こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
『【必出!】書き抜き問題・抜き出し問題の攻略法1<基本編>』という記事で、いわゆる「書き抜き問題・抜き出し問題」への基本的な考え方・取り組み方をご紹介しました。
今回はその【実戦編】です!
今回の記事では…
- 抜き出し問題の5つのパターン
- パターン別の解き方
がわかります。
うちの子、抜き出し問題のミスが多いかも…
どうやって教えたらいいの?
そのようにお悩みのお母様・お父様は、ぜひお読みください!
抜き出し(書き抜き)問題は、塾のテストでも、入試でも必ずと言っていいほど出題されます。
ですので、解き方を身につけておくと、国語の得点が底上げできます。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
抜き出し・書き抜き問題の5つのパターン
いわゆる「抜き出し問題」は、日本の受験国語界で独特の進化を遂げ、さまざまなタイプが存在します。
「抜き出し問題」のパターンは…
- 「〇字抜き出し」タイプ
- 「はじめの〇字抜き出し」タイプ
- 「1文抜き出し」タイプ
- 「連続する2文抜き出し」タイプ
- 「次の文の空欄に入るものを抜き出し」タイプ
の5つに大きく分かれます。
1つずつくわしく見ていきましょう。
スタンダード「〇字抜き出し」タイプ
まずは、スタンダードな「書き抜き問題・抜き出し問題」から見ていきましょう。
「本文から5字で抜き出しなさい」などというタイプです。
このタイプは、『【必出!】書き抜き問題・抜き出し問題の攻略法1<基本編>』でご紹介した基本テクニックを使って解けます。
つまり…
- 設問で何を問われているかを読み取る
- 本文中のどこに隠れているか目星を付ける
- 文字数を数えて抜き出す
という手順で答えを本文中から探すのでしたね。
例えば…
【問題】 ――線①「冷たい人」とありますが、これと対照的な内容を表す部分を、本文中から8字で抜き出しなさい。
このような問題が出題されたら、まずは「設問で何を問われているかを読み取る」ことから始めます。
「対照的」って「反対」のことだな…
「冷たい」の反対は「熱い」とか「温かい」とかかな…
というように、まずは、どのような言葉を抜き出すのか見当をつけることが大切です。
本文中に8字の言葉はたくさん登場するので、見当をつけておかなければ全く関係のない8字の言葉を抜き出してしまう可能性があります。
次に、本文中のどこにから抜き出すのか目星を付けましょう。
抜き出すときの鉄則は…
まずは傍線部・空欄の近くから探す
ことです!
超重要な鉄則です
基本的には傍線部から答えが近いと、正答率は高くなります。
一方、傍線部から答えが遠いと、正答率は低くなってしまいます。
傍線部から答えが遠いと、見つけるのが大変ですよね。
そして、あとは抜き出すだけ。
ただし、抜き出す際には、「コピー&ペースト」、つまり、そっくりそのまま抜き出さなければなりません。
句読点を飛ばしたり、漢字をひらがなで書いたり、勝手にアレンジしないようにしましょう。
写し間違ったら、点数もらわれへんからな
そう、勝手にアレンジして、失点する小学生はかなり多いです
中には、字数ピッタリで抜き出すのではなく、「〇字以内で抜き出しなさい」と指示されることもよくあります。
その場合には、マイナス4文字以内のフレーズを探すようにしましょう。
たとえば、「10字以内」と指示されたら、「6字~10字」で探す、ということです。
もし6字よりも少ないのならば、はじめから「5字以内」と指定されているはずだからです。
「長い箇所を探してはじめの〇字抜き出し」タイプ
次は、「長い箇所を探して、はじめの○字抜き出し」タイプです。
さきほどは、数文字の箇所を見つけて抜き出すだけでしたが、このタイプは「34字」とか「50字以内」など、探す箇所の文字数が多くなります。
長い箇所をまるまるすべて抜き出すのは面倒くさいですよね。
ですので、問題作成者は「はじめ(と終わり)の〇字を抜き出すだけでいいですよ!」と指示してくれるのです。
抜き出す字数が多くなると、難しく感じるわ…
文字数が多くなるので、難しそうに感じられるかもしれません。
しかし、アプローチの仕方は、さきほどの「1.スタンダード「〇字抜き出し」タイプ」と同じです。
つまり…
- 設問で何を問われているかを読み取る
- 本文中のどこに隠れているか目星を付ける
- 文字数を数えて抜き出す
この同じ解き方で問題ありません。
ただ、文字数が多くなると、数え間違いが増えるの注意しましょう。
何文字数えたのか忘れてしまい、数え直さなければならないこともあるでしょう。
そうならないためにも…
- 5文字ずつ数えてスラッシュ(/)で区切る
のがおすすめです。
ちょっとの工夫でミスを防げます
5の倍数ずつスラッシュを引いているので、数えるのが楽です。
数え間違いをした場合にも、ミスに気付きやすくなります。
また、せっかちなお子様は、長い字数を数えることを放棄することがあります…
記述問題でも、字数が多いだけであきらめる小学生は多いのもです。
数えるのが面倒くさいから、だいたいでええわ!
