こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
社会って覚えるだけでしょ?
でもうちの子、地理が苦手みたい…
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では、社会の重要な1分野である…
- 「地理」の効率的な学習法
がわかります。
社会は覚えれば得点が安定する「おいしい教科」です。
ぜひ地理を味方につけてくださいね!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
地理の勉強方法の「全体図」
まず、地理の勉強方法を具体的にお伝えする前に、地理の勉強方法の「全体図」をお伝えしておきます。
地理の「全体図」とは…
- 地名のインプット
- 系統地理のインプット
- 地誌のインプット
- 総合問題でアウトプット
という4つの構成だと、私は考えています。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
地名のインプット
まず、地理の学習の土台になるのが「地名のインプット」です。
最も代表的なのが、都道府県の名前と位置、県庁所在地名ですよね。
都道府県の位置や名前を覚えていなければ、次に説明する「系統地理」や「地誌」を学習する際に、とても苦労します。
算数で言うなら、九九を覚えていないのに、その先の計算問題を解くようなもの…
「地名のインプット」は、都道府県名以外にも…
- 山地・山脈・平野・半島・島
- 海・海流・川・湖・海岸
- 大陸・大洋・主な国々
などがありますね。
ただ、人生経験が少ない子どもたちにとっては、「地名が覚えられない!」と感じるはずです。
行ったことがない地名は、大人でもなかなか覚えられへんで
大人ならば、「伊勢志摩は真珠の養殖で有名だな」とか、「福岡の博多は大都市だ」とか、人生の中で地理に関する知識は蓄積されているものです。
しかし、子どもたちは「東北の中枢都市が仙台」と言われても、ピンと来ません。
島は海底で他の陸地と地続きになっていることを知らなかった子もいます。
島って、海の上でぷかぷか浮いていると思ってた!
と、ビックリしていました(笑)
※社会全体の勉強法・暗記法については、こちらの記事をご覧ください↓
地名は「系統地理」と「地誌」と並行して覚える
「地名」を先に覚えておくと、後で学ぶ「系統地理」や「地誌」が楽になるのは確かです。
でも、実際には「系統地理」や「地誌」を学ぶのと、並行しながら「地名」をインプットしていくといいでしょう。
無理に地名だけ丸暗記させようとしても、社会が嫌いになるだけですよね
だから、「地名が覚えられない!」と悩みすぎる必要はありません。
予備知識や人生経験が少ないのですから、覚えられなくて当然なのです。
「系統地理」と「地誌」を学びながら、知識が網の目のようにからみ合うことで、「地名」という知識もだんだん覚えやすくなってくるはずです。
系統地理のインプット
次に重要なインプットは「系統地理」です。
さきほどから何度も「系統地理」という言葉が出てくるので、「系統地理って何や!」とモヤモヤしていたかたもいらっしゃるかもしれません。
「系統地理」とは…
- 地形
- 気候
- 農業
- 工業
- 水産業
- 環境問題
などのように、場所に関係なく、分野ごとに学習していく地理のことです。
つまり、系統地理は「テーマ別」に地理を学ぶことですね
「系統地理」の勉強法のポイント
「系統地理」の勉強のポイントは…
「なぜ?」と「だから」を理解する
ことです。
例えば、気候の学習で「瀬戸内地方は雨が少ない」という内容を学習するときに、単に「瀬戸内地方=雨が少ない」と覚えるのは無理があります。
「なぜ?」と「だから」を学ぶと理解が深まります。
なぜ瀬戸内地方は雨が少ないの?
それは、山に囲まれていて、瀬戸内地方に届く雨雲の量が少ないからですね。
夏は南東の季節風が吹いてきますが、太平洋で水分を含んだ雨雲は、四国山地の南側で雨を降らせてしまいます。
一方、冬は北西の季節風が吹いてきますが、日本海で水分を含んだ雨雲は、中国山地の北側で雨を降らせます。
だから、四国山地と中国山地を越えて、瀬戸内地方に風が届くときに、雨雲は小さくなっています。
瀬戸内地方は雨が少ない、だから?
