こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
中学受験国語の定番問題に、「指示語」に関する問題があります。
でも…
うちの子、指示語の問題でよくまちがってる…
もしかして苦手かも…
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 「指示語」とは?
- 「指示語」問題の解き方
がわかります。
国語の読解の基本である「指示語」問題がきちんと解けるようになれば、得点を底上げできます!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
「指示語」とは?
そもそも「指示語」とは、どんなものなのか、はじめに確認しておきましょう。
指示語とは…
そのものの名前を出さずに指し示す言葉
ですね。
小学校では、いわゆる「こそあど言葉」として、学習することが多いでしょう。
つまり…
- 「こ」:これ・こんな・ここ・こちら・このように
- 「そ」:それ・そんな・そこ・そちら・そのように
- 「あ」:あれ・あんな・あそこ・あちら・あのように
- 「ど」:どれ・どんな・どこ・どちら・どのように
などが、指示語(こそあど言葉)の代表です。
普段から何気なく使っていますよね。
ただ、無意識のうちに、どのように使い分けているのか、あらためて見ておきましょう。
「こ」:話し手から近いものを指す場合
「こ」が付く指示語は、話し手から近いものを指す場合に用いられます。
「これ、見て」
「こちらまで来てください」
「こちらへどうぞ」
いずれも、話し手から近いところを注意を向けようとしていますね。
「そ」:聞き手に近いものを指す場合
「こ」が付く指示語が、話し手から近いものを指しているのに対して、「そ」が付く指示語は、聞き手に近いものを指す場合に用いられます。
「それ、取って!」
「そこで待っていてね」
「そちらにうかがいます」
いずれも聞き手に近い場所を示していますね。
「あ」:話し手からも聞き手からも遠いものを指す場合
「こ」と「そ」が付く指示語は、それぞれ話し手・聞き手に近いものを指していましたが、「あ」が付く指示語は、話し手からも聞き手からも遠いものを指す場合に用いられます。
「あれ、見て!」
「あそこまで競走しよう」
「あちらにいらっしゃいます」
いずれも、話し手からも聞き手からも距離を感じますね。
「ど」:何を指しているのかわからない場合
「こ」と「そ」と「あ」が付く指示語は、具体的に何を指しているのかがわかりました。
しかし、「ど」が付く指示語は、話し手は何を指しているのかがわかっていません。
「どれがほしい?」
「どこがまちがっているの?」
「どちらまでいくの?」
いずれも何を指しているのかがわかりません。
だから、「ど」の付く指示語は、たずねるときによく使われまね。
国語の読解で問われる「指示語」問題とは?
次に、「指示語」が国語の読解において、どのような形で出題されるのかを確認しておきましょう。
たとえば…
〔問1〕 ――線部①「これ」とありますが、「これ」の指している内容を、本文中から7字で抜き出しなさい。
〔問2〕 ――線部②「あんな気持ち」とありますが、どのような気持ちですか。本文中の言葉を使って、30字以内で書きなさい。
〔問3〕 ――線部③「そのような問題」とありますが、どのような問題ですか。次のア~エから、最も適切なものを1つ選び、記号で答えなさい。
いかにもありそうな、よく見かける問題ですよね。
このように、指示語に関する問題は、記号選択問題としても、抜き出し・書き抜き問題としても、記述問題としても出題されます。
つまり、受験国語界での定番問題と言っても過言ではないでしょう。
「指示語」問題の基本的な解き方
では、「指示語」問題が出てきたときには、どのように解けばいいのでしょうか?
