こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
国語の読解問題って、どうやってまちがい直しをすればいいの?
そのように悩んでいるお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 「読解問題のまちがい直し不要説」は本当か
- 読解問題のまちがい直し方法
がわかります。
他の教科は、まちがい直しの方法がわかりやすいものです。
類題を解けるようにしたり、用語を覚え直したりしますよね。
では、国語の読解問題は、どうやってまちがい直しをしたらいいのでしょうか?
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
「読解問題のまちがい直し不要説」は本当?
学校の先生や塾の講師の中では、読解問題の解き直しは不要だと言う人もけっこういます。
「読解問題のまちがい直しは不要説」がささやかれる理由は…
- 答えを覚えてしまうから
- 類題トレーニングがしにくいから
- 記述問題は添削しにくいから
- どこでつまずいたのかがわかりにくいから
の4つだと私は考えます。
掘り下げて見ていきましょう。
答えを覚えてしまうから
国語の解き直しを難しくさせているのが、「答えを覚えてしまう」ことです。
記号選択問題でまちがった場合、正しい答えが「ウ」だったら、
正解は「ウ」
で、復習を終えたつもりになってしまいます。
抜き出し(書き抜き)問題でも同様です。
本当は、その答えにたどりつくプロセスが大切ですよね。
でも、そこまでていねいに独学で復習できる子はなかなか少ないでしょう…
また、おとなが付き添って、解き直しをする場合、付き添う側も文章を読んで理解しておかなければならないのも難しいところです。
国語は手間がかかる教科です…
類題トレーニングがしにくいから
また、類題トレーニングがしにくいことも、読解問題のまちがい直しを難しくさせています。
数学や算数ならば、まちがった問題の類題をトレーニングすればいいですよね。
食塩水の問題でまちがった
→食塩水の類題でトレーニングする
でも、国語の読解問題は、そうはいきません。
別の文章を扱うと、内容も論理展開も違うのですから、類題トレーニングとしては成り立ちにくいです。
その結果、「国語はまちがい直しはできません」という結論に行きつくのでしょう。
記述問題は添削しにくいから
中には、記述問題にお困りのお母様・お父様もいらっしゃるでしょう。
- 子どもが模範解答とは少し違った答えを書いている…
- まちがってはいないが、正解にしてもいいものか…
- 部分点はどれくらいあげたらいいか…
プロの講師でも、記述問題に点数をつけたり、添削したりするのは骨が折れるものです。
人数の多い塾や学校では、1人1人の記述答案を添削している余裕がない場合も多いでしょう。
その結果、「国語の読解はまちがい直しはしなくていい」となってしまうことが多いのかもしれません。
どこでつまずいたのかがわかりにくいから
他の教科であれば、「まちがっている=理解不足・暗記不足」だと判断しやすいです。
数学・算数ではも、途中式やひっ算が残っていれば、思考の跡をたどれます。
まあ、途中式もひっ算も書かへん子もいるけどな
でも、読解問題の場合には、どこでつまずいたのかが本人以外にはわかりにくいものです。
頭の中でどういう論理でその答えに行きついたのかは、外からは見えません。
もしかしたら、本人はそもそも文章を読んでいない可能性だってあります。
なので、まちがい直しをしにくいと感じる人も多いでしょう。
国語の読解問題のまちがい直し方法
ここまでお伝えしてきた通り、読解問題はまちがい直しがしにくいのは確かです。
ただ、自分がまちがいやすいポイントを理解して、弱点を克服するには、読解問題でもまちがい直しはやっぱり大切です。
つまり、読解問題のまちがい直しは不要ではありません!
やり方が難しいだけですね。
では、読解問題はどうやって復習すればいいのでしょうか?