雨が少ないとうれしいですよね。
でも、雨が少なすぎると、水不足になっていまします。
ですので、香川県では、昔から「ため池」を作って、水不足に備えています。
それに、隣の徳島県を流れる吉野川から、水をもらっています(香川用水)。
「四国山地」「中国山地」「季節風」「ため池」「香川用水」「吉野川」という用語を覚えなければなりません。
でも、単なる丸暗記では、覚えにくい上に、忘れやすいものです。
そこで「なぜ?」「だから」という因果関係を理解しておくと、覚えやすく、忘れにくくなるでしょう。
確かに丸暗記よりも覚えやすいな
地誌のインプット
次は、「地誌のインプット」について見ていきましょう。
「地誌」というのは、各地方の勉強です。
学校の教科書や塾のテキストの目次はきっと次のようになっているでしょう。
- 九州地方
- 中国・四国地方
- 近畿地方
- 中部地方
- 関東地方
- 東北地方
学習の手順としては、「系統地理」で地理全体のイメージをつかんだ後、「地誌」でくわしく各地方を学ぶ。
あるいは、「地誌」で各地方を詳しく学んでから、「系統地理」でテーマ別に学ぶという流れになります。
ということは、「地誌」を学んだあと「系統地理」で復習ができる、「系統地理」を学んだあと「地誌」で復習できるということです。
めっちゃ効率的やん
例えば、系統地理で「近郊農業」を学習しました。
「近郊農業」とは、「大都市の近郊で行う農業」と学びます。
地誌で「近畿地方」を学習するときに、再び「近郊農業」が登場します。
代表は、兵庫県淡路島のたまねぎですね。
関西圏に住む子どもたちなら…
知ってる!
淡路島に行ったことある!
というような反応も返ってきます。
「近郊農業」のメリットは、大都市近郊で野菜を作ることによって、新鮮なままたくさんの消費者に食べてもらえることでした。
スーパーマーケットに行くと、淡路島産のたまねぎがたくさん売られてるで
というように、「系統地理」で学んだ知識を、「地誌」でさらに深めていくことができます。
「系統地理」の復習も「地名」の暗記もできる
また、はじめにご紹介した「地名のインプット」も、「地誌」で暗記が深まります。
「地名のインプット」は、ともすれば単なる丸暗記になってしまいがちです。
しかし、「地誌」で各地方の地名をあらためて学習することによって、「地名」も単なる暗記ではなく、他の知識と結びついた地名のインプットが可能です。
確かに各地方を学んだ方が、イメージわくよな
例えば、「地名のインプット」では、「桜島」「シラス台地」といった知識はただの羅列に感じてしまいます。
でも、「地誌」を学べば…
桜島・シラス台地の暗記
桜島は、噴火によって、鹿児島県本土とくっつきました。
また、その火山灰が降りつもって「シラス(白い砂)台地」ができました。
だから、米作りに向いていないので、畜産が盛んです。
鹿児島県や宮崎県は、豚やニワトリの飼育で有名です。
というように、「地名」も「地誌」の知識とからみ合って、だんだんと定着が深まっていきます。
総合問題でアウトプット
さあ、最後の仕上げは「総合問題でアウトプット」です。
これまで「地名のインプット」・「系統地理のインプット」・「地誌のインプット」で、単元別に学習してきました。
きっと頭の中には、ある程度、知識が入り、整理されていることでしょう。
しかし、入試や実力テストでは、テスト範囲が示されていません。
つまり、テストでは、何の単元の問題が、どんな順番で出てくるかわからないのです。
単元別やったら解けるけど、ごちゃ混ぜにされると難しくなるよな
そこで重要になるのが、「総合問題でアウトプット」することなのです。
総合問題を解いてみると…
覚えていたつもりなのに、忘れてた!
知っていたのに、答えられなかった…
あ、この単元は弱点だった…
というように、単元学習では見えなかった課題が浮き彫りになります。
しかし、落ち込む必要はありません。
弱点をあぶりだすのが、総合問題でアウトプットすることの目的なのですから。
出てきた自分の弱点を、どんどん克服していきましょう。
弱点=のびしろ
やで!
具体的には、次に紹介する「アウトプット暗記法」で、インプットし直していきましょう。
効率的な暗記(インプット)のコツ
ここまで、「地名のインプット」・「系統地理のインプット」・「地誌のインプット」について説明してきました。
ここで「インプット」、つまり、「暗記」の方法やコツを考えておきましょう。
「暗記(インプット)」のコツは?
- 知識を関連付けて覚える
- 写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す
- アウトプット暗記法
の3つです。
1つずつご紹介していきますね!