「指示語」問題の基本的な解き方について、考えていきましょう。
まずは、シンプルな例題で見てみましょう。
〔例〕暖流と寒流がぶつかる地点がある。そこを「潮目」と呼ぶ。
〔問〕――線部「そこ」とありますが、どこを指していますか。本文中から12字で抜き出して答えなさい。
短い例なので、すぐに答えは見つかりましたね。
答えは…
暖流と寒流がぶつかる地点
ですね。
この問題はかんたんやな。
あ、無意識に「この」っていう指示語を使ってたわ…
念のため「暖流と寒流がぶつかる地点」という答えを、「そこ」という言葉の位置に入れてみましょう。
すると…
〔そこ〕を潮目と呼ぶ。
=〔暖流と寒流がぶつかる地点〕を「潮目」と呼ぶ。
きれいにつながりましたね。
このように、「指示語」の指す内容は、「指示語」よりも前に書かれているのが基本です。
塾で絶対に習う「解法テクニック」ですね
ふだん会話をしていても、いきなり「あれ、おもしろかったね」と話しかけられても、何のことだかわかりませんよね。
「昨日の『探偵ナイトスクープ』見た?」
「あれは、おもしろかったね」
この場合は「あれ」=「探偵ナイトスクープ」だということが明確です。
このように、指示語が指し示す内容が、前に出てきているからこそ、指示語が使えるのです。
鉄則「答えは前!ヒントは後ろ!」
さきほどのように短い内容なら、指示語が何を指しているのかは明白です。
しかし、入試問題のように、文章が長くなってくると、指示語が何を指しているのかが、わかりにくくなります。
今度は、少し長めの文章で考えてみましょう。
〔例〕和人は夏休みに旅行に出かけることを楽しみにしていた。新しい感染症が流行していたため、ここ2年もの間、外出自粛が求められており、和人の家族は遠くに出かけられずにいた。そんななか、ようやく感染症の流行が落ち着き、久しぶりにみんなで旅行に行けることになったのだ。
しかし、夏休みが近づいてきたある日、和人の父・寛之はこう言ったのだ。
「すまん、和人。仕事の都合で、旅行に行けなくなってしまった」
その言葉を聞いた瞬間、和人は寛之の目の前で、大きな声をあげて泣いた。ふだん感情を表に出さない和人が、だ。
『和人がこんなにも旅行を楽しみにしてくれていたなんて……』
それを見た寛之は、和人との旅行よりも仕事を優先してしまったことを後悔した。〔問〕――線部「それ」とありますが、何を指していますか。次のア~エから適切なものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 感染症が流行し、外出自粛が求められていたこと。
イ 寛之の仕事の都合で、旅行に行けなくなってしまったこと。
ウ 和人が寛之の目の前で、大きな声をあげて泣いたこと。
エ 和人はふだん感情を表に出さないこと。
さきほどの例よりも、少し長めの文章を作って、出題してみました。
どの選択肢が正解か、すぐにわかりましたか?
さきほど「『指示語』の指す内容は、『指示語』よりも前に書かれているのが基本」とお伝えしました。
でも…
どの選択肢の内容も、指示語「それ」よりも前に書かれてるやん!
と、困ってしまう小学生もいるかもしれません。
そこで、覚えていてほしいのは…
- 答えは「前」!
- ヒントは「後ろ」!
という鉄則です!
ヒントが指示語の後ろにあることは、塾ではあまり紹介されませんね
――線部「それ」の後ろを見てみましょう。
それを見た寛之は、和人との旅行よりも仕事を優先してしまったことを後悔した
と書かれています。
ということは、「それ」というのは、父・寛之が見た光景を指しているのがわかります。
父・寛之は何を見たのでしょうか?
そう…
ウ 和人が寛之の目の前で、大きな声をあげて泣いたこと
が正解ですね。
号泣する息子を見て、父は後悔したのです。
もし、「指示語問題=傍線部より前を探す」とだけ思っていた場合には、「ヒントは傍線部より後ろ」にあることも覚えておきましょう!
