こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、随筆文の読解が苦手かも…
でも、どうやって教えたらいいの?
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では…
- 随筆文とは何か
- 随筆文の読解テクニック
- 随筆文読解の勉強法・教え方
がわかります。
説明文や物語文に比べると、少し影が薄い随筆文ですが、テストでもよく出題されます。
対応できるように、準備しておきましょう。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
「随筆文」とは?
随筆文とは、筆者の…
体験
が書かれています。
また、その体験をもとにして…
感じたこと・考えたこと
が書かれます。
「エッセイ」と呼ばれることもありますね。
どんなん?
イメージとしては、「作文」に近いかもしれません。
例えば、修学旅行の感想文を書く場合には、まずどこで何をしたかという具体的なエピソードを書きますよね。
その「体験」とともに、「とても楽しかったです」とか「もう一度友達と広島に行きたいと思いました」など、自分の「感じたこと」や「考えたこと」をまとめます。
おそらく日本で1番有名な随筆といえば、清少納言の『枕草子』でしょう。
中でもさらに有名なのは「春はあけぼの」のフレーズですよね。
春はあけぼの。
『枕草子』清少納言
やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
「春は夜明けごろがええ感じやわぁ。だんだん白くなっていく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいているねんで」
現代語訳は、こんな感じでしょう。
『枕草子』では、清少納言が体験したことについて、感じたことや考えたことが述べられているわけです。
中学受験の読解問題で出題される「随筆文」も同様です。
まず筆者の「体験」が語られ、その体験から得られた「考え」が書かれています。
随筆文の読解テクニックとは?
では、読解問題として「随筆文」が出題された場合、どのように読めばいいのでしょうか?
さきほど、随筆文は筆者の「体験」をもとにして、「感じたこと」や「考えたこと」が書かれているとご紹介しました。
ですので、読むときにも…
- 筆者の体験
- 筆者の考え
に分けて、理解する必要があります。
1つずつくわしく見ていきましょう。
【随筆読解1】「体験」を読み取る
まず、筆者の「体験」をきちんと読み取りましょう。
「体験」を読み取るのは、比較的簡単です。
実際に起こったできごとをたどっていけばいいですね。
うん、これはわかりやすいな
ただ、小学生がこれまで経験したことは限られています。
ですので、小学生とっては未経験のことや知らないことが出てくるかもしれません。
「体験」の読み取りかたは、「物語文」の読み取りかたと同じと考えていいでしょう。
『【読解の基本】物語文ってどう読むの?内容を理解する4つのポイント』でもご紹介した通り、物語文は…
- 登場人物
- できごと
- 気持ちの変化
- 行動の変化
を中心に書かれています。
随筆文での主人公は、「筆者」です。
物語文とは、そこが決定的に違いますね
「随筆文」の「体験」を読み取るときにも、まずは筆者がどんな人物で、どんな「できごと」を経験したのか、注目して読むことが大切です。
【随筆読解2】筆者の「考え」を読み取る
次に、「体験」を通して、筆者が「感じたこと」や「考えたこと」を読み取ります。
ですので、「体験」と「考え」を区別して読まなければなりません。
このエピソードって、結局、何が言いたいの?
そう問いかけながら、文章を読む必要があります。
説明文も物語文もそうですが、漫然と何となく文章を読んでいてはいけません。
線を引いたり、印を入れたりしながら、筆者の考えをつかむことが大切です。
筆者の考えをつかむには、「説明文」の読解テクニックを使うことができます。
『【説明文の読み方テクニック その3】5つの「型」を知れば読みやすくなる!』では…
「主張&具体例」型
の説明文をご紹介しました。
筆者は主張を伝えるために、具体的なエピソードを紹介して、読者を説得するのでしたね。
何かメッセージがあって、筆者はそのエピソードを書いたはずです
同様に、随筆文でも「主張&具体例」型の読解方法を使えます。
ただし、随筆文の場合は、先に主張を述べてくれることは、まずありません。
先に「体験」、つまり、具体的なエピソードが書かれていることがほとんどです。
そして、「体験」の後に、筆者の「考え」、つまり、主張が書かれています。
その具体例を通して、筆者が何を伝えたいのかをつかむように心がけましょう。
難関校レベルの随筆の問題とは?
さきほど、「随筆文」の読み方は、「体験」と「考え」を区別して読み取ることだと述べました。
ただ、難しい随筆文になってくると、単に「体験」を述べるだけでなく…
- 別のことがらに例える
- いくつかの体験が描かれる
など複雑になってきます。
たとえば、大阪府北部の難関校、高槻中学校<2016年度前期入試>では、宮下奈都さんの『秋の森のリス』という随筆文が出題されています。
この文章では、リスに関する内容と、筆者の息子に関する内容が書かれてます。
受験生は、「リスの話題と息子の話題がどう関係するのか?」をきちんと見抜かなければなりません。
<リス>
リスは食べきれなかったクルミを隠す
⇒隠したことを忘れてしまう
⇒忘れられたクルミは次の春に芽を出す
<高校生になった息子>
高校生になった息子は無精者で、ポケットに何でも詰め込んでしまう
⇒文庫本をポケットに入れたことを忘れてしまう
⇒「(本を)一度寝かせてからまた読むと、なんだか深く読める感じがする」と息子は言う
一見、関係がなさそうなリスと高校生ですが、共通点が見えてきます。
ともに「忘れる」ことが、後になって「恵みをもたらす」ということです。
筆者は息子のポケットから文庫本を発掘するという「体験」を通して、そのことを読者に伝えたかったんですね。
そして、リスと息子の共通点をまとめる記述問題(60字以上80字以内)が、実際に出題されているのです。
え…
小学生にそんなことわかる?
