こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
国語の音読って効果あるの?
どうやって音読させたらいいの?
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では…
- 音読の効果・メリット
- 音読のデメリット
- どんな小学生に音読はおすすめか?
- 音読の効果的なやり方
がわかります。
小学校では、音読の宿題が出ますよね。
「今さら音読なんて…」と音読を侮っていませんか?
ぜひ国語の学習に、音読を取り入れてみてくださいね!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
音読の効果・メリットとは?
まず、音読の効果を紹介していきましょう。
音読とは…
声を出して文章を読むこと
ですね。
声を出して文章を読むことで、どんなメリットがあるのでしょうか?
音読のメリットは…
- 知らない言葉に気づける
- 語彙(ボキャブラリー)を増やせる
- 脳が活性化する
- 文字の認識スピードが上がる
- 読解力がアップする
の5つだと私は考えています。
1つずつくわしく見ていきましょう。
知らない言葉に気づける
声を出さずに読む「黙読」では、知らない言葉が出てきてもスルーしてしまいがちです。
でも、声を出して読むことによって、「知らない言葉」をあぶりだすことができます。
知らない言葉、意味があやふやな言葉に出会うと、読み方があやしくなります。
たとえば、読み間違ったり、読み飛ばしが起こったり、変なところで区切ったりします。
えーっと、「なきしもあらず」
「なきにしもあらず」やで。
どんな意味かわかる?
塾の国語の授業って、黙読で読解の問題を解かせますよね。
でも実は…
- 知らない言葉もなんとなく読んでいる
- 本当は読めていない
ということがあります。
でも、黙読しているので、読めているのか、そもそも読もうとしているのか、塾の先生は気付くことができません。
このように、音読することによって、その子にとって、弱点である言葉をあぶりだすことができます。
語彙(ボキャブラリー)を増やせる
「知らない言葉」をあぶりだせたら、その言葉を身につけるチャンス。
さきほどの「なきにしもあらず」の例なら…
- ないわけではない
- ないとは言い切れない
という意味だと、インプットすることができます。
小学生が文章を読みにくく感じる原因の1つが、語彙(ボキャブラリー)不足なんです。
- 知らない言葉が多い=読みにくい
- 知っている言葉が多い=読みやすい
単純なことなんですが、人生経験が豊富なおとなが、意外と見落としてしまう事実です。
英単語が不足していると、文章を読むのに苦労するのと同じですね
音読によって、言葉をストックして増やしていくことができます。
脳が活性化する
また、音読をすると、「脳が活性化する」と言われています。
NHKで、次のように特集されていました。
こちらは、黙読と音読をしているときの脳のMRI画像です。
NHK健康チャンネル「音読の効果(認知機能・口くう機能の改善)とやり方について」より引用
赤い部分は血流量が増えて活性化している箇所です。
黙読よりも音読のほうが、脳全体が活性化しているのがわかります。
音読は、「活字を読む」だけでなく、「声に出す」、その声を「耳から聞く」など、黙読に比べて複雑な処理を脳が行っているためです。
特に音読で活性化されるのが脳の前側にある前頭前野です。前頭前野は、記憶・学習、他者とのコミュニケーション、思考、感情などをつかさどります。
音読することによって、脳の血流量が増えて、活性化するということです。
しかも、音読で活性化される前頭前野は…
- 記憶
- 学習
- コミュニケーション
- 思考
- 感情
にも影響するんですね。
これらの要素は、国語の学習だけでなく、他の勉強にも大切ですよね。
もっと音読しとけばよかったわ
私は親のサインをマネして、音読の宿題をしたとウソをついていました…
私の経験上、それまで国語が苦手で、文章を読むのを嫌がっていた小学生も、音読を続けることで、少しずつ文字・文章への苦手意識が薄れていくことが多いです。
脳の活性化が、良い影響を与えているのかもしれません。
文字の認識スピードが上がる
脳の活性化とも関係するかもしれませんが、音読をすることによって、文字の認識スピードが上がります。
声に出して読むので、文字をきちんと認識せざるを得ません。
一方、黙読の場合は、文字の認識があやふやなまま、読み飛ばしてしまう可能性がありますよね。
森沢洋介さんの『英語上達完全マップ』では、音読について次のように書かれています。
音読で向上するのは英語能力のどういう面なのでしょうか?
