こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、不登校で勉強が遅れそう…
高校受験どうしよう…
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
お子様が学校に通っていないと、生活面や将来のことなど不安になってしまいますよね。
今回の記事では…
- 不登校の原因
- 不登校の中学生が高校受験に向けてできること
- 不登校の中学生の高校選び
がわかります。
勉強面で、少しでもお役に立てれば幸いです。
高校受験に向けて、できることを一歩ずつ進めていきましょう。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきましたが、特に最近不登校のお子様を担当することが増えてきています
不登校の原因は?
不登校のお子様が高校受験に向けてすべきことを紹介する前に、不登校の「原因」について触れておこうと思います。
というのも、どんなことが理由で不登校になったのかによって、対応が違ってくるからです。
文部科学省のデータによると、2020年度(令和2年度)には、全国で19万人もの子どもたちが不登校になっています。
(文部科学省「R2児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)
子どもたちは、どうして学校に通わなく(通えなく)なっているのでしょうか?
不登校の理由はさまざま
文部科学省の「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書(令和3年10月)」によると、中学生が学校に行きづらくなる理由の上位は(複数回答)…
- 勉強が分からない(授業がおもしろくなかった、成績がよくなかった、テストの点がよくなかったなど):41.8%
- 生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど):34.9%
- 友達のこと(いやがらせ・いじめ以外):32.9%
- 身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど):29.0%
- インターネット、ゲーム、動画視聴、SNS(LINEやツイッターなど)などの影響(一度始めると止められなかった、学校に行くより楽しかったなど):23.3%
となっていました。
お子様がこれらの理由で学校に行きにくくなったという、ご家庭も多いのではないでしょうか?
また、いくつかの理由がからみあって…
何が不登校のきっかけかよくわからない
という子もたくさんいるようです。
今回の記事では、中学生が学校に行きづらくなる理由の1番目に挙がっていた「勉強が分からない」という子どもたちが、高校受験へ向けて、どうやって準備していけばいいのかを紹介していきます。
学ぶために学校に行くのに、勉強がわからなくて学校に行くにくくなるのは、つらいですよね…
いじめやいやがらせ、身体の不調が原因で不登校になっている場合には、学校や病院、お住まいの地域の相談窓口を利用することができます。
文部科学省では、ホームページで「不登校への対応について」掲載しています。
子どもが不登校になった場合や不登校の傾向が見られる場合,まずは在籍校と十分に連絡を取ることが重要です。
学校の設置者である教育委員会では,「教育センター」や「教育相談所」などで,児童生徒等に関する教育相談を行うための相談窓口を設けています。また,不登校に関する支援等を行うために教育委員会が設置している「教育支援センター(適応指導教室)」では,不登校に関する相談活動を行うと 同時に,不登校児童生徒に対する通所指導(カウンセリング,教科指導,体験活動など)を行っています。
さらに,厚生労働省が所管する児童相談所,保健所,精神保健福祉センター等においても,相談活動を行っています。
これらの相談窓口については,地域において名称等が異なりますので,詳しくは各都道府県・市区町村でお問い合わせください。文部科学省ホームページ「不登校への対応について」より引用
つまり、お住まいの地方自治体の問い合わせることから始めるといいでしょう。
不登校の中学生が高校受験に向けてできること
では、中学校に通っていない(通えていない)場合、高校受験に向けて、どうやって勉強に取り組んでいけばいいのでしょうか?
- ある程度中学校に通っている場合
- ほとんど中学校に通っていない場合
の2つに分けて考えていきましょう。
ある程度中学校に通っている場合
まず、ある程度は中学校に通えている場合について、見ていきましょう。
ある程度、学校に通っているというのは…
- 行ったり行かなかったりする「五月雨登校」
- クラスには入りにくい「別室登校(保健室登校)」
- 「オンライン授業」で参加
などの場合です。
自分の教室ではあまり授業が受けられていないので、勉強の進度が遅れがちになってしまっている子も多いでしょう。
五月雨登校・別室登校(保健室登校)の場合には、足場は学校に置いておいて、学校の「外」で勉強を補うという方法が使えます。
具体的には…
- 集団塾を利用する
- 個別指導塾・家庭教師を利用する
- フリースクールを利用する
の3つです。
それぞれほりさげて見ていきましょう。
集団塾を利用する
まず、学校には通いにくいけれど、塾には通えるという場合には、「集団塾」を利用できます。
塾ならば、高校受験を見すえてカリキュラムを組んでいるので、学校に通っていなくても、単元の漏れなく学べます。
また、曜日で教科が決まっている塾が多いので、学習のスケジュールも組み立てやすいでしょう。
全国に5万以上の塾があると言われています。
お子様に合った学びの場が、「塾」にあるかもしれません。
塾ってそんなに多いんか!