気持ちはよくわかりますが、きっちり字数を数えることを習慣づけましょう。
「1文のはじめ(と終わり)の〇字抜き出し」タイプ
次は「1文のはじめ(と終わり)の〇字抜き出し」タイプです。
数文字の語句を抜き出すのではなく、1文を見つけて抜き出さなければなりません。
「1文」というのは…
句点(。)の次の文字から句点まで
ですね。
小学生は、この「1文抜き出し」をよくまちがえます
ただ、さきほどのタイプ2と同様、1文をまるまるすべて抜き出すのは面倒くさいですよね。
ですので、問題作成者は「1文のはじめ(と終わり)の〇字を抜き出すだけでいいですよ!」と指示してくれるのです。
たとえば、こんな簡単な問題で考えてみましょう。
【例文】田中君はスーパーマーケットでニンジンを買いました。そして、それだけではなく、ジャガイモとタマネギも購入しました。
【問題】田中君はニンジン以外に何を買いましたか。それがわかる1文の初めの5字を抜き出しなさい。
答えはどの5文字でしょうか?
「ニンジン以外に何を買った?」と聞かれたので…
ジャガイモ
と答える小学生はかなり多いんです。
確かにニンジン以外に買ったのは、「ジャガイモとタマネギ」なので、そこに飛びつきたくなる気持ちはわかります。
でも、「ジャガイモ」は1文のはじめではないですよね。
「ジャガイモとタマネギ」を含む1文のはじめは…
そして、それだけではなく、ジャガイモとタマネギも購入しました。
【答え】そして、そ
です。
「そして、そ」が答えって、中途半端で気持ち悪い…
そう感じるお子様も多いことでしょう。
しかし、中途半端かどうかは関係ありません。
「1文のはじめの5字」を抜き出せば正解です。
句読点や符号の抜き出しに注意
また、ときには「1文の終わりの○字を抜き出しなさい」というように、「はじめ」だけでなく、「終わり」を抜き出すよう指示があることもあります。
その場合、注意しなければならないのは、「句点(。)も1字に数えるか」という点です。
さきほどの例文で考えてみましょう。
【例文】田中君はスーパーマーケットでニンジンを買いました。そして、それだけではなく、ジャガイモとタマネギも購入しました。
【問題】田中君はニンジン以外に何を買いましたか。それがわかる1文の最後の5字を抜き出しなさい。
どこが「1文の最後の5字」でしょうか?
答えは…
【答え】入しました or しました。
のどちらかです。
どっちでもええんか?
迷うやんか…
そう感じたかもしれませんね。
しかし、このような問題が出題されるときには、どこかに「句読点や符号も1字に数えます」のような注意書きがあります。
各設問に書かれている場合もありますが、テストでは、問題用紙の1番はじめにこっそりと書かれていることがあります。
読み飛ばさないように、チェックしておきましょう。
もし、「句読点や符号も1字に数えます」という注意書きがあるのなら、さきほどの例文の答えは「しました。」が正解です。
一方、「入しました」は不正解になるので注意しましょう。
「連続する(ひと続きの)2文抜き出し」タイプ
次は、「連続する(ひと続きの)2文抜き出し」タイプです。
これはさきほどのタイプ3「『1文のはじめ(と終わり)の○字抜き出し』タイプ」の進化版です。
1文ではなく、「連続する(ひと続きの)2文」を抜き出さなければなりません。
「連続する(ひと続き)の2文」というのは…
離れていない、前後に並んでいる
という意味です。
どういうこと?
受験国語の独特の問題ですよ
ほんと…
今回も簡単な例文で考えてみましょう。
【例文】鈴木くんは国語のテストで80点をとりました。算数のテストでは90点でした。理科のテストは70点で、社会のテストは60点をとりました。
【問題】鈴木君の国語以外のテストは何点でしたか。それがわかる連続する(ひと続き)の2文を探し、初めと終わりの5字を抜き出しなさい。ただし、句読点も1字に数えます。
どこが答え、つまり、連続する(ひと続きの)2文のはじめと終わりの5字でしょうか?
[1文目]算数のテストでは90点でした。
[2文目]理科のテストは70点で、社会のテストは60点をとりました。
という連続する(ひと続きの)2文を読めば、国語以外の点数がわかりますよね。
1文目と2文目がひと続き、つまり、連続になっていますよね。
というわけで答えは…
【答え】算数のテス~りました。
です。
もちろん「句読点も1字に数えます」という注意書きも、見落とさないようにしましょう。
設問を注意深く読んで、条件やヒントを見逃さないように!