『英語上達完全マップ』森沢洋介(べレ出版)
結論から言うと、あらゆる面に効果があります。
英文を理解しながら繰り返し自分の口から発して行く作業は、英語を、英語の語順で直接・瞬間的に受け入れる体質を養成し、リスニング力も含め英語の基底能力を総合的に高めてくれます。
この本では、英語の学習に音読トレーニングをすすめています。
日本語が母国語であったとしても、日本語を瞬間的に受け入れる体質を養成するには、音読は効果的だと考えられます。
声に出すことによって、文字を正確にとらえて、理解して処理する力が養われるはずです。
『英語上達完全マップ』では、100回もの音読を繰り返すことを推奨していますが、母国語である日本語の場合には、もちろんそんなに必要はありません
読解力がアップする
さきほど紹介した通り、音読によって、語彙(ボキャブラリー)が増えたり、文字の認識スピードがアップしたりします。
ということは、それだけ文章が読みやすくなります。
もっとシンプルに言うと…
- 読解力がアップする
- 国語の成績にも直結する
ということです。
もちろんテストで点数を取るのは、「テクニック」も必要です。
ただ、テクニックを使えるのも、きちんと(ある程度)文章を理解できているからこそ、ですよね。
まずは音読を通して、正確に文章を読むことが、読解力の基礎になるでしょう。
音読のデメリットは?
では、音読のデメリットはないのでしょうか?
音読のデメリットは、特にない、と私は考えています。
あえて音読のデメリットを挙げるとすれば…
黙読のスピードが音読スピードで止まってしまうこと
くらいでしょう。
え?
音読すると、文字の認識スピードが上がるちゃうん?
そう思われたかもしれません。
確かにさきほど紹介した通り、音読すると、文字の認識スピードが上がります。
でも、黙読のときに、文字を「音」に変換していると、スピードが上がりません。
つまり、いちいち音読するように読んでいては、速度制限がかかってしまうということです。
音読よりも速いスピードで黙読するには、いったん音読を卒業する必要があるんです。
いわゆる「速読」では、音読をしません
ただ、そのレベルに達するまでに、まずは必ず「音読」のレベルを踏まなければなりません。
- ゆっくり正確に音読できるレベル
- スピーディに音読できるレベル
- 音読を卒業して速い黙読ができるレベル
という段階があると考えると、わかりやすいでしょうか?
回りくどい話になりましたが、要するに…
まずは正確に音読できることが先決
ということです。
どんな小学生に音読トレーニングは効果的?
