こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
中学入試の国語の問題では、物語文の読解が必ずと言っていいほど出題されます。
でも…
うちの子、物語文の読解が苦手みたい…
どうやったら小説が読めるようになるの?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いですよね。
今回の記事では…
- 物語文の内容を理解する基本
がわかります。
ふだん本を読まないお子様でも大丈夫です。
まずは物語文の内容をきちんと理解するところから始めていきましょう!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上担当してきたノウハウをお伝えします
なぜ物語文の内容を理解しないといけないの?
読解のポイントをご紹介する前に、なぜ文章の内容を理解する必要があるのかについて、お話しておきます。
中学受験において、国語の学習をしていると、どうしても「解くためのテクニック」が強調されてしまいます。
指示語が指している内容は「前」にあるぞ!
字数を数えるときは、下から「数え上がる」んだ!
記号選択は、まず消去法で2つにしぼれ!
こんな感じですよね。
確かに入試問題を解くためには、絶対に「解くためのテクニック」は必要です。
でも、文章の内容が理解できていなければ、テクニックだけを使おうとしても空回りしてしまいます。
野球でも、素振りやトスバッティングなどの基礎練習をしますよね。
それらの基礎練習をせずに、試合の戦術ばかり学んでも、実戦で打てるわけがありません。
国語の文章読解でも同じです。
文章を理解する下地があって、はじめて「解くためのテクニック」が活きてきます。
まずは物語文で書かれている内容を、きちんと正確に理解するところから始めていきましょう。
塾の国語の授業って、演習⇒解説が中心やけど、文章の内容が理解できていることが前提やもんな
なかには、「傍線部や空欄の近くしか読まない」という子もいます。
小学3・4年生くらいまでの読解問題なら、それでも対応できるかもしれません。
でも、傍線部・空欄の近くしか読まないという横着な読み方では、いずれ頭打ちになります。
- 読む力がつかない
- 成績も上がらない
読む力を本当につけたいなら、まずは文章の内容を理解することが不可欠です。
物語文を理解する4つのポイント
では、物語文の内容を理解するために必要なポイントを、ご紹介していきます。
物語文で把握しておかなければならないのは…
- 登場人物
- できごと
- 気持ちの変化
- 行動の変化
の4つだと、私は考えています。
その1つ1つについて、もう少しくわしく見ていきましょう。
「登場人物」をつかむ
入試問題や問題集であつかわれる物語文は、長い小説のいち部分を切り取ったものです。
ですので、登場人物どうしの関係や、描かれている場面が理解しにくいのは当然なのです。
ですので、物語文を読み始めるときには、まず…
- 登場人物のひととなり
- 登場人物の人間関係
を把握していきましょう。
「登場人物のひととなり」をつかむ
まずどんな登場人物が出てきているかをつかみます。
たとえば、主人公A子ちゃんという女の子が登場したのなら、書かれている情報からどんな子なのかを把握します。
具体的には、「A子ちゃん」という名前に〇をつけたり、どんな女の子なのかがわかる表現に線を引いたりしておくといいでしょう。
- 小学6年生
- 無口でおとなしいタイプ
線を引いたり、印をつけたりすることで、「ただ読んでいるだけ」を防げます。
入試では、制限時間があります。
趣味で読書を楽しむときの読み方ではダメですよね。
「登場人物の人間関係」をつかむ
主人公の人となりが理解できたら、次は「人間関係」をつかんでいきます。
主人公A子ちゃんの前に、大人の女性が現れたとします。
すると、その女性はA子ちゃんにとって、どんな関係がある人物なのかをチェックします。
親族:母・父・兄・妹・祖父・祖母・伯父(叔父)・伯母(叔母)・おい・めい・いとこなど
他人:友達・親友・恋人・ライバル・師弟など
そのためにも、人間関係をあらわす言葉を知っておく必要があります。
なぜ、小学生が物語文が読みにくいのかというと、人間関係を把握する語彙(ボキャブラリー)が少ないことも原因です。
たとえば、さきほどのリストの中なら、「おじ」「おば」を知らない小学生はけっこう多いです。
カツオは、タラちゃんの「おじ」やで。
ワカメは、たらちゃんの「おば」やで。
え?
小学生やのに「おじ・おば」なん?
というか、カツオとタラちゃんって兄弟じゃなかったん?
という感じです。
また、「師弟関係」の中でも、「兄弟子(あにでし)」と「弟弟子(おとうとでし)」の関係も、小学生には理解が難しいでしょう。
「本家」や「分家」という考え方も、今の子どもたちにはなじみがありません。
特にトップ校の入試問題では、主人公や登場人物が、小学生にとってなじみのある設定だとは限りません。
- 定年した男性
- 子育て中の女性
- 帰国子女で養子
など、語彙(ボキャブラリー)や人生経験が少ない小学生には、理解が難しいことが多々あります。
日頃から、登場人物の人間関係をつかむトレーニングをしておきましょう。
ネコを人間だとカン違いして、最後まで気づかずに読んでいた子もいました
めっちゃかわいいやん
「できごと」をつかむ
登場人物の人間関係をつかむと同時に、「できごと」を把握していきましょう。
「できごと」をつかむときには、「TPO」に線を引いたり、印をつけたりしておきましょう。
「TPO」とは…
- 時(time)
- 場所(place)
- 状況(occasion)
ですね。
よく「TPOをわきまえろ」って言われるわ…
つまり、いつ、どこで、どんなことが起こっているのかを把握することが大切です。
基本的には、時系列でストーリーを理解すれば大丈夫です。
ただ、中には、登場人物の回想シーンとなど、大きく場面が変わる場合があるので注意が必要ですね。
「場面分け」の問題もよく出題されます
「気持ちの変化」をつかむ
物語文では、必ず何かできごとが起こって、登場人物の気持ちが変化します。
何も起こらず、登場人物が何も感じないストーリーなんておもしろくないですよね。
また、登場人物の気持ちは、設問でもよく狙われます。
たとえば…
・A子の気持ちにふさわしいものを、次のア~エから選び記号で答えなさい。
・このときのA子の心情を30字以内で書きなさい。
・A子の感情を表す表現を、文章中から6字で抜き出しなさい。
いかにもありそうな問題やな
ですので、文章を読みながら、登場人物の気持ちを表す言葉に線を引くなり、丸を付けるなり、マークをつけておきましょう。
では、気持ちを表す言葉には、どんなものがあるでしょうか?