小学校が全国で約2万校あると言われているので、それ以上です
個別指導塾・家庭教師を利用する
学校に足場を置きつつ、他の学びの場として集団塾を紹介しましたが、中には…
同じ学校の子がいる塾には行きたくない…
というお子様もいるかもしれません。
その場合には、講師と1対1で学習できる個別指導塾・家庭教師を利用するといいでしょう。
不登校のお子様の場合、学校に通う日数が少なくなり、学習の進度が遅れてしまうことがよくあります。
でも、個別指導塾や家庭教師なら、自分のペースで苦手な単元から学び直すことができます。
実際、私もプロ家庭教師として、不登校のお子様を担当することが増えてきています
特に最近は、オンライン個別指導やオンライン家庭教師も広がってきました。
もし、講師との距離感などの対人関係に不安がある場合には、オンラインを利用するのも1つの方法ですね。
フリースクールを利用する
また、学校でも塾でもない、第3の学び場として、フリースクールも最近増えてきています。
学校教育法第1条にもとづく正式な学校ではなく、個人や民間企業、NPO法人などが運営しているスクールです。
ですので、通っている学校に籍を置きつつ、フリースクールに通うことになります。
(中には、地方自治体が設置して、民間の団体が運営している「公設民営」のフリースクールもあります)
フリースクールをかんたんに説明すると、学校のように、全員が一様に同じことを学ぶのではなく、柔軟に学べる学校外の空間です。
どんなフリースクールがあるのかわからない…
とお悩みのお母様・お父様も多いでしょう。
NPO法人フリースクール全国ネットワークやNPO法人日本フリースクール協会などのグループに相談することができます。
また、お近くにフリースクールがない場合には、オンラインのフリースクールを利用するという手もあります。
たとえば「クラスジャパン小中学園」というオンライン型フリースクールでは、自宅のパソコンやタブレットを使って、教科学習ができます。
また、教科の勉強だけでなく、ホームルームや部活動もあり、全国の子どもたちとつながることも可能です。
ほとんど中学校に通っていない場合
次に、ほとんど中学校に通っていない場合について、見ていきましょう。
あまり学校に通えていない場合、出席日数を重視するかどうかで勉強の仕方が変わってきます。
出席日数を重視しない場合
あとで紹介する進学先にも関係しますが、私立高校や専門学校、通信制高校などを目指している場合には、出席日数を気にする必要はあまりありません。
ですので、さきほど紹介した…
- 集団塾を利用する
- 個別指導塾・家庭教師を利用する
- フリースクールを利用する
などを利用して、お子様に合った環境で、学習に取り組むといいでしょう。
その際、不登校のお子様に理解があったり、指導経験があったりする講師を選ぶことが大切です。
個別指導塾や家庭教師は、大学生のアルバイト講師がほとんどなので、専門的な配慮が必要な場合には注意してくださいね
出席日数を重視する場合
一方、公立高校を目指す場合などは、定期テストで結果を残し、通知表(内申)を確保しておかなければなりません。
その場合には、ある程度は「出席」が必要となります。
うちの子、学校にほとんど通ってないから出席日数が足りない…
そのように悩まれているお母様・お父様も多いはずです。
また、定期テストや実力テストの日に学校を休んでしまうと、テストの点数も評価してもらいにくくなります。
そのような場合には、学校外での学習を出席扱いにしてもらえるという方法があります。
たとえばさきほど紹介した「クラスジャパン小中学園」は、オンラインのフリースクールですが、そこでの学習を出席扱いにしてもらえるようサポートしてくれます。
ただし、出席扱いにできるかどうかは、学校長の認可が必要です。
学校と連携が取れるようにしておくことが大切ですね。
「ホームスクール」=家で学ぶ
塾・家庭教師・フリースクールなどを利用せず、家で学んで「出席扱い」にしてもらうという方法もあります。
いわゆる「ホームスクール」や「ホームスクーリング」と呼ばれる方法です。
「不登校」っていう名前に比べると、ポジティブに感じるやん
「スクールナビ」というサイトによると、アメリカでは、2016年に約230万人もの子どもたちがホームスクーリングを選択しています。
さきほど紹介した、日本の不登校の子どもたちの人数の10倍です。
アメリカの人口は、日本の人口の約2.5倍なので、家で学ぶ子どもたちの人数が、いかに多いかがわかります。
また、その人数は日本の不登校生徒の人数と同じように、年々増え続けています。
発明王トーマス・エジソンは学校に通わず母親が家で勉強を教えていたことは有名な話で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
スクールナビ「学校に通わないホームスクールという選択」より抜粋
学校に通わずに家で学ぶ、いわゆる「ホームスクール」を経験している著名人は他にもたくさんいます。
ジョージ・ワシントン、セオドア・ルーズベルトをはじめ歴代14名ものアメリカ大統領、カーネルサンダーズ等のビジネス創業者およびテイラー・スフィフト等の芸能人、芸術家、科学者、スポーツ選手など、錚々たる顔ぶれです。
このような有名人が、学校に通わず、家で学んでいたんだと知ると、イメージだけでなく、少し考え方も変わりますよね。
たとえば、無学年式のオンライン教材「すらら」を使って、自宅で学び、「出席扱い制度」を利用しているご家庭もあります。
「すらら」はパソコンやタブレットを使って、先生役のアニメーションキャラクターとともに学習を進めます。
その学習記録がオンライン上に残るので、学校の先生とも共有することができるというわけです。
「すらら」は全国の学校や塾でも導入されています
もちろん学校(校長)の認可が必要なので、即「オンライン教材=出席扱い」にできるわけではありません。
でも、もし出席日数のことで悩まれているなら、「出席扱い制度」が利用できるかどうか検討してみてもいいかもしれません。
もし「出席扱い制度」を考えているのであれば、まずは、市町村の窓口や学校の先生に相談するところから始めてみましょう。
不登校の中学生の高校選び
では、不登校の中学生は、どのように高校受験に臨めばいいのでしょうか?
