こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、リスニングが苦手…
なんで聞き取れないの?
どうやって勉強すればいいの?
そのように悩んでいるお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 英語のリスニングが聞き取れない理由6つ
- 中学生のリスニングの勉強法
がわかります。
英語の学習やテストにおいて、リスニングの比重が高くなっています。
聞く力は一朝一夕では身につかないので、時間をかけてトレーニングしていきましょう!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
英語のリスニングが聞き取れない6つの理由
まずは英語のリスニングが聞き取りにくい原因から見ておきましょう。
英語のリスニングが聞き取れない理由は…
- 語彙(ボキャブラリー)が不足している
- 文法の知識が不足している
- 英語の音の変化に慣れていない
- スピードに追い付けない
- メモを取りながら聞いている
- 日本語に訳そうとしている
の6つです。
1つ1つ見ていきましょう。
※高校受験合格へのロードマップは、こちらの記事をご覧ください↓
語彙(ボキャブラリー)が不足している
まず、語彙(ボキャブラリー)が足りていないことがあります。
語彙(ボキャブラリー)とは、「知っている言葉」ですね。
言葉は「武器」ですから、
知っている言葉が多い=聞き取りやすい
知らない言葉が多い=聞き取りにくい
というシンプルな関係になっています。
また、耳を使わずに勉強していると、知っている言葉なのに聞き取れないこともあります。
以前、私が担当していた中学生で「famous」を「ファモウス」と読んでいる子がいました。
まちがった読み方で覚えていたら、どの単語を放送されても絶対に聞き取れないですよね…
文法の知識が不足している
また、英文法の知識が不足している場合にも、聞き取りにくくなってしまいます。
文法があやふやだと、理解もあやふやになってしまいます。
なんとなく聞いて、なんとなく解いていると、なんとなくまちがってしまいます。
やっぱり文法は必要です
英語の音の変化に慣れていない
音の変化も、リスニングを難しくさせています。
英単語や英文法を知っているのに、聞き取れないということが起こり得ます。
たとえば、
like it
take a break
がどのように発音されることがあるでしょうか?
もちろんそのまま読めば(カタカナで強引に表記すると)、「ライク イット」「テイク ア ブレイク」ですよね。
でも、音源によっては、前の単語の最後の子音と、次の単語の母音が合体して、
like it=「ライキット」
take a break=「テイカ ブレイク」
と聞こえることがよくあります。
そんなん、やめてや…
日本語でも本(ほん)と棚(たな)が合体すると、本棚(ほんだな)というように音が変わりますよね。
言語ですから、話しやすいように、口を動かしやすいように、音が変化してしまいます。
すると、外国語を学ぶ者としては、聞き取りにくくなってしまいます。
スピードに追い付けない
リスニングが聞き取れない理由として、「スピードに追い付けない」という子が多いでしょう。
というよりも、母国語ではないので、仕方がありません。
第2言語として英語を学習している以上、ずっと追いつけない状態は続きます…
私もTOEICなどのリスニング練習をするときは、耳がパンパン状態ですよ…
さきほどの語彙(ボキャブラリー)や英文法の力が不足していて、放送スピードに追い付けない場合もありますね。
メモを取りながら聞いている
放送のスピードに追い付けない子の中には、聞きながらメモを取っている子もいます。
学校の先生も「メモを取ってOK」と言うかもしれません。
ただ、実際にはメモを取っていると、リスニングのスピードに追い付けなくなってしまいます。
そうそう。
書いているうちに、聞き逃してまうねん
手を動かしてメモするスピードよりも、放送のスピードの方が速いからです。
追いつけるわけがありません。
問題用紙に描かれた絵や図、マークシートにチェックを入れるくらいなら問題ないでしょう。
日本語に訳そうとしている
放送のスピードに追い付けない子の中には、聞いた英文を、日本語に訳そうとしている子もいます。
確かに頭の中で日本語に翻訳したほうが、理解しやすそうな気はします。
でも、やっぱり翻訳するスピードよりも、放送のスピードの方が速いので追いつけなくなってしまいます。
聞きながら訳せるのは、翻訳・通訳のプロですよね
また、リスニングの機材によっては、音がこもって聞こえにくい。
試験会場によっては、音が反響して聞こえにくいという理由もあるでしょう。
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【中学生向け】リスニングの勉強法
では、どのようにしてリスニングのトレーニングをすればいいのでしょうか?
