こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、スマホばかり触ってぜんぜん勉強しない…
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- スマホの勉強面でのメリット
- スマホの勉強面でのデメリット
- 中学生・高校生がスマホ依存にならないための付き合い方
がわかります。
おとなでもスマートフォンとの距離の取り方は難しいものです…
中学生や高校生ならなおさらです。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
スマホの勉強面でのメリット
この記事をお読みのお母様・お父様も、スマートフォンをお持ちの方が多いと思います。
ですので、あらためてスマホのメリットは言うまでもないかもしれません。
連絡する、ニュースを読む、音楽を聴く、地図を見る…
仕事から遊びまで、あらゆる場面でスマートフォンを利用しています。
もはやスマホなしの生活なんて、考えられへんわ…
では、勉強面でのスマートフォンのメリットはというと…
- わからないことを調べられる
- オンラインで学べる
- オンラインで学習管理できる
- SNSで刺激がもらえる
の4つが大きいでしょう。
1つ1つ見ていきましょう。
わからないことを調べられる
まず、スマホを使えば、わからないことがすぐに調べられます。
たとえば、英語の勉強では、紙の辞書や電子辞書を持ち歩かなくても、スマホでインターネット検索すれば、その場で英単語の意味を調べることができます。
英単語だけでなく、日本語訳や英作文も翻訳機能を使えば、すぐに調べられます。
もちろんネット上の情報は玉石混交で、正しい情報だけとは限りません。
でも、使い方を間違えなければ、スマホを使って、たいがいのことは調べられるでしょう。
最近、紙の辞書だけでなく、電子辞書さえ使わない中学生・高校生が増えてきました…
オンラインで学べる
インターネットに常に接続されている世の中です。
いつでもどこでも、オンラインで自由に学べるようになりました。
たとえば、講義の動画が配信されるようになりました。
わざわざ予備校に行かなくても、有名・人気講師の講義が自宅で視聴できます。
教育系のYouTubeなら、だれでもアクセスできますよね。
もちろん生の授業のライブ感というか、臨場感はないけどな
また、オンラインでの指導も一般的になってきました。
特にコロナウィルスが蔓延してからは、オンライン指導も子どもたちに受け入れられています。
学校、塾、家庭教師など、オンラインでサービスを受けられるのが一般的になってきています。
※中学生におすすめのオンライン家庭教師はこちら↓
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オンラインで学習管理できる
また、オンライン上で学習の管理ができるようになりました。
たとえば、「Studyplus(スタディプラス)」を使っている高校生は多いでしょう。
どの教材で何時間勉強したのかを記録することができます。
自分がどれだけ勉強をしたのかが、客観的に「見える化」できるので助かります。
私もTOEICの学習をするときに利用していました
また、サービスによっては、本人だけでなく、ご家族も学習の状況をオンラインで確認することができます。
たとえば、オンライン教材の「すらら」では、子どもの勉強内容が記録され、お母様・お父様がその進み具合をチェックできます。
もう勉強はしたの?
まだなの?
という不毛なやり取りをしなくてもいいのは助かりますよね。
SNSで刺激がもらえる
スマホを持っている多くの中学生・高校生が、SNSを利用しています。
X(ツイッター)などのSNSから、勉強の刺激を受ける子もいるでしょう。
- 目標を宣言する
- その日勉強することをつぶやく
- 達成したことを公開する
- みんなに応援してもらう
いわゆる「勉強アカ(アカウント)」同士で、フォローしあってつながります。
同じ状況の仲間を、オンライン上で見つけることで切磋琢磨します。
他の人の勉強記録を見て、「自分もがんばらないと!」と思えるのはすばらしいですよね。
SNSを使って、勉強へのモチベーションをアップさせることができます。
すごい時代になったな…
スマホの勉強面でのデメリット
一方、スマートフォンの勉強面でのデメリットは何なのでしょうか?