そのように感じたかたも多いかもしれません。
実際、リスと息子の共通点、つまり、筆者の考えを読み取れない小学生は多いでしょう。
でも、実際にこのような随筆文が、中学入試に出題されるんです。
そして、そんな筆者の考えを読み取れた受験生が、入試に合格していくんですね。
中学受験、恐るべし、やな…
随筆文読解の勉強方法・教え方
次に、随筆文読解の勉強方法をご紹介しておきましょう。
「読み方」のトレーニングとしては…
精読する
ことが大切です。
つまり、文章に書かれている内容を、きちんと理解するということです。
精読の手順は…
- わからない言葉を調べる
- 筆者の「考え」を理解する
といういたってシンプルな流れです。
理解するときには、音読するのも役に立ちます。
まず、教材は塾の読解テキストで充分です。
これまで学習した塾のテキストの随筆の問題を用意します。
読解のトレーニングというと、塾では「演習⇒答え合わせ」という手順が一般的です。
ただ、「答え合わせしておしまい」ではなく、精読することが大切です。
新しい教材に手を出さずに、まずは手元にある教材の栄養分をしっかりと吸収することがおすすめです
ただ、国語以外にも勉強しなければなりません。
国語辞典を使って言葉の意味を調べるのが理想ですが、そんな時間はあまりとれないでしょう。
ですので、おとながある程度は言葉の意味を教えてあげる必要があります。
また、子どもがいくら読んでも、筆者の「考え」が読み取れないことがあります。
その場合にも、おとながかみ砕いて、筆者の言いたいことを説明してあげなければなりません。
お母様・お父様が、そのようなサポートをするのは難しいでしょう…
すべてをご家庭で抱え込まず、家庭教師など外部の力を利用するのがおすすめです。
線を引いたり印を入れたりしながら読む
では、もう少しくわしく「精読」の仕方を見ていきましょう。
まず、さきにご紹介した、物語文の読み方をつかって、筆者の「体験」と「考え」を分けて読んでいきます。
筆者の「体験」をきちんと読み取るには…
- 登場人物
- できごと
- 気持ちの変化
- 行動の変化
を追いかけながら、理解していきましょう。
そういったキーワードに、線を引いたり、印を入れたりして、積極的に読んでいくことが大切です。
特に、筆者の「気持ちの変化」は設問で狙われやすいので、要チェックです!
次に、筆者の「考え」、つまり、「何を伝えたいのか」を読み取っていきます。
筆者は何か伝えたいことがあって文章を書いています。
その筆者からのメッセージを読み取っていきましょう。
そのときには、筆者の主張をあらわすキーワードをたどっていくのがおすすめです。
たとえば…
- (私は)~と思う
- (私は)~と考える
- (私は)~と感じる
のように、「考える・思う・感じる」などの立場を明らかにするようなフレーズに線を引いていきましょう。
また、「重要・必要・大切」などと、読者に印象付けようとしているところも、「線引き・印つけ」をすべき箇所ですね。
- ~は重要だ
- ~は必要だ
- ~は大切だ
これらのキーワードを見つけたときにも、線を引いたり、印を入れたりしておくと、筆者の考えである可能性大です。
はっきり書いてくれてたら、わかりやすいな
また、次のフレーズのように、はっきりとは意見を述べてはいないけれど、筆者が強調している部分も「線引き・印つけ」のポイントになります。
- ~ではないか
- ~に違いない
- ~のはずだ
- だけ・こそ・のみ・必ず・絶対・唯一・不可欠・最も
なども、チェックすべきポイントでしょう。
読めているか大人がチェックしてあげる
ただ、読み方を伝えたとしても、小学生が1人で言葉の意味を理解して、文章の内容を理解するのは難しいですね。
- その言葉はどういう意味なのか?
- 筆者は何を言いたいのか?
- どんなフレーズに線を引くべきなのか?
おとながチェックして、修正してあげる必要があります。
音読を通して、正確に読めているか、確認するのがオススメです。
もし、不自然なところで区切ったり、読み間違ったりした場合には、お子様にとって、知らない言葉や理解できていないポイントである可能性が高いでしょう。
そういう意味では、国語はマンツーマン指導に向いています。
国語ってデリケートな教科なんやな
お子様がどこまで真剣に読んでいて、どこまで理解できているのかは、外からでは判断できません。
クラス形式の塾の授業でも、講師から見えにくいんです。
ご家庭で指導が難しい場合、塾に通っていても読むのに苦戦している場合には、家庭教師などの個別指導を利用するのもおすすめです。
実際、私が担当しているご家庭のほとんどが、塾と家庭教師を併用されています
もちろん小学生は常に発展途上なので、知らない言葉や未経験のできごとの読み取りには苦しむでしょう。
また、一朝一夕には、読み方は上達しません。
読み方のトレーニングを続けて、少しずつ随筆の内容を理解していきましょう。
まとめ:随筆文の読解テクニック
随筆文は…
- 筆者の「体験」
- 筆者の「考え」
が書かれています。
物語文や説明文の読解テクニックを使いながら、筆者の「考え」を見抜くことが大切でした。
そのためにも、ただ「答え合わせしておしまい」ではなく…
- 精読する
勉強方法がおすすめでした。
その際、お子様がきちんと文章の内容を理解できているか、おとながチェックしてあげることが大切です。
ただ、なかなかクラス指導の形では、そこまで行き届きません。
ご家庭で読み方を指導するのは、難しいと感じることもあるでしょう。
その場合には、国語に精通した家庭教師などを利用するのもおすすめです。