読解問題のまちがい直しの方法は…
つまずきポイントに応じて変える
ことが大切です(だからこそ難しいのですが…)。
読解問題のつまずきポイントは、大きく分けて4つに分かれます。
- 時間配分
- 語彙(ボキャブラリー)
- 読む
- 解く
です。
1つずつくわしく見ていきましょう。
時間配分
時間配分が原因で点数が取れていないのは、答案用紙を見れば、比較的わかりやすいです。
答案用紙の一部(特に後半)が、空欄だらけorまちがいが集中しているはずです。
時間配分のミスをどうやって次に活かすかですが、
- テストの戦略を変える
- 解ける問題から手をつける
- 読解スタイルを変える
- ふだんからタイムプレッシャーをかける
などの方法があります。
テストの戦略を変える
手っ取り早いのは、戦略を変えてみることです。
読解問題で時間がかかってしまうなら、漢字や文法の問題を先に解く。
苦手な小説は後回しにして、得意な論説文から先に取り組む、などですね。
解ける問題から手をつける
戦略とも関係しますが、解ける問題から解いていくのも大切です。
時間切れになってしまう子は、難しい問題に時間をかけすぎている可能性があります。
- あまり要領がよくない
- 点数に対する執着があまりない
という子によく起こります。
また、国語はどの問題が難しくて、どの問題がかんたんかが、パッと見てわかりにくいですよね…
ですので、一度チャレンジしてみて、すぐに答えが書けそうになければ、いったん保留にしておくことも必要です。
読解スタイルを変える
また、読解のスタイルがネックになって、時間切れになる子もいます。
「文章を全部読み通してから設問を解く」スタイルで、読むのが遅い子に起こりがちです。
文章を全部読み通すのに、そもそも時間を取られます。
そして、設問を解くときに、設問に関する部分をもう一度読み返します。
すると、二重に読んで時間をかけてしまいますよね。
この「通読スタイル」は塾で推奨されることが多いですが、合わない子もいます
読むのがゆっくりの子の場合、「読みつつ解く」というスタイルの方が合うことがあります。
つまり、傍線や空欄が出てきたら、それに関する設問をすぐにさばく方法です。
もちろんすぐには解けない問題もありますから、いったん保留しないといけないというデメリットもあり、一長一短ではあります。
読解スタイルに関して、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
ふだんからタイムプレッシャーをかける
また、ふだんから速く読む意識を持ち続けることも必要です。
マイペースな子の場合、ゆっくりと鑑賞するように文章を読んで時間切れになる子もいます。
趣味の読書ならOKですが、制限時間のあるテストでは、やっぱり急がなければなりません。
「見開きなら16分で解く」というように、普段から制限時間のルールを決めておくといいでしょう。
読解スピードの上げ方について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
語彙(ボキャブラリー)
文章の内容が理解できずに、まちがってしまっている子も多いものです。
子どもたちは常に発展途上で、語彙(ボキャブラリー)が不足しています。
おとななら当然知っている言葉でも、「え?知らないの?!」とびっくりしてしまうことも多いですよね。
語彙力を鍛えるには…
- 知らない言葉は意味を予想する
- 意味を調べる
- 音読する
- ボキャブラリーをふだんから意識的に増やす
といった方法があります。
知らない言葉は意味を予想する
テスト中に、知らない言葉が出てきても、立ち止まっている時間はありません。
「こんな言葉は習っていない!」と苦情を言うわけにもいきません。
知らない言葉が出てきたときには、意味を予想するトレーニングは積んでおきましょう。
文章の流れから、「だいたいこんな意味かな?」と予想できる場合も多いものです。
国語が得意な子は、知らない言葉が出てきても、なんとなく読めています
意味の見当がつかなかったとしても、「いい意味」か「悪い意味」か、くらいの予想は立てながら読むといいですね。
意味を調べる
ふだんの文章読解では、知らない言葉は意味を調べるようにしましょう。
国語辞典で調べるのがベストですが、時間がかかりますよね…
最近はインターネット上の辞書で意味を調べる人も増えてきています。
オンラインの辞書でも構わないので、知らない言葉は意味を調べるクセをつけたいものです。
音読する
また、その子がどの言葉を知っていて、どの言葉を知らないのかは、他人からは見えにくいものです。
その場合におすすめなのが、音読をさせてみることです。
音読をさせてみると、
- 読み方がまちがっている
- 読みにくそうにしている
- 変なところで区切って読む
といったことが起こります。
そこが、その子にとって知らない言葉・なじみのない言葉である可能性大です!