リスニングの勉強法の基礎は…
- 英単語を耳で覚える
- 基本の英文法を身につける
- メモをとらず英語の語順のまま理解しながら聞く
の3つです。
さらに細かく5つの勉強法を後でお伝えしますが、まずはこの3つを掘り下げて見ていきましょう。
英単語を耳で覚える
英単語を覚えるときに、単語帳とにらめっこしていませんか?
もちろん単語テキストや単語カードを見て、英単語の意味が言えるかどうか、書けるかどうかをチェックすることは大切です。
ただ、つづりが書けるよりも…
正しく聞き取れて読める
ことが先決です。
読めれば、つづりが書ける単語もたくさんあります。
正しく聞き取れて読めるためにも、「耳」を使って、英単語の勉強をするようにしましょう。
最近の単語テキストは、音源をスマホにダウンロードできるようになっています。
CDからMDやカセットに録音せんでもええねんな…
耳(五感)を使って覚えた方が記憶に残ります。
また、正しい発音も身につけることもできるので、一石二鳥ですね。
英単語の覚え方については、それだけでひと記事書けてしまいますので、こちらの記事をどうぞ↓
基本の英文法を身につける
英文法があやふやなまま、英単語だけを頼りに、リスニングしている子もいます。
その場合、さきほどもお伝えした通り、なんとなく聞いて、なんとなく答え、なんとなく間違ってしまいます…
たとえば、
It will make precious metals cheaper.
という文を聞き取るときに、「make=作る」という理解だとまずいですよね。
きっと「金属を作るのかな?」と、なんとなく聞いてしまうでしょう。
「make O C=OをCにする・させる」という文法を理解していれば、「metalsをcheaperにするんだな」と聞き取ることができます。
cheaperが比較級であることも、文法で理解しておかなければなりませんね。
「OとCって何?」という人は、文型を復習しましょう!
英文法の勉強もそれだけでひと記事書けてしまうので、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
メモを取らず英語の語順のまま理解しながら聞く
さきほどメモを取っていると、放送スピードに追い付けなくなると書きました。
また、ていねいに日本語に訳そうとしても、放送のスピードに追い付けないのでしたね。
では、どうすればいいというと、耳にした英語をその語順のまま理解していく必要があります。
それができたら苦労せえへんわ!
と思われそうですが、英語の語順のまま理解して聞くためには、もちろんトレーニングが必要です。
ここからはより具体的なリスニングのトレーニング方法を見ていきましょう。
今回は5つのトレーニング方法を紹介しておきますね。
- 音源を聞いて音読・暗唱
- リピーティング
- シャドウイング
- 英検に向けてトレーニングする
- 多読する
の5つです。
1つずつ掘り下げて見ていきましょう!
※中学生におすすめの問題集・参考書はこちらの記事をどうぞ↓
音源を聞いて音読・暗唱
何より強力な練習方法が「音源付きの音読」です。
音源なしで音読をしてしまうと、やはり読み方が我流になって、おかしな発音を覚えてしまいます。
まずは音源の発音をマネて、自分でも発音してみましょう。
自分が発音できる音は、聞き取りやすくなります
どんな英文を音読すればいいのかというと「教科書」です。
「勉強=問題集」をイメージする方も多いかもしれませんが、教科書を侮るなかれ!
教科書には、その学年で身につけてほしい英単語や英文法がちりばめられています。
では、どれくらい英文を音読すればいいのかというと、英語教室を主宰されている森沢洋介さんは…
100回
と書かれています。
無理
と思ったかもしれませんが、ただ単に音読するだけでなく、次に紹介するリピーティングやシャドウイングをおり混ぜると、単調さを軽減できます。
また、もちろん意味が不明な英文を何度音読しても効果はありません。
英単語や英文法が理解できている英文を音読するようにしましょう。
100回も音読すれば、中学1・2年生の短い文章なら暗唱(暗記)できてしまうでしょう。
森沢先生の「英語上達完全マップ」はこちら↓
リピーティング
音読のバリエーションとして、「リピーティング」も有効です。
音源をキリのいいところで一時停止し、聞こえた英文をリピートする(繰り返す)という方法です。
はじめはスクリプト(放送内容を書き起こした文章)を見ながらじゃないとリピートできないかもしれません。
けっこうハードな練習ですよ
でも、音読を繰り返す中で、だんだんと文章を見なくても、耳で聞くだけでリピートできるようになってきます。
聞いた音を頭の中で「保持する」ので、「リテンション」と読んだりもします。
シャドウイング
また、「シャドウイング」という音読方法も有効です。
ご存知のお母様・お父様も多いのではないでしょうか。