次に、不登校の中学生にとっての、高校選びについて見ていきましょう。
高校選びのポイントは…
- 内申点がある⇒公立高校
- 内申点がない⇒私立高校
- 高校で学びたいことが明確⇒専門学科・専門学校
- 自分のペースで学びたい⇒通信制高校
の4点です。
1つずつ見ていきましょう。
内申点がある⇒公立高校
まず、通知表の点数がよく、内申点がじゅうぶんにある場合には、公立高校を受験できるでしょう。
もし将来やりたいことが決まっていたり、好きなことに打ち込みたいと思ったりしているなら、「専門学科」を受験してもいいでしょう。
まだ、学びたいことが決まっていないなら、「普通科」を選ぶ子がほとんどです。
中学3年生の段階で、将来の夢が決まっている子の方が少ないやんな
内申点がない⇒私立高校
あまり授業に参加できず、通知表が良くない…
定期テストの日に休んでしまって、点数が取れていない…
つまり、内申点が確保できていない場合には、(基本的に)内申点とは無関係な私立高校を選ぶといいでしょう。
特に私立高校の場合には、フォローが手厚いことがよくあります。
高校に入学してからも、学校に通えるか心配…
そのようにお悩みなら、面倒見の良い私立高校を探してみるといいでしょう。
高校で学びたいことが明確⇒専門学科・専門学校
さきほど紹介した通り、やりたいことや学びたいことが明確になっているなら、高校の専門学科を選ぶといいでしょう。
- 工業科
- 商業科
- 音楽科
- 英語科
- 国語科
- 体育科
など、興味に応じて、学べるように専門学科を用意してくれています。
また、専門学校(高等専修学校)に進むという方法もあります。
自動車整備、准看護師、理容・美容、介護士、服飾など、より実践的に知識や技術を身につけることができます。
自分のペースで学びたい⇒通信制高校
学校という「場」が合わない子には、通信制高校という道もあります。
実際、中学時代に不登校だった子たちの中で、通信制高校に進学する子が結構います。
「通信制」というと、学校に通わず、家で課題をこなすイメージが強いかもしれません。
でも、最近の通信制高校は「通学コース」を選ぶ受験生・編入生はかなりたくさんいます。
通信制やけど、通学したいって矛盾してる気もするけど…
やっぱり学校という「場」でのつながりが必要だと感じている、不登校の子たちは実は多いんだと思います
最近では、学校法人角川ドワンゴ学園が設置した「N高等学校」などは、話題になりました。
アイドルなどの芸能人が通信制高校に通っていたり、通信制高校が決してマイナーではなくなってきています。
通信制高校では、興味のあることを中心に、授業を選択できるようになっています。
学び方・学ぶ内容を、自分なりにカスタマイズしたい!
そのようなお子様には、通信制高校が向いているでしょう。
まとめ:【中学生の不登校】高校受験に向けてできること&高校選びのポイント
いろいろ紹介してきましたが…
学校だけがすべてじゃない
というのが今回の記事での、私の結論です。
だから、今、学校に通えていないというだけで、将来が閉ざされるわけではありません。
道はいくつもあります。
今はまだ自分のやりたいこと、好きなことが見つかっていなくても、いつか見つかる日が来ます。
焦ってしまうかもしれませんが、回り道に感じてしまうかもしれませんが、ゆっくりと一歩ずつ踏み出してくださいね。