こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、読んだ後も文章が真っ白…
線を引いたり、印をつけたりしなくて大丈夫かな…
そのような悩みを持つお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
塾の国語の先生からも…
文章の大事なところに線を引こう!
と指導されることがありますよね。
そう、今回のテーマは…
物語文での線引き・印つけ
です。
今回の記事では…
- 何のために線引き・印つけをするのか
- 物語文のどこに線を引き、印を付けるのか
がわかります。
物語の読み方を身につけて、物語文の読解を味方につけましょう!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
何のために文章に線を引く・印を付けるのか?
おとなは「重要なところに線を引こう」と指導しますが、子どもたちからは…
そもそも何のために線を引いたり、印つけたりするのかわかれへん!
という声が聞かれます。
では、何のために文章に線を引いたり、印を付けたりするのでしょうか?
それは…
読解の「補助線」になるから
です。
どういうことやねん?
算数の図形の問題を解くときに、「補助線」を引きますよね。
補助線を引くことによって、答えを導く糸口をつかむことができます。
また、計算問題でも、途中式やひっ算を残しておくものです。
国語の「線引き・印つけ」も同じです。
線を引いたり、印を付けたりすることによって、文章を読みやすく、設問を解きやすくできます。
「線引き・印つけ」の具体的なメリットは…
- 物語の流れを俯瞰できる
- 設問の答えやヒントに直結する
という2点です。
もったいぶらんと早く教えてや
落ち着いて。
順番に説明するで
線引き・印つけのメリット1.物語の流れを俯瞰できる
どんなときに、読解の「補助線」が役に立つのかというと、1つは…
物語の流れを俯瞰する
ときです。
「俯瞰」とは、「広い視野で全体を見渡すこと」です。
小学生が文章を読んでいると、どうしても知らない言葉や読めない漢字につまずきがちで、読むのに精いっぱいになってしまうことがよくあります。
目の前の文字・文をを読むことに気を取られて、ストーリー全体を理解することがおろそかになります。
でも、文章に線を引いたり、印を付けておけば、文字・文に集中しながらも、物語の展開を把握することに役立ちます。
国語が得意な子は、ボキャブラリー(語彙)が豊富で、視野が広いです
線引き・印つけのメリット2.設問の答えやヒントに直結する
文章に線を引いたり、印を付けたりすることのメリットの2つ目は…
設問の答えやヒントに直結する
ということです。
「大事そうやな…」と思われるところに線を引いたり、印を付けたりしておくと、その部分が設問の答えやヒントになっていることがよくあります。
設問を読んでみると…
あっ!
さっき線を引いたところに答え書いてるやん!
ということがよく起こります。
なぜなら、設問を作る出題者も、物語の「核」となる部分を、設問として問いやすいからです。
物語の「核」となる部分を出題して、受験生が解けていたら「あ、この子はきちんと文章を理解できているな」と、出題者・採点者は判断できます。
つまり、文章に線を引いたり、印を付けたりしておくことは、読解の「補助線」を引くことであり、「読」についても「解」においても役に立つと言えます。
どこに線を引いたり、印を付けたらいいの?
線を引けと言われても、どこに引けばいいのかわからん!
子どもたちの悩みは、ココですよね。
次に「どこに線を引いたり、印を付けたりすればいいのか」を考えていきましょう。
物語文では…
- 登場人物と人物像
- 場面が切り替わるところ
- 気持ちを表す言葉
の3つにまずは注目していきましょう。
線引き・印つけポイント1.登場人物と人物像
まず、登場人物の…
- 名前
- 人物像
に丸を付けたり、線引いたりしておきましょう。
丸をつけるのは、初登場のときだけで大丈夫です
「人物像」というのは、その登場人物が、「どんな人物か」ということですね。
例えば、導入文に次のように書かれてあったとします↓
【導入文】広毅はアメリカで生まれ、日本人夫婦に養子として育てられている。広毅は成績優秀で名門高校に通っているが、どこか満たれない毎日を送っている。
皆さんなら、どこに線を引いたり、印を付けたりしますか?
私ならこんな感じで線を引きます
【導入文】広毅はアメリカで生まれ、日本人夫婦に養子として育てられている。広毅は成績優秀で名門高校に通っているが、どこか満たれない毎日を送っている。
ほとんど線だらけやん
そう思われたかもしれませんが、特に導入文には大事な情報が詰め込まれています。
また、文章のはじめは、物語の場面をイメージするために、慎重に読み始めなければなりません。
ですので、どうしても導入文や冒頭は、線引き・印つけが多くなってしまいます。
また、家族がたくさん登場するときには、「家系図」をメモしておくと、後で見返したときに一目瞭然です。
子どもたちは意外と家族関係を表す言葉を知りません。
「甥」や「姪」はよくわかっていませんし、「おじ」や「おば」も「近所のおじさん・おばさん」だと思っている子も結構います。
さきほどの「養子」なども、ピンと来ない子が多いでしょう。
カツオとタラちゃん、兄弟やと思ってたわ
日本一有名な家族・サザエさん一家の家系図を、知らない子は結構いますよね(笑)
線引き・印つけポイント2.場面が切り替わるところ
次に、線を引くべきポイントは…
場面が切り替わるところ
です。
なぜ場面が切り替わるところで区切っておくといいのでしょうか?
それは…
- 読:ストーリーの展開を明確にするため
- 解:解くときにどの段落から攻めていくか手掛かりにするため
です。
また、場面が切り替わるところが、直接問われることもあります。
どういうこと?