あやしい言葉が見つかったら、意味を調べさせたり、教えてあげたりしましょう。
また、音読することによって、言葉や表現になじむこともできます。
本人に例文を考えさせることも有効ですね。
ボキャブラリーをふだんから意識的に増やす
語彙(ボキャブラリー)は「武器」です。
- 知っている言葉が多い=読みやすい
- 知らない言葉が多い=読みにくい
おとなでもそうですし、英語を学ぶときも同じですよね。
ただ、言葉って、一気に増やすことはできません…
ふだんから意識して言葉に触れて、身につけていくしかありません。
まずは、学校の授業や塾での勉強をフル活用して、言葉に接しましょう。
学校の教科書は、その学年で知っていてほしい語彙や表現がちりばめられています。
教科書、侮るべやらず、やな
漢字の宿題・テスト、音読の宿題なども手を抜かないことが大切です。
効果があると知っているからこそ、学校の先生は宿題を出しているんですね(いやがらせではありません笑)
塾でも、漢字や言葉の学習をおこないますよね。
塾も語彙(ボキャブラリー)が、文章読解に影響することを痛感しています。
また、勉強以外からも、生きた言葉を身につけることができます。
- 会話
- テレビ
- マンガ・アニメ
- 音楽
- 読書
などです。
むしろ、勉強以外の日常生活で、言葉を増やしていく方が自然ですね。
たくさんの言葉に出会っていきましょう。
語彙の増やす方について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓(小学生向けの記事ですが、中学生以上でも同じです)
読む
語彙(ボキャブラリー)が読解に影響を与えているとさきほどお伝えしました。
ただ、語彙があったとしても、文章が読みにくく感じてしまうことがあります。
それは…
論理の展開
がわかっていない場合です。
読解が得意な子は…
次はこんな展開になるな。
きっと筆者が言いたいのはこういうことだな。
と、文章を読みながら、「論理の展開」が見えています。
でも、読解が苦手な子は、読んでいるけれども、「ただ文字を目で追っているだけ」になっていることがあります。
本人としては、文章を読んでいるのに「何が書かれているのかわからない…」という徒労感があるでしょう…
では、「論理の展開」が見えていない子には、どのようなまちがい直しが有効なのでしょうか?
それは、
1つの文章を精読する
ことです。
「精読」とは、ていねいに文章を読み、正確に理解することです。
え?
たくさんの文章を読んだ方がいいんじゃないの?
と感じるお母様・お父様も多いでしょう。
もちろん結果的には、「多読」する必要があります。
ただ、読み方がわかっていないのに、たくさんの文章を読ませるのは、運転方法を教えていないのに、とりあえず路上で車を運転させるようなものです。
「習うより慣れろ」も大切ですが、事故は少ないにこしたことはないですよね…
では、どうやって精読すればいいのというと、
- 知らない言葉は意味を調べる
- 大切(そう)なところに線を引く
です。
意味を調べるのは、語彙(ボキャブラリー)強化のためですね。
読解が苦手な子は、どの文が大切な文(キーセンテンス)なのかが見えていません。
ですので、「大切(そう)なところに線を引く」ことから始めるといいでしょう。
と書くと、
そもそも大切な文がわからないから、線が引けないの!