気持ちを表す言葉には、大きく分けて…
- ポジティブな感情を表す言葉
- ネガティブな感情を表す言葉
があります。
「ポジティブな感情を表す言葉」は、具体的に例を挙げると…
うれしい、楽しい、幸せ、ほこらしい、有頂天など
などでしょう。
一方、「ネガティブな感情を表す言葉」としては…
悲しい、くやしい、みじめな、腹立たしい、ねたましいなど
などでしょう。
登場人物の人間関係と同様、こういった感情を読み取るにも、語彙(ボキャブラリー)が必要になります。
小学生は、「劣等感」や「うしろめたい」など、知らない言葉が多いので、登場人物の気持ちの読み取りに苦労します。
人生経験が少ない小学生には、「皮肉」なども、ピンと来ないことがよくあります
また、はっきりとは感情が書かれていなくても、登場人物の感情を暗示している場合もあります。
例えば、「A子の表情がくもった」とか「先生は顔をしかめた」とかですね。
この場合、「A子の表情がくもったということは悲しいのかな?」、「先生が顔をしかめたということは、イヤな気持ちになっているな」と気づかなければなりません。
「行動の変化」をつかむ
最後は、登場人物の「行動の変化」です。
さきほど、登場人物の気持ちに注目して読みましょうと、お話ししました。
気持ちが変化すると、今度は行動が変わります。
例えば、次のような文があったとします。
A子ちゃんは恥ずかしさのあまり、みんなの前で目に涙をなみなみとたたえ、とうとう大声をあげて泣き出してしまいました
この場合、「恥ずかしい」というのが、「気持ちの変化」ですね。
そして、「みんなの前で目に涙をなみなみとたたえ、とうとう大声をあげて泣き出してしまいました」というのが「行動の変化」にあたります。
国語の読解問題では、「行動の変化」は「気持ちの変化」とからめて出題されます。
例えば…
・A子はなぜ泣き出したのですか。理由を40字以内で書きなさい。
・A子が泣き出したときの気持ちを、次のア~オから選び、記号で答えなさい。
というような問題、よく見かけますよね。
感情と行動には、因果関係があるので、よく問われるんです
なぜ塾に通っているのに国語の点数が伸びないの?
以上、物語文を読むときの4つのポイントを紹介してきました。
正直…
あたりまえのこと書いてるな
と思われたかもしれません。
でも、国語が苦手な子どもたちは、その「あたりまえのこと」ができずに点数が取れていません。
塾に通っているのに、国語の力が伸びずに戸惑っているお母様・お父様も多いでしょう。
なぜ、塾に通っているのに、国語の成績が上がらないのでしょうか?
それは…
読み方のクセを矯正するには1対1でないと難しいから
です。
読めていないポイント、解けていない理由は、人それぞれ違います。
でも、クラス形式の集団授業では…
- どの言葉を知らないのか
- どこまで理解できているのか
- そもそも本当に読んだのか
ということが、講師から見えにくいのです。
また、見えていたとしても、1対多数では対応できないのが実情です。
中には、傍線部の近くしか読んでいない子もいますが、塾ではスルーされます
つまり、国語は「つまずきポイント」が多岐にわたるので、実は個別指導向きの教科ということです。
国語の読解は、スポーツのトレーニングに似ています。
きちんとしたフォームを身につけるには、ある程度の手取り足取りのレクチャーが必要です。
1対1のマンツーマン指導であれば、その子がどのように読んでいるのかが見えやすい。
国語のプロ講師であれば、その子に合わせた読み方・解き方を指導してくれるでしょう。
もし塾に通っていて、国語の成績が伸び悩んでいる場合には、国語の指導に精通した家庭教師を利用するのもアリです。
実際、私もたくさんの受験生の塾サポートをしています
まとめ:物語文の読み方の基本(内容の理解)
物語を読むときには4つのポイントをつかみながら、読んでいきましょう。
- 登場人物
- できごと
- 気持ちの変化
- 行動の変化
もちろんいきなりうまく読めるようにはならないでしょう。
毎回の読解で、4つのポイントを意識しながら読んでいると、語彙(ボキャブラリー)が増えるにしたがって、だんだんと文章の内容がつかめてくるはずです。
国語は「つまずきポイント」が多岐にわたるので、マンツーマン指導に向いています。
塾の学習で伸び悩んでいるなら、家庭教師を利用するのもアリです。