次に、どんな小学生に音読トレーニングが効果的か見ていきましょう。
音読トレーニングがおすすめな小学生は…
- 漢字が苦手
- 語彙(ボキャブラリー)が少ない
- 文章を読むスタミナがない
- 文章への苦手意識が強い
です。
もう少し掘り下げてみていきましょう。
漢字が苦手
まず、漢字が苦手な小学生に、音読はおすすめです。
漢字が苦手なために、文章を読めていないということが多々あります。
もちろん漢字ドリルや問題集などを使って、漢字トレーニングすることも大切です。
一方、読書を通じて、漢字にたくさん触れるのもアリです。
後で紹介する、読みがなを書き添えて(消す)音読方法で、漢字に慣れることができます。
語彙(ボキャブラリー)が少ない
また、語彙(ボキャブラリー)が少ない小学生にも、音読はおすすめです。
漢字と同様、知っている言葉が少ないために、文章が読みにくいんですよね、小学生は。
あとで紹介する意味を書き添える音読方法で、たくさんの言葉に触れることができます。
言葉は武器です。
武器は1つでも多い方がいいですよね。
音読でたくさんの言葉に触れることによって、語彙(ボキャブラリー)を増やしていきましょう。
文章を読むスタミナがない
文章を読むスタミナがない子にも、音読は良いトレーニングになります。
文章を読むのは、けっこう体力と集中力がいります。
スポーツに、体力や筋力が必要なのと同じですよね。
文章を読むトレーニングをすることによって、だんだんと文章を読む体力がついてきます。
塾へ行っているのに、文章を読むスタミナが身に付いていない小学生がいます。
その子は、クラス指導の中で、手を抜くコツを知ってしまってるんですよね…
あとで紹介しますが、音読はおとなが聞き役にまわることが必要です。
きちんと音読して、文章を読むスタミナをつけていきましょう。
文章への苦手意識が強い
文章への苦手意識が強い子にも、音読はおすすめです。
さきほどの「文章を読むスタミナがない子」と重複するのですが、塾に通っているのに、文章への苦手意識が強すぎて、文章を読もうとしない子もいます。
気持ちはよくわかるねんけどな
でも文章を読まないと、永久に国語の成績は上がらないよね
つまり、文章への苦手意識が強い子には、塾での黙読や読解演習は、まだ早いと言えます。
まずは音読トレーニングをして、だんだんと文章へのハードルをさげてあげる必要があります。
実際、音読からスタートすることで、じょじょに文章を読むようになる子は、私の担当する小学生でもかなり多いんです。
読書≠苦行
ということを、できれば楽しく音読しながら感じてほしいですよね。
効果的な音読トレーニングの方法とは?
では、次に、効果的な音読の方法について、紹介していきましょう。
どんな風に声を出して読めば、いいのでしょうか?
小学生にとっての効果的な音読のやり方は…
- おとなが聞き役になる
- メリハリをつけて読む
- 読めない漢字に読みがなを書く
- 知らない言葉には意味を書き添える
- なめらかに読めるよう1週間音読する
という流れです。
1つ1つくわしく見ていきましょう。
私の指導でも、このように音読指導をしています
どんな文章を音読するか?
音読の手順を追っていく前に、どんな文章を音読すればいいのか、触れておきますね。
結論から言うと、塾に通っているならば…
塾テキストの出題文章
がピッタリです。
なぜなら…
- 適度な長さだから
- 復習(確認)テストに出題される塾もあるから
です。
例外はありますが、読解問題の文章って、だいたいテキスト見開きでおさまりますよね。
ですので、区切りよく音読トレーニングができます。
塾によっては、宿題の読解問題から、復習(確認)テストを出題することもあります。
つまり、音読して、文章の内容を深く理解しておけば、テストでも得点が取れて、一石二鳥です。
たとえば、関西の最大手塾「浜学園
」では、宿題の文章から復習テストが出題されます。
その復習テストの結果が、クラス分けに反映されます。
もし、塾に通っていないならば、身近にある本の中でも、お子様が興味を持ってる本を選ぶといいでしょう。
1冊の本を使って、どこまで音読すればいいのか、区切りがつきにくいかもしれません。
その場合には、見開きの2ページと決めておくといいですね。
おとなが聞き役になる
では、具体的に音読トレーニングな方法を見ていきましょう。
まずは、「おとなが聞き役になる」必要があります。
子ども1人に音読させちゃダメなの?