こんな問題が出ます
〔問題〕この文章を3つの場面に分けるとき、2つ目の場面はどこからどこまでですか。そのはじめと終わりの5字ずつを抜き出して答えなさい。ただし、句読点も1字に数えます。
〔問題〕この文章には広毅が過去のことを思い出しているシーン(回想)があります。そのはじめと終わりの5字ずつを抜き出して答えなさい。ただし、句読点も1字に数えます。
いわゆる「場面分け問題」です。
きちんとストーリーの展開が理解できているかが問われます。
先に線を引いておけば、きちんと正解することができますね。
場面が切り替わるポイントは…
- 「時間」で分ける
- 「場所」で分ける
- 「人物」で分ける
のが一般的です。
場面が切り替わっている瞬間を見逃さないようにしましょう。
<「時間」で分ける場合のキーワード>
「次の日」「その夜」「1週間後」「広毅が中学生のとき」など「時間」の変化をあらわすキーワード
<「場所」で分ける場合のキーワード>
「学校から帰ると」「駅に到着すると」など「場所」の変化をあらわすキーワード
<「人物」で分ける場合のキーワード>
「父が帰ってきた」「先生が帰ったあと」など、「人物」の登場・退場をあらわすキーワード
線引き・印つけポイント3.気持ちを表す言葉
そして、最もたくさん線を引くことになるのは…
登場人物の気持ち
です。
物語というのは、基本的に登場人物たちの気持ちの揺れ動きをえがいているものです。
気持ちの変化がない小説ってないよな
ですので、登場人物の「気持ち」に線を引いて、追いかけながら読むことによって、ストーリーの展開を把握しやすくなります。
「気持ち」を表す言葉というのは、例えば…
<気持ちを表す言葉>
うれしい、かなしい、後悔する、申し訳ない、怒る
などですね。
また、直接的に「気持ち」を表す言葉が使われていなくても、間接的に「気持ち」を表している部分にも線を引いておくといいでしょう。
間接的に「気持ち」を表す言葉というのは、例えば…
<間接的に気持ちを表す言葉>
眉をひそめた ⇒ 不愉快
途方に暮れた ⇒ 呆然
顔を赤らめた ⇒ 恥
肩を落とした ⇒ 落胆
などです。
読解のためにも、語彙力(ボキャブラリー)をつけておくことも大切ですね。
こっちはちょっと難しいな…
もちろんトレーニングは必要です
また、「気持ち」は、設問でも狙われやすいです。
例えば…
〔問題〕 ――線①「顔をしかめた」とありますが、このときの広毅の気持ちにふさわしいものを、次のア~エから選び記号で答えなさい。
〔問題〕 ――線②「涙を浮かべた」とありますが、このときの広毅の心情を30字以内で書きなさい。
〔問題〕 ――線③「ただ立ち尽くした」とありますが、このときの広毅の感情を表す表現を、文章中から6字で抜き出しなさい。
どれもありそうな問題ですよね。
記号問題でも記述問題でも抜き出し・書き抜き問題でも、登場人物の「気持ち」に関する問題は、間違いなく出題されます。
ですので、登場人物の「気持ち」に線を引いておけば…
あっ!
あのとき線を引いたぞ
と、答えのヒントや、答えそのものになる可能性が高くなります。
国語はマンツーマン指導に向いている
もちろんいきなり線を引いたり、印を付けたりできるようになるわけではありません。
何度もトレーニングする中で、できるようになってきます。
ここに線を引いておいたほうが良いな…
あ、これ「気持ち」を表している語だ!
というように、繰り返し練習する中で、だんだんと精度が上がっていくでしょう。
そういう意味では、スポーツの練習や車の教習に似ているかもしれません。
基礎的な練習を繰り返しているうちに、意識せず、無意識でできることが増えてくる。
ただ、1つ重要なことは、国語の場合、どこまで読めていて、どこまで理解できているのかが、外からは判断できないことです。
ですので、クラス形式の塾の授業では、なかなか1人1人のつまずきに気づけません。
もし気付けたとしても、集団形式では対応しにくいというのが塾講師の本音です。
私も塾講師をしていたので、よくわかります…
ですので、国語はマンツーマン指導に向いている教科です。
もし、塾に通っていて、読み方・解き方に困っている場合には、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。
まとめ:物語文で線を引く・印を付けるコツは
線引き・印つけは、読解の「補助線」です。
線引き・印つけのメリットは…
- 物語の流れを俯瞰できる
- 設問の答えやヒントに直結する
でした。
線を引いたり、印を付けたりするポイントは…
- 登場人物と人物像
- 場面が切り替わるところ
- 気持ちを表す言葉
の3つです。
ただ、線引き・印つけに、100%の正解はありません。
自分なりの工夫で、読みやすく解きやすくすることが大切ということです。
線を引かなくても、高得点を取れる子もいます。
でも、今、読解に困っているなら、線引き・印つけから始めてはどうでしょうか?
おう
やってみるわ
線引き・印つけは、一朝一夕でできるようになりません。
何度も試行錯誤しながら、だんだんと適切な部分に線引き・印つけができるようになります。
はじめは塾の先生の見よう見まねや、自分の予想でかまいません。
少しずつ、物語文の展開を押さえた線引き・印つけができるように、トレーニングしていきましょう!
ご家庭で読解の指導が難しい場合には、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。