このように、設問が複雑になってくると、どこかの段階でミスをする小学生が出てきます。
どこでつまずいているのかは、塾のクラス形式の授業ではなかなか把握しきれないものです。
もしかしたら「解く」段階ではなく、「読む」段階でつまずいている可能性もあります。
国語はマンツーマン指導に向いていると言えるでしょう。
塾に通っているのに、かんたんな抜き出しで困っている場合には、国語に精通した家庭教師などを利用して、読み方・解き方のクセを修正するのもアリです。
「次の文の空欄に入るものを本文から抜き出す」タイプ
さきほどお伝えした通り、「書き抜き問題・抜き出し問題」は受験国語界で独自の進化をとげたので、いろいろなパターンが編み出されています…
最後は「次の文の空欄に入るものを本文から抜き出す」タイプです。
今回も例文を見てもらった方がはやいでしょう。
拙著を例に挙げて恐縮ですが…
まず、大手塾のメリットは、「受験情報が豊富」・「システムがしっかりしている」という点が挙げられます。
『保護者のための「中学生の勉強法」: プロ家庭教師が教えたい塾選びと学習方法』藤川ひかる
まず「受験情報が豊富」というのは、たくさんの生徒を抱えているので、それだけ受験の合否に関するデータを持っているということです。進路指導をする講師の側からすると、「昨年の生徒がどれくらいの偏差値・内申点で、どの高校に合格したのか」がわかっていると、とても進路指導がしやすくなります。また、データが多い分だけ、受験指導が正確になります。
よく「学校の先生が言うことよりも、塾の先生の言うことのほうが信頼できます」と言われるのは、このデータの厚みによる部分も多いはずです。
また、大手塾は塾自体の「システムがしっかりして」います。たとえば、模擬テストの結果がオンライン上で確認できたり、保護者へのメール連絡機能があったりと、授業以外でのサポートがしっかりしていることが多いです。
少し長めの引用になりました。
設問はこちら↓
【問題】大手塾のメリットをまとめた次の★印の文の空所に入る表現として、最も適当なものを本文中から指定された字数で抜き出しなさい。
★大手塾は、【A:7字】が在籍しているので、データが多い分だけ、正確な【B:4字】が可能であり、また、授業以外での【C:4字】が充実している。
塾の公開テストや入試問題でもよく出題されるタイプです。
出題者は少しでも問題を複雑にしようとたくらんでいるわけです…
なんか急にややこしくなったような気がするわ
この「次の文の空欄に入るものを本文から抜き出す」タイプでは、「次の文」をしっかりと分析することが重要です。
今回の例文の場合では、★印の文を注意深く分析しようということです。
Aについては…
「【A:7字】が在籍している」と書かれているので、本文から誰が在籍しているのか、7字で探します。
Bについては…
「データが多い分だけ、正確な【B:4字】が可能」とあるので、データが多いと何が正確になるのか、4字で探します。
Cについては…
「授業以外での【C:4字】が充実している」とあるので、大手塾において授業以外で充実しているものを4字で探します。
答えは…
- A:たくさんの生徒
- B:受験指導
- C:システム(サポート)
ですね。
手順を追えば、きちんと答えが見つかります
まとめ:書き抜き問題・抜き出し問題の攻略法2【実戦編】
書き抜き問題・抜き出し問題の基本は…
- 設問で何を問われているかを読み取る
- 本文中のどこに隠れているか目星を付ける
- 文字数を数えて抜き出す
でした。
書き抜き問題・抜き出し問題のパターンは…
- スタンダード「〇字抜き出し」タイプ
- 「長い箇所を探して、はじめの○字抜き出し」タイプ
- 「1文のはじめ(と終わり)の○字抜き出し」タイプ
- 「連続する(ひと続きの)2文抜き出し」タイプ
- 「次の文の空欄に入るものを本文から抜き出す」タイプ
という、よく出題される5つをご紹介しました。
例文は簡単なものを使いましたが、実際の塾の公開テストや入試問題では、もっと複雑な形で出題されます。
また、傍線部から答えが遠く、抜き出すのに時間がかかるやっかいな問題も多いでしょう。
ここで紹介したタイプ以外の問題が出題されることもあるかもしれません。
しかし、書き抜き問題・抜き出し問題の基本は同じです。
基本の解法テクニックをまずはしっかりと身につけましょう。
ただ、国語は「つまずきポイント」が多岐にわたるので、マンツーマン指導に向いています。
塾に通って成績が伸び悩んでいる場合には、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。