こんにちは、プロ家庭教師ひかるです。
担当しているご家庭から、よくされる質問があります。
それは…
いったん文章をすべて読んでから、設問を解いたほうがいい?
読み進めながら、設問を解いたほうがいいの?
という質問です。
そんな悩みを持つお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では…
- 読み通して(通読)して解くメリット・デメリット
- 読みながら解くメリット・デメリット
がわかります。
読むスタイルは、読解の根幹なので、しっかりと意識することが大切ですね。
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
やってはいけない読解方法
文章を通読して解くか、それとも読みながら解き進めるかというテーマについて、話を進める前に、1つだけお話ししておきたいことがあります。
それは「やってはいけない読解方法」についてです。
「やってはいけない読解方法」とは…
傍線部・空欄の周辺だけ文章を読む
という読み方です。
あ、オレやってた
それ、アカンやつな
すべての文章は読まないというお子さんが、実は結構います。
傍線部や空欄が出てきたら、傍線部の周辺だけ読んで、答えを探しています。
「答えに関係しそう」なところだけを読んで解こうとするわけです。
だって、全部読んでたら時間なくなるやん
全部読むの、めんどくさいやん
というのが、子どもたちの本音です。
特に、国語に苦手意識を持っている子や、すぐに答えを知りたがるせっかちな子に多い読み方です。
中には…
傍線部や空欄の近くを読むだけで、正解できるで!
と自信満々に語る子もいるくらいです…
確かに4年生くらいまでで、文章や設問が簡単な時期は、傍線部や空欄の近くを読むだけでも正解できるかもしれません。
でも、その成功体験は、5年生・6年生になって、文章も設問も深くなってくると、役に立たなくなります…
もちろんテストでも点数を取れなくなってきます。
傍線部の近くだけを読む方法では、テストで点数を取れないばかりか、文章を読む力、設問を解く力が育たなくなってしまいます!
絶対やったらアカンで!
やはり文章を読む力、設問を解く力を伸ばすには、文章全体の内容を理解しようと努めなければなりません。
きちんと文章を読んで理解するトレーニングをしてこそ、いわゆる「読解力」が育ちます。
また、塾では受験独特の読解テクニックを教わります。
ただ、そのテクニックも、文章の内容が読めてこそ、正しく発揮されます。
通読してから解いても、読みながら解いてもOK
傍線部の近くだけ読むスタイルがダメなら、どのようにして文章を読み解けばいいのでしょうか?
それは今回の記事のテーマである…
- 通読してから(すべての文章を読んでから)設問を解く
- 読み進めながら傍線部・空欄ごとに設問を解く
この2つの読み方ならOKだと、私は考えています。
どっちがええんやろな?
塾によっても、先生によっても、方針が違う場合があるから要注意や
それぞれにメリット・デメリットがあります。
メリット・デメリットを理解した上で、読解に取り入れましょう!
通読してから設問を解くメリット
まず、「通読してから設問を解く」メリットから考えていきましょう。
通読する最大のメリットは…
- 文章全体の論点を理解した上で、設問に取り組める
ということです。
もうちょいくわしく
OK
論説文では、筆者が文章の冒頭ですぐに主張を書いてくれるとは限りません。
具体例を用いたり、別のものと比べたりしながら、最後になってようやく自身の主張を述べてくれるという場合があります。
また、物語文でも読み進めていく中で、場面の設定、主人公の心情や行動の理由が、少しずつ明かされていくということがあります。
そのような場合、文章を読み通していれば、文章全体から筆者の意図を理解したうえで、あるいは、主人公の気持ちを理解したうえで、的確に設問に答えることができます。
全体を俯瞰(ふかん)するっていうヤツやな
また、難しい設問になってくると、傍線部周辺を探すだけでは、答えやヒントが見つからないということがあり得ます。
傍線部から答えやヒントが離れている場合、「読みながら傍線部ごとに解く」スタイルでは、答えやヒントを見つけられないという事態が起こります。
しかし、「通読してから設問を解く」スタイルならば、傍線部から答えやヒントが離れていても、一度読み通しているので、その答えやヒントに気づきやすくなるというメリットもあります。
通読してから設問を解くデメリット
では、「通読してから設問を解く」スタイルが万能なのでしょうか?
実は、「通読してから設問を解く」方法にもデメリットがあります。
それは…
- 傍線部・空欄の周辺は結局2度読むので、時間がかかる
ということです。
文章全体を読み通していたとしても、傍線部・空欄に関する問題を解く場合には、あらためて傍線部の周辺を分析して、答えやヒントを探すのが鉄則です。
これ、大事
それを怠ってしまうと、いくら通読していたとしてもケアレスミスをして、間違った選択肢を選んでしまうことがあるでしょう。
ということは、通読した後、設問を解くときに、結局は2度読んでいることになります。
すると、どうなるかというと…
ああぁ!
時間切れ!