スマホの勉強面でのデメリットは…
- 時間が奪われる
- 集中力が奪われる
- 精神力が奪われる
- 睡眠の質が悪くなる
の4つだと私は考えています。
もう少し掘り下げてみていきましょう。
時間が奪われる
うちの子、1日中スマホをいじってる…
そのように心配しているお母様・お父様も多いでしょう。
スマートフォンであらゆることができるようになり、手放せなくなっている中学生・高校生が増えています。
精神科医のアンデシュ・ハンセンさんは、著書『スマホ脳』(久山葉子さん訳)で次のように書いています。
2017年10月、ここ20年間のインターネット使用習慣を調べた過去最大の調査『スウェーデン人とインターネット』の結果が発表された。(中略)
ティーンエイジャーは1日に3~4時間をスマホに費やしている。睡眠、食事、学校や保育園への移動を除けば、残る時間は10~12時間。この時間の3分の1以上、子供たちはスクリーンを見つめているのだ。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
これはスウェーデンでの調査ですが、日本においても同様でしょう。
3~4時間どころか、起きている時間中ずっとスマホを触っている子どももいます。
それだけスマートフォンに時間を割くのですから、他の時間を減らさなければなりません。
勉強への時間が減っているのは、かんたんに想像がついてしまいます…
特に子どもは衝動や欲望に歯止めをかける「前頭葉」がまだ未発達だそうです。
なので、子どもはスマホを触りたいという衝動を自分でコントロールするのは難しいということです。
集中力が奪われる
また、時間が奪われるだけでなく、勉強するときの集中力も奪われます。
さきほど紹介したアンデシュ・ハンセンさんの『スマホ脳』では、こんな研究データが出ています。
大学生500人の記憶力と集中力を調査すると、スマホを教室の外に置いた学生の方が、サイレントモードにしてポケットにしまった学生よりもよい結果が出た。(略)ポケットに入っているだけで集中力が阻害されるのだ。(中略)
ポケットの中のスマホが持つデジタルな魔力を、脳は無意識のレベルで感知し、「スマホを無視すること」に知能の処理能力を使ってしまうようだ。その結果、本来の集中力を発揮できなくなる。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
これはなかなか衝撃的な結果です…
スマホはポケットに入れておけば問題ないと思われがちですが、ポケットの中にあるだけで、集中力が奪われ̪る。
その結果が、成績にも影響を及ぼすというわけです。
最近では、スマートフォンだけでなく、スマートウォッチを身につけている子どもも増えてきています。
スマートウォッチが腕で何かを知らせるたびに、ちらりとそっちを見る子がいかに多いか…
スマホを触っていないと落ち着かない…
子どもだけでなく、スマホをついつい触ってしまい、仕事の効率が落ちてしまっているおとなも多いのではないでしょうか?
精神力が奪われる
さらに、精神科医であるアンデシュ・ハンセンさんは、スマホは精神にも影響を与えていると述べています。
スマホが普及した時期と、心の不調を訴える人が増えた時期が重なるとのこと…
特に最近では、SNSが子どもたちの精神に大きな影響を与えているといいます。
今の子供や若者は、クラスメートがアップする写真に連続砲撃を受けるだけではない。インスタグラマーが完璧に修正してアップした画像も見せられる。そのせいで、「よい人生とはこうあるべきだ」という基準が手の届かない位置に設定されてしまい、その結果、自分は最下層にいると感じる。(中略)
SNSを通じて常に周りと比較することが、自信を無くさせているのではないか。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
つまり、SNSで子どもたちは常に劣等感を感じているのではないか、ということです。
SNSで誰かとつながりあって、時間や集中力が奪われるだけでなく、自信や自己肯定感まで失っている…
さきほどスマホのメリットとして、SNSを通じて「良い刺激がもらえる」ことを挙げました。
でも、SNSを通じて「悪い刺激を受けている」としたら、それはデメリットでしかありません。
睡眠の質が悪くなる
また、スマホなどが発するブルーライトによって、寝つきが悪きなるとよく言われるようになりました。
さきほどから引用しているアンデシュ・ハンセンさんの『スマホ脳』でも次のように書かれています。
そばにあるだけで集中や記憶が妨げられるのと同じく、スマホが寝室にあるだけで睡眠が妨げられるようだ。小学校高学年の児童2000人にベッド脇のテーブルにスマホを置いて寝てもらったところ、スマホを側に置かなかった児童よりも睡眠時間が21分短かった。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
これは、小学校高学年を対象とした実験ですが、中学生・高校生でも同様でしょう。
私が担当するご家庭でも、スマホを手放せなくて、昼夜が逆転してしまったお子様もいます。
中には、学校に遅れるようになり、休みがちになる子もいます。
寝ている間に、勉強した記憶が定着するというのは、よく知られています。
また、睡眠不足が体に悪いことは、だれでも知っています。
睡眠の質が落ちることで、勉強にも良くない影響が出ているかもしれません。
中学生・高校生がスマホ依存にならないためのスマホとの付き合い方
では、中学生・高校生がスマートフォンに依存し過ぎないようにするには、どうすればいいのでしょうか?
