つ目を探りながら読みます。
2つ目が出てきたら、3つ目もあるかもしれません。
このように、列挙されているポイントをつかみながら読むことで、内容が理解しやすくなります。
国語は「車の運転」に似ている
以上が、説明文でよく使われている5つの「型」です。
実際の文章では、これら5つのテンプレートが組み合わせて使われています。
もちろん人生経験もボキャブラリーが少ない小学生にとって、どんな「型」が使われているのか、どこが重要なのかわかりにくいことも多いでしょう。
ですので、何度もトレーニングする中で、読み方を身につける必要があります。
読解のトレーニングは、自動車の運転教習に似ていると言えます。
はじめは、ミラー・座席の位置、スピード感覚、後方確認など、すべてがぎこちないですよね。
でも、何度も運転しているうちに、1つ1つの動作を意識せずに、体が運転を覚えます。
国語の読解も同じです。
はじめは、どんな「型」が使われているのか、主張がどこにかかれているのか、手探りでしょう。
でも、何度も読みこなしているうちに、だんだんと筆者の力の入れどころが見えてきます。
「慣れ」も必要ってことやな
ただ、やみくもに読ませているだけでは、いつまでたっても読めるようにはなりません。
やはり車の教習と同じように、正しく運転できるように、教官が導いてあげる必要があります。
でも、クラス指導である塾の授業では、どこでつまずいているのかが講師からは見えにくい。
もし見えたとしても、1人1人に指導するのは難しいでしょう。
そう、実は国語って、マンツーマン指導に向いている教科です。
私もたくさんのご家庭で国語を担当しています
ですので、もし塾に通っていて、文章の読み方がままならない場合には、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。
まとめ:【説明文の読解テクニック その3】
説明文では、筆者は言いたいことを伝えるために「型」を使っています。
ですので、読み手も「型」を知っていれば、読みやすくなるのでした。
- 【第1の型】「キーワード」強調型
- 【第2の型】「主張&具体例」型
- 【第3の型】対比型
- 【第4の型】「Q&A」型
- 【第5の型】列挙型
このうちの1つが使われている場合もあれば、ご紹介した清風南海中学校や大阪桐蔭中学校の入試問題のように、いくつかの型を使っている場合もあります。
このような「型」に気づいたときには、キーワードや主張、対比されている2つのものごと、問題提起・答え、列挙を示す目印に、丸をつけたり、線を引いたりしておきましょう。
今回は、かなり実戦的な説明文の読み方をご紹介しました。
ただ、このような読み方は、一朝一夕にはできるようにはりません。
何度もトレーニングを積む中で、だんだんと身に付いていくものです。
また、国語は独学が難しく、ご家庭で教えるのも難しい教科です。
クラス形式の塾の授業でも、「つまずきポイント」が講師から見えにくいものです。
国語はマンツーマン指導に向いている教科です。
塾に通っているのに説明文の読み方に困っている場合には、国語に精通した家庭教師を利用するのもおすすめです。