と、国語の苦手な子は思ってしまいます。
まずは、論説文(説明文)なら筆者の主張をあわらす言葉に印を入れてみましょう。
たとえば…
- (筆者は)~と思う・考える・感じる
- 大切・重要・必要
- しなければならない・ちがいない・はずだ・ではないか
など、筆者の考えがはっきりと書かれているところや、強い口調で書いているところですね。
これらのワードだけを拾って読むだけで、筆者の言いたいことがすぐにわかる場合もあります。
また、テストの出題者も、筆者の主張を軸に問題を作るので、線を引いたところが答えの中心になるということはよくあります。
説明文の線引き・印付けについて、ここでは書ききれないので、こちらの記事をどうぞ↓
小説(物語文)なら、主人公の「心情(気持ち)」の線を引いておくといいでしょう。
気持ちの変化のない物語なんて、おもしろくないですよね…
テストの出題者も、心情を中心に問題を作ります。
ですので、主人公の気持ちの変化をつかみながら読むと、点数を取りやすくなるでしょう。
物語文の線引き・印付けも、ここでは書ききれないので、こちらの記事をどうぞ↓
大切な箇所がわからなくても、「大切そう」と感じるところでまずはOKです。
また、はじめのうちはどこに線を引いたらいいのかが、わかりにくいでしょう。
その場合には、国語に詳しい講師にチェックしてもらうのがおすすめです。
つまずきポイントは集団指導では見えにくいので、個別指導や家庭教師を使うのもいいでしょう。
まちがい直しのときに線を引くトレーニングをして、数をこなしていけば、初めて読む文章でも、だんだんと的確なところに線を引けるようになってくるでしょう。
「論理の展開」を追う方法を、教えてもらったことがない人も多いでしょう。
どうしても塾の集団指導では、「解く→解説」という後出しパターンになりがちだからです。
また、線を引いたり、印をつけたりすることは、必須ではありません。
線を引かずに、高得点を取れる子ももちろんいます。
でも、線を引かずに(引けずに)、今うまくいっていないのなら、やり方を変えてみませんか?
解く
「解く」でつまずいている場合には、まちがい直しで「解くテクニック」を学び直しましょう。
読解の「解法テクニック」は、受験業界で独自に進化してきたので、知らないと解きにくい場合が多いです。
たとえば…
- [記号選択]適切でないものを選びなさい。
- [抜き出し]一文の最初と最後の五字を抜き出しなさい(ただし、句読点も一字に数えます)。
- [記述]文章中の言葉を用いて書きなさい。
などですね。
テスト慣れしていない子は、抜き出し問題の「一文」という言葉を見落とすでしょう。
また、「文章中の言葉を用いて」と書かれても、「どこまで使っていいの?」と思ってしまいますよね…
文章が読めているのに、解き慣れていないだけの子は、「解法テクニック」を学んだだけで一気に点数が上がる子もいます。
「解法テクニック」についても、ここでは書ききれないので、こちらの記事をどうぞ↓
記号選択・抜き出し・記述、どれにも言えることは、
本文から答えの根拠を探すことが大切
だということです。
国語は、文章の中に答えやヒントが必ず書かれています。
その宝探しの方法が「解法テクニック」なんですね。
ご家庭でも「なんでその答えになるの?」と答えの根拠をたずねてあげてください。
きっとはじめは「なんとなく」とか「カン」と言うかもしれませんが、だんだんと根拠を見つけて言えるようになってきます。
私が指導するときには、なぜその答えになるのか根拠を子どもたちに問い続けます
そうやって根拠を探しているうちに、「ここが問題で狙われそう」という感覚も養われてきます。
講師の読み方・解き方をトレースできたり、出題者の立場に立って考えたりできるようになると、読解の成績は上がりやすくなります。
出題者の立場に立つと、どんな問題が出やすいか、どんな答えになるか予想しやすいわけやな
ただ、「解法テクニック」は独学するのは難しいでしょう。
解くテクニックを知るためには、塾の講師などに教えてもらうといいでしょう。
また、記述答案の添削についても、ご家庭では難しいはずです。
プロの講師でも、記述答案の添削には迷ってしまいます。
国語に精通した講師や家庭教師に、添削してもらうのがおすすめです。
まとめ:読解問題の解き直し方法
伸び悩んでいるなら、どこでつまずいているのか分析するためにも、読解のまちがい直しは必要です。
ただ、読解はまちがい直しがやりにくいんですよね…
時間配分を見直したり、語彙(ボキャブラリー)を鍛えたりするのは、ご家庭でもしやすいでしょう。
一方、読み方や解き方を修正するのは、ご家庭では難しい部分もあります。
その場合には、国語に精通した講師に教えてもらうのがおすすめです。
まちがい直しをして、読解問題の「くせ」を修正して、次に進んでいきましょう!