スマホ中毒にならないためのスマホとの付き合い方は…
- スマホを使う時間を決める
- スマホを使う場所を決める
- 別のことに集中する
- デジタルデトックスを記録する
- 周りの人・道具の力を借りる
- 専門機関に相談する
の6つを紹介しておきます。
1つずつ見ていきましょう。
スマホを使う時間を決める
まず、スマホを使うor使わない時間を決めるのが、一般的です。
たとえば…
- SNSをチェックするのは1時間に1回だけ
- スマホを触るのは長くても5分だけ
- 1日に合計1時間以上はスマホを使わない
などでしょう。
「スマホ依存」や「スマホ中毒」の状態では、時間を決めても、自分を律することができないものです。
自分で自分をコントロールできないのが、依存や中毒です。
あとで紹介するように、周りの人の助けを借りることが必要でしょう。
スマホを使う場所を決める
「時間」と同じように、スマホを使うor使わない「場所」を決めるのも大切です。
たとえば…
- 勉強部屋にはスマホを持ち込まない
- 塾の自習室では電源を切っておく
- 友だちといるときは使ってOK
など、ルールを作っておくといいでしょう。
アンデシュ・ハンセンさんの『スマホ脳』では、次のようなデータも載っています。
英国ではロンドン、マンチェスター、バーミンガム、レスターにある複数の学校でスマホの使用を禁止した。生徒たちは朝スマホを預け、学校が終わると返してもらう。その結果、成績が上がった。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン
つまり、「学校ではスマホは使わない」というルールが、成果を上げたということです。
もちろん、スマホ依存・中毒の子どもたちにとっては、自分でルールを作って、そのルールを守ることは難しいでしょう。
周りのおとながサポートしてあげる必要があります。
別のことに集中する
スマホなどのデジタル機器から距離を取ることは、「デジタルデトックス」と呼ばれます。
デジタルデトックスする1番シンプルな方法は、スマホのことを忘れることです。
つまり、スマホと距離を置くために、別のことに集中するということです。
もちろん勉強に集中して、スマホと距離を置くのが理想です。
でも、なかなか勉強が手につかない場合には、部活動や他の習い事、趣味でもいいでしょう。
スマホをいじりながら、練習する高校球児はおらんやん
デジタルデトックスを記録する
かつて「レコーディングダイエット」という減量方法がはやりました。
レコーディングダイエットでは、食べたものやカロリー、毎日の体重を記録(レコーディング)します。
記録することによって、どれだけダイエットにコミットできたかを「見える化(意識化)」するわけです。
同じように、スマホと距離を置くデジタルデトックスも、レコーディングしてみるという方法です。
家計簿みないたもんですね
まずは、スマホの設定で「スクリーンタイム」をチェックしてみます。
今、自分がどれだけスマホに時間を費やしているのかを知ることが、デトックスの第一歩です。
そして、さきほど紹介した、スマホを触るor触らない「時間」や「場所」を決め、そのルールを守れたら、記録をつけていきます。
ルールを守れたら、カレンダーの日付にシールを貼ってり、丸をつけたりしてもいいでしょう。
勉強を習慣化させるために作った「習慣化シート」も、よければデジタルデトックスにお使いください。
日付を書き入れて、デジタルデトックスのルールを達成できた日に…
- シールを貼る
- 「達成」の文字をなぞる
など、ご自由にお使いください。
周りの人・道具の力を借りる
さきほどから何度か触れている通り、スマホ依存・中毒の状態では、自分自身の意志だけで、スマホと距離を置くことは難しいでしょう。
スマホを使うルール作りやデジタルデトックスの記録も、子どもだけで行うのは困難です。
ご家族など、周囲の人の力を借りる必要があるでしょう。
また、「道具」を使うのも1つの手です。
以前、スマホを閉じ込めておくグッズを利用しているお母様がいらっしゃいました↓
ボックスの中に、スマホを閉じ込めておき、タイマーを設定します。
設定した時間は、スマートフォンを使えないようになります。
道具も上手に使って、スマホとの適度に付き合うようにしましょう。
専門機関に相談する
ただ、お母様・お父様が子どものスマホ利用を制限しようとすると、ケンカになりますよね…
どうしてもご家庭では解決できない場合には、専門機関に相談するようにしましょう。
アルコール、たばこ、ギャンブル…
いろいろな「依存」や「中毒」がありますが、専門家の力を借りないと、なかなか抜け出せないものです。
たとえば、こちらのサイトでは、「インターネット依存・ゲーム障害治療施設リスト」を掲載しています。
スマホ依存が深刻な場合には、載っているようなクリニックを受診するという方法もあります。
まとめ:スマホは勉強に影響するの?中学生・高校生のスマホとの付き合い方
スマホは便利な道具ですが、使い方によって、害になりえます。
ましてや、衝動や欲望をコントロールする脳の前頭葉が、まだじゅうぶんに発達していない子どもなら、なおさらです。
iPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズ自身、自分の子どもがデジタル機器を使うのを制限していたと言われています。
スマホとの向き合い方を、まずはおとなが見直す必要がありそうですね…