暗記のコツ1.知識を関連付けて覚える
まず、暗記の1つ目のコツは、「知識を関連付けて覚える」ことです。
このことはさきほど「系統地理」でご紹介した通りです。
単なる丸暗記ではなく…
「なぜ?」「だから」
を軸にして、因果関係で関連付けると、覚えやすくなるのでした。
また、「地名」・「系統地理」・「地誌」の学習が関連し合って、網の目のように知識がつながりあうと、記憶にも定着しやすくなります。
単なる丸暗記に頼らないようにしましょう。
暗記のコツ2.写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す
暗記の2つ目のコツは「写真やイラストを使ってビジュアルで記憶に残す」ことです。
「百聞は一見に如かず」と言いますよね。
いくら文字・文章を読んで頭で理解しよう暗記しようとしても、なかなか覚えにくいものです。
しかし、写真やイラストを目にすれば、それだけで記憶に残りやすいものです。
文字ばっかりでは、覚えにくいよな
「左脳」は、論理、つまり、ものごとを順序立てて理解し、考えることに向いていると言われています。
一方、「右脳」は、ビジュアルを理解する「芸術脳」だと言われています。
社会のテキストの文字・文章を読んで学習することは「左脳」重視の勉強方法と言えます。
一方、テキストや資料集の写真やイラストを目に焼き付けるのは、「右脳」重視の勉強法と言えますね。
左脳重視の勉強と右脳重視の勉強は、どちらのほうが大切、というわけではありません。
左脳と右脳はお互いに補完し合う関係なので、両方を使った学習がおすすめです!
中には、「耳」を使った方が、暗記しやすい子どもたちもいます。
自分に合った方法で覚えるとより効果的です。
暗記のコツ3.アウトプット暗記法
暗記の3つ目のコツは、「アウトプット暗記法」です。
え?
暗記ってアウトプットじゃなくて、インプットでしょ?
そう疑問に思われたかたも多いかもしれません。
しかし、これは書き間違いでも何でもなく、「アウトプット暗記法」です。
「入試」や「テスト」というのは、知識を頭に入れる作業でしょうか?
それとも、知識を頭から出す作業が、「入試」や「テスト」でしょうか?
もちろん、頭に入っている知識を頭から「出す」のが、入試やテストです。
つまり、ふだんから知識を頭から「出す」、つまり、アウトプットを意識して、学習に取り組まなければなりません。
確かにそうやな…
具体的には…
- テキストの一問一答を自力で解く
- 暗記ペン・暗記シート(下じき)を使う
というのがオーソドックスな「アウトプット暗記」です。
アウトプット方法1.テキストの一問一答を解く
社会のテキストは、まず解説ページが載っています。
そして、解説ページで紹介した知識を「一問一答」の形で問う、基本問題が掲載されていることが多いでしょう。
その「一問一答」の問題を解くことによって、頭の中に知識を入れていきます。
その際、気を付けなければならないのは、「答えや解説ページを見て、答えを写して終わり」にしてしまわないことです。
答えや解説ページを参考にするのは構いませんが、それでは知識が頭に入ったとは言えませんよね。
テスト本番は、答えを見ることも、解説ページを参照することもできないのですから!
「自力」で解けることが大事ですね
一問一答形式で問題なく解けるようになったら、他の練習問題に進みましょう。
解ける問題がずいぶん増えているでしょう。
中学受験の社会のおすすめ問題集・参考書についての記事はこちらです↓
高校受験の社会のおすすめ問題集・参考書についての記事はこちらです↓
アウトプット方法2.暗記ペン・暗記シート(下じき)を使う
また、暗記ペン・暗記シート(下じき)を使うという方法も一般的ですね。
オレンジ色やピンク色のペンで、重要な情報を書きます。
そして、赤色のシートや赤色の下じきで覆うと、オレンジ色・ピンク色の文字が消えます。
つまり、暗記ペンと暗記シート(下じき)を使えば、どんなノートでも、暗記テキストに早変わり。
自分で、暗記テキストを作ることが可能です。
暗記の定番やな
そして、一問一答を解くときのように、暗記シート(下敷き)で隠して、答えや解説ページを見ずに、自力で答えられるようにトレーニングしましょう。
このように、暗記(インプット)するためには、アウトプットを意識した学習が必須となります。
くれぐれも「見るだけ」「写すだけ」「線を引くだけ」という「形だけ」の学習にならないように気を付けましょう。
こういう中途半端で効率の悪い勉強のしかたを「だけ勉」と私は呼んでいます
歴史の勉強法については、こちらの記事をご覧ください↓
公民の勉強法については、こちらの記事をご覧ください↓
まとめ:【中学受験・社会】地理の勉強方法
社会の地理の勉強法をお伝えしてきました。
記事を読みながら、お子様にとってどこがボトルネック(苦手なポイント)になっていたのか、考えたのではないでしょうか?
社会は、覚えれば覚えるだけ、点数が伸びる「おいしい教科」です。
入試のときにも、社会を味方につけることができれば、こんなにも頼もしい仲間はいません!
だからこそ、楽しく、そして、着実に知識を身につけてほしいと、いつも私は思っています。
皆様の地理の勉強の参考にしていただければ幸いです。
「ご家庭で独学が難しい…」という場合には、家庭教師などを利用するといいでしょう。