例外:「指示語」よりも後ろの内容を指す場合もある
「指示語の指す内容は、(基本的に)傍線部より前!ヒントは、傍線部より後ろ!」だと、さきほどご紹介しました。
ちらほら登場する「基本的に」という言葉が、気になっていたかもしれません。
そう、例外があります。
つまり…
<例外>指示語の指す内容が、指示語よりも後ろの内容を指すこともある
ということです。
例えば…
〔例〕私は小学生の頃には、右足首の靭帯を損傷した。中学生の頃には、両膝オスグッド病になり、運動ができなくなった。高校生の頃には、テニスの試合中に、今度は左足首を靭帯を損傷した。そして、大学生になってからも、再び左足首の靭帯を損傷してしまった。
私は多くのケガをして、こう考えるようになった。傷とは、生き物が「生きてきた証」なのではないか。〔問〕――線部「こう考えるようになった」とありますが、「私」はどう考えるようになったのですか。「~と考えるようになった」につながる形で、本文中から抜き出し答えなさい。
こんな問題は、どうでしょうか?
ケガについては、私の実話です
傍線部「こう考えるようになった」の前に、「私」の考えが書かれているでしょうか?
書かれていませんね。
ということは、傍線部よりも後ろを探さざるを得ません。
この場合、「私」が考えた内容とは、直後の「傷とは、生き物が『生きてきた証』なのではないか」という部分です。
ですので、答えは…
傷とは、生き物が「生きてきた証」なのではないか(と考えるようになった)
です。
例外は要注意やな
このように、指示語問題の例外として、「指示語の指す内容が、指示語よりも後ろの内容を指すこともある」ということを、頭の片隅に置いておきましょう。
また、難しい記述問題や抜き出し問題になってくると、指示語の前にもそれらしいことが書かれているのですが、設問の指定字数に合わないという場合が出てきます。
その場合には、後に同じような内容が述べられており、そちらが答えとなる場合があります。
このように難しい問題では、答えが傍線部から離れて、傍線部より後ろに隠れていることもあるわけです。
隠れた指示語問題に注意!
また、「隠れた指示語問題」というのもあります。
つまり、一見、別の問題のように見えて、実は指示語問題だったということもあるんです。
たとえば…
〔例〕増税したとしても、「予算を使い切る」という根本的な発想を変えない限り、永遠に黒字になるということはない。これは、言うまでもなく、大きな問題である。
〔問〕――線部「大きな問題」とありますが、どのようなことが大きな問題なのですか。その内容を示す1文を本文中から探し、はじめの5字を抜き出して答えなさい。
この場合、短い例文なので、いきなり「大きな問題」とは何かを探しても、答えに行きつくことはできます。
ただ、長い文章になってくると、「大きな問題」が指す内容が、見つけにくい場合もあります。
そんなときに、役に立つのが、やはり「指示語」なんです。
傍線部を含む文をよく読んでみると、「これは、言うまでもなく、大きな問題である」と書かれています。
そう、実は、「これ」という指示語が何を指しているのかを探す問題でもあるのです。
ほんまやな
指示語の問題と考えたら、答えを探すのは非常に楽になりますね。
(基本的には)指示語の指す内容は、指示語よりも前に書かれてあるのですから、「増税したとしても、『予算を使い切る』という根本的な発想を変えない限り、永遠に黒字になるということはない。」という1文ののはじめの5文字…
増税したと
が今回の答えですね。
このように、「隠れた指示語問題」もありますので、傍線部を含む文全体をチェックするのを忘れないようにしましょう!
まとめ:「指示語」問題の解き方
「指示語」問題は…
「指示語」の指す内容は、「指示語」よりも前に書かれているのが基本
でした。
ただし…
ヒントは傍線部より後ろ
であることを忘れないようにしましょう。
また…
指示語の指す内容が、指示語よりも後ろの内容を指すこともある
ことも、頭の片隅に置いておきましょう。
そして…
一見、別の問題のように見えて、実は指示語の問題だったということもある
ので、傍線部を含む1文をきちんと分析するようにしましょう。
いくつかの例題でご紹介した通り、指示語の問題と言っても、「抜き出し」「記号選択」「記述」など問われ方が変わります。
基本問題と思われがちですが、意外と奥が深いですよね。
指示語を意識して、ふだんの学習に取り組んでみてください!
ただ、国語は「つまずきポイント」が多岐にわたるので、マンツーマン指導に向いています。
もし塾に通っていて伸び悩んでいるなら、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。