そう思われるかもしれません。
ただ、次以降に紹介するように、読みがなや意味を書き添えたりするのは、小学生1人では難しいんです。
せっかく音読トレーニングをしているのに…
なんて読むんやろ…
まあ、いいか…
と、うやむやに、なあなあにしてしまっては、意味がないですよね。
また、子どもとしても、聞いてくれる人がいるのといないのとでは、張り合いが違います。
聞いてくれる人がいるからこそ、ていねいに読もうするはずです。
もちろんお母様・お父様が忙しくて、音読に付き合ってあげられないというご家庭も多いはずです。
その場合には、家庭教師のような「おとな」を利用して、音読トレーニングから始めるのもアリです。
メリハリをつけて読む
次に、音読するときには、「メリハリをつけて読む」ようにします。
メリハリをつけて読むには、文章の内容を理解していなければできません。
もし、文章を内容を理解していないと、メリハリがなくなり、棒読みになることが多いです。
句読点で、「間」をあけることも大切です。
相手に読み聞かせるように読むと、メリハリがつくでしょう。
そういう意味でも、「おとなが聞き役になる」ことは必要ですね。
読めない漢字に読みがなを書く
おとなが聞き役になりながら、読み方がおかしかった漢字に読みがなを書かせましょう。
さきほど「音読の効果・メリット」でもご紹介した通り、音読は語彙(ボキャブラリー)を身につけるチャンスです。
塾のテキストや学校の教科書を音読する場合、お子様の学年以上の漢字には、読みがながふられているはずです。
言い換えると、読みがながふられていないのは、すでに習っている漢字のはず…
すでに習っているはずなのに、読めない漢字って弱点ですよね。
音読を機会にして、苦手な漢字の読みを身につけてしまいましょう。
また、慣れてきたら、書き添えた読みがなを消してしまうのもアリです。
読みがなを消しても読めたなら、それは成長の証です!
成長が実感できるのは大切やな
知らない言葉には意味を書き添える
また、漢字の読みだけでなく、意味が分からない言葉には、意味を書き添えておきましょう。
漢字だけでなく…
- やまとことば(和語)
- カタカナ語(外来語)
- その他、慣用表現
なども、小学生にとっては、知らない言葉が多いはずです。
たとえば、小学生が苦手なやまとことば(和語)は…
- いぶかしい
- うしろめたい
- おぼつかない
などでしょう。
おとなでも説明しにくい言葉も、ときどき出てくるやん
もちろん国語辞典や漢字辞典を調べさせるのは理想です。
でも、辞書を使っている間に、力尽きてしまう子が多いのも事実…
また、塾や習い事で、辞書を使っている時間がない子も多いですよね。
ですので、言葉の意味は、おとなが説明してあげるといいでしょう。
なめらかに読めるよう1週間音読する
漢字の読みや言葉の意味がわかったら、文章が体になじむよう、1週間同じ文章を音読します。
1日3回 × 7日 = 21回/週
くらいが目安でしょう。
はじめはたどたどしい音読だったとしても、だんだんとなめらかに読めるようになってきます。
もしじゅうぶん過ぎるほど、なめらかに読めている場合には、途中でストップしてもいいでしょう。
逆に、1日3回では物足りない場合には、短い文章をもう少しサイクルを増やして読むのもアリです。
1週間たったら、次の文章に進みましょう。
塾で新しい文章を扱うでしょう。
その新しい文章に切り替えればOKです。
本を使って、音読する場合には、続きの好きなページを選べば大丈夫です。
なめらかに音読できるようになれば、そのページに出てきた言葉は、体になじんだと言えるでしょう。
まとめ:小学生におすすめな「音読」の5つの効果と方法
音読は、特に国語が苦手な小学生に、ぴったりのトレーニング方法です。
- 知らない言葉に気づける
- 語彙(ボキャブラリー)を増やせる
- 脳が活性化する
- 文字の認識スピードが上がる
- 読解力がアップする
音読のメリットや効果を、ぜひ感じていただけたらと思います。
ただ、お母様・お父様が忙しくて、お子様の音読の聞き役になる時間がないというご家庭も多いはず。
その場合には、家庭教師などを利用して、お子様の音読をトレーニングしてあげてくださいね。
国語は実はマンツーマン指導に向いています。
塾のクラス指導では見えてこない、お子様の弱点を音読で探ってあげてくださいね。