という「時間配分の問題」に行き当たってしまうのです。
もちろん文章を読むスピードが速いお子様は、「通読してから設問を解く」スタイルで2度読みしても、最後まで設問を解ききることができるでしょう。
しかし、文章を読むスピードがゆっくりなお子様の場合、「通読してから設問を解く」スタイルだと、最後まで設問に目を通すこと、手を付けることができずに、時間切れになってしまう可能性が高くなります。
めっちゃ心当たりあるわぁ
そうならないためにも、通読するときに、キーワードに印を付けたり、キーセンテンスに線を引いたりしておくといいでしょう。
大事だと思われる箇所に、印を入れたり、線を引いたりしておけば、設問を解くときに読み返す手掛かりになります。
ただ、読み通してから解くのが自分に合っているけれど、時間切れになって困っている場合には、読む速度を上げるトレーニングも有効です。
いわゆる「速読」です。
たとえば、中学受験専門 速読解力講座では、読んだ文字を速く処理し、速く解くためのトレーニングが用意されています。
中学受験専門 速読解力講座
- 速読力トレーニング
- 読解力トレーニング
- 脳力トレーニング
- 教科トレーニング
オンラインで自宅で速読トレーニングができます。
読む時間を短縮することで、「解く」ことに時間を使うことができるでしょう。
「速読解力講座」の特集記事はこちら↓
我流で速く読もうとして、読み方が雑になってしまっては意味がありませんね。
入試まで時間の余裕がある場合には、速く読み解くトレーニングをするものおすすめです。
首都圏向けの講座です。
全国向けにしてほしいくらいですね
読みながら解くメリット
文章を読むスピードがゆっくりで、テストなどで時間切れになってしまうお子様には、「読みながら解く」スタイルの方が合っているかもしれません。
「読みながら解く」場合のメリットは…
- 傍線部・空欄の周辺に答えやヒントが見つかる場合には時短できる
ということです。
「時短」はありがたいわ
易しい設問では、傍線部や空欄の周辺を分析すれば、答えを導けるように作られています。
ですので、わざわざ通読しなくても、文章を読み進めながら、短時間で答えやヒントを見つけることができる可能性があります。
(しかし、だからと言って、傍線部の近くだけ読んで解けばいいというわけではないのは、さきほどお話しした通りです)
もちろん答えやヒントが傍線部・空欄から遠く離れている場合は、傍線部や空欄の周辺だけを探す「読みながら解く」スタイルでは対応できません。
しかし、そのような問題は、たいてい正答率が低いものです。
つまり、他の受験生も答えやヒントを見つけられない可能性が高い問題だということです。
みんな間違えるから、ダメージが少ないというわけ
文章を読むスピードがゆっくりなお子様は、傍線部や空欄の周辺に答えやヒントを見つけるレベルから苦戦している場合が多々あります。
そのような場合には、正答率の低い「傍線部・空欄から答えやヒントが離れている設問」はいったん置いておいて、正答率の高い「傍線部・空欄に答えやヒントが近い設問」に注力したほうがいいでしょう。
読み方を指導するのが、ご家庭で難しい場合には、家庭教師を利用するのもアリです。
読みながら解くデメリット
一方、「読みながら解く」スタイルのデメリットは、さきほど述べた通り…
- 答えやヒントが傍線部・空欄から離れている場合には、いったん棚上げしておかなければならない
ということです。
なぜなら、後ろの方の設問に、実は簡単な設問がかくれている場合もあるからです。
「国語のテストあるある」やな
時間切れになってしまうともったいないですよね。
ですので、「読みながら解く」スタイルでは、すぐに答えやヒントが見つけられない場合には、いったん棚上げしておくというスキル、言い換えるなら「要領のよさ」も求められるでしょう。
どうすれば読み方・解き方は矯正できる?
でも、うちの子、どうやって読んでいるのかがよくわからない…
どうやってくせを治せばいいの?
そのようにお悩みのお母様・お父様も多いはず。
声を出さずに黙読させて問題を解かせていると、どのように読んで解いているのかは、本人以外にはわかりません。
しかも、塾の「演習→解説」という授業スタイルでは、子どもたちの読み方・解き方への指導が抜け落ちていることがよくあります。
ですので、文章の読み方・解き方の矯正はとても難しいんです…
ご家庭で、この読解スタイルについてお話すると、お母様・お父様はけっこうびっくりされます
読解スタイルは、「泳ぎ方」と同じです。
きちんとした泳ぎ方の指導を受けて、トレーニングをすることで、安定して泳げるようになります。
また、泳ぎ方に変なクセがついてしまっている場合には、矯正が必要です。
でも、「演習⇒答え合わせ」という塾の授業スタイルでは、泳ぎ方を教わっていないのに、プールに入れられてしまいます…
うまく読めなくて当然ですよね。
国語のプロ講師なども活用して、きちんとした「読み方・解き方」をトレーニングすることが大切です。
まとめ:文章読解は通読して解くか?それとも読みながら解くか?
通読してから設問を解く場合でも、読みながら解く場合でも、それぞれにメリット・デメリットがありました。
ですので、お子様のタイプによって、読解スタイルを使い分けるのがおすすめです。
文章を読むスピードが速い→「通読してから設問を解く」メリットが実感しやすい
一方…
文章を読むスピードがゆっくり→「読みながら解く」スタイルの方が、要領よく時間を節約できる
というようにメリットを活かす読み方をすることが大切です。
ただ、くれぐれも傍線部・空欄の近くだけ読むのはやめましょう。
自分に合った方でトレーニングしよう
はじめは「読みながら解く」スタイルでトレーニングしておいて、読むスピードが上がってくれば、「通読してから解く」スタイルにかえてもいいでしょう。
まずはお子様の読みやすい方法・解きやすい方法を尊重してあげるのがいいかもしれません。
もしお子様が文章の読解で行き詰っているようであれば、文章の読み方・解き方について、一度見直してみるのもいいかもしれませんね。
国語の「つまずきポイント」が多岐にわたるので、マンツーマン指導に向いています。
塾に通っていて伸び悩んでいるなら、国語の指導に精通した家庭教師を利用するのもおすすめです。