放送される英文に少し遅れながら、音読するというトレーニングです。
耳にした音をすぐに、発音する瞬発力が必要になります。
英文に影(シャドウ)のようについていきます
さきほど紹介した英語教室を主宰されている森沢洋介さんは、音読・リピーティング・シャドウイングを組み合わせた「音読パッケージ」という方法を提唱されています。
具体的には、
「英語上達完全マップ」森沢洋介
- テキストを見ながらのリピーティング5回
- 音読15回
- テキストを見ないリピーティング5回
- シャドーイング5回
というように30回の音読を1セッションとして、提案されています。
この「音読パッケージ」を計100回くらいまで行い、英文を体(脳)になじませていくわけです。
森沢先生は少しずつ負荷を軽くしていく「ピラミッド方式」を紹介されています。
やや複雑になるので、計30回のセッションを4日繰り返してもいいと私は思います。
30回/日 × 4日 = 120回
となり、目標の100回音読を達成できます。
3日目・4日目には、英文を覚えてしまっていて、逆にかんたんに感じるでしょう。
くわしくは森沢先生の「英語上達完全マップ」をご覧ください↓
英検に向けてトレーニングする
英検(実用英語技能検定)を目標に、英語の勉強に取り組んでいる中学生も多いでしょう。
英検では…
- リスニング(聞く)
- リーディング(読む)
- ライティング(書く)
- スピーキング(話す)
の4技能をはかります。
どうせ英検に向けた勉強をするなら、英検の教材を使ってリスニングのトレーニングをすると一石二鳥ですね。
英検の過去問を利用して、どれだけ聞き取れるかトライしてみましょう。
聞き取られへんかったらどうしよう…
聞き取れなかったら、さきほど紹介した音読の練習に、英検教材を使えます。
英検は級が上がるごとに、使われる英単語・文法、そしてスピードが上がっていきます。
中学生がよく受検する級のレベルは↓
<級> | <レベル> |
5級 | 中学初級(1年生)程度 |
4級 | 中学中級(2年生)程度 |
3級 | 中学卒業(3年生)程度 |
準2級 | 高校中級程度 |
2級 | 高校卒業程度 |
となっています。
ご自身の学年が目安になりますが、英語が得意なら上の級にチャレンジしてもいいでしょう。
逆に英語が苦手な場合には、下の学年の級で自信をつけるのもありですね。
あまり学校でリスニングの練習をしない場合には、英検を利用してリスニングのトレーニングをするといいでしょう。
英検の各級の対策方法については、こちらのリンクをご参照ください↓
<5級>
<4級>
<3級>
<準2級>
<2級>
多読する
え?
リスニングの練習に多読?
そう思われたかもしれませんが、実は多読がリスニングの練習になります。
ただし読むときに「訳し戻る」とリスニングの練習にはならないので要注意です。
読むときに訳し戻らず、英語の語順のまま理解していきます。
リスニングでも、前に戻って聞くことはできません。
流れてきた英文の語順のまま、リスニングして理解していかなければなりませんね。
多読のポイントは…
ラダーシリーズの「はじめに」
- 速く
- 訳さず英語のまま
- なるべく辞書を使わず
です。
難しい英単語が使われた英文を読む必要はありません。
かんたんな英単語や英文法が使われた文章でOKです。
おすすめなのは「ラダーシリーズ」です↓
「ラダーシリーズ」は、英語学習者用にレベル別に作られた多読用シリーズです。
上のリンクのように、日本の昔話や偉人の伝記などがリリースされています。
英文だけが書かれており、日本語訳は掲載されていません。
巻末にWord Listとして、本編に出てくる英単語の品詞と意味が載っています。
レベルは5段階に分かれています↓
レベル | 使用語数 | 英検のレベル |
LEVEL1 | 1000語 | 4級 |
LEVEL2 | 1300語 | 3級 |
LEVEL3 | 1600語 | 準2級 |
LEVEL4 | 2000語 | 2級 |
LEVEL5 | 制限なし | 準1級 |
英検4級が、中学2年生にレベルに対応しているので、まずはラダーシリーズもLEVEL1からスタートするといいでしょう。
多読することによって読むスピードが上がります。
すると、英語を処理するスピードが上がるので、リスニングの場合にも処理スピードが上がるわけです。
音源を使った音読の練習が最優先になりますが、ある程度リスニングのトレーニングが進んだ子は、多読で英語のシャワーを浴びてもいいでしょう。
中学英語の読解や多読について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
まとめ:【中学生】英語のリスニングの勉強法!
リスニングの力は一朝一夕では身につきません。
というよりも、言語を身につけるのは、時間がかかるものです。
英単語と英文法という土台を作りながら、英語の「耳」を鍛えていきましょう!