こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、漢字が苦手だけど、どうやって勉強すればいいの?
漢字検定で合格しておくと、中学入試で有利?
そのようにお悩みのお母様・お父様の参考になる記事を用意しました。
今回の記事では…
- 中学受験で漢字検定は有利なのか?
- 中学受験での漢字検定の活用法
- 漢字検定に向けた対策方法
がわかります。
漢字の読み書きの力は、国語のみならず、全教科の土台となります。
ぜひ漢字を味方につけてくださいね!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウをお伝えします
漢字検定とは?
クイズ番組でも取り上げられるので、漢字検定は有名ですね。
漢字検定は、公益財団法人 日本漢字能力検定協会という団体が主催しています。
よく「漢字検定」とか「漢検」と呼ばれますが、正式名称は「日本漢字能力検定」なんですね。
(以下、「漢検」と書きます)
「漢検」がどんな検定なのか、日本漢字能力検定ホームページに次のように説明されています。
「漢検(日本漢字能力検定)」は、漢字能力を測定する技能検定です。
日本漢字能力検定ホームページより引用
漢字を「読む」「書く」という知識量のみならず、漢字の意味を理解し、文章の中で適切に使える能力も測ります。
「漢検」の評価は社会的な評価でもあり、学んだことがすぐ生き、生涯楽しく学べ、進学や就職にも役立つため教育や企業の現場で今注目を集めている検定です。
漢字は年齢に関係なく学べる身近な学習対象であるため、3歳から102歳という幅広い年齢層の方が「漢検」に挑戦しています。
漢字に関する技能を広く測定してくれる検定ですね。
漢検の受検級について
漢検は、1級から10級まで12の受検級に分けられています(準1級と準2級が含まれます)。
ですので、受検者の状況に合わせて、受検級を決めることができます。
各級について、もう少し見ていきましょう。
※中学受験の国語全体の勉強法については、こちらの記事をどうぞ↓
各級のレベルと検定料
各級のレベルと検定料は次の通りです。
(レベルや検定料は変更される可能性がありますので、最新情報は日本漢字能力検定ホームページでご確認ください。)
【級】 | 【レベル】 | 【検定料】 |
1級 | 大学・一般程度(約6000字) | 6,000円 |
準1級 | 大学・一般程度(約3000字) | 5,500円 |
2級 | 高校卒業・大学・一般程度 ※常用漢字レベル | 4,500円 |
準2級 | 高校在学程度 | 3,500円 |
3級 | 中学校卒業程度 | 3,500円 |
4級 | 中学校在学程度 | 3,500円 |
5級 | 小学校6年生修了程度 | 3,000円 |
6級 | 小学校5年生修了程度 | 3,000円 |
7級 | 小学校4年生修了程度 | 3,000円 |
8級 | 小学校3年生修了程度 | 2,500円 |
9級 | 小学校2年生修了程度 | 2,500円 |
10級 | 小学校1年生修了程度 | 2,500円 |
1級のレベルとして「大学・一般程度」と書かれていますが、2級が「常用漢字レベル」なのでご注意ください(笑)
よくテレビのクイズ番組で漢検1級範囲の漢字が出題されているので、ご存知の方も多いかと思いますが、超難問です。
私自身は、漢検2級を合格していますが、確かに日常生活でも、受験生の指導でも、特に困ることはありません。
級によっては、漢字の読み書きだけでなく…
- 筆順・画数
- 部首
- 送りがな
- 類義語・対義語
- 同音・同訓異字
- 三字熟語・四字熟語
- 熟語の構成
- 故事・ことわざ
- 誤字訂正
なども出題され、漢字に関するさまざまな知識が問われますね。
けっこう幅広いな
検定料に関しては、受検級が上がることに、費用も上がります。
お金を支払って受験するので、できれば1回で合格したいものです(年3回受検機会があります)。
漢検の合格ラインは?
漢検の合格ラインは、日本漢字能力検定ホームページによると…
- 1級・準1級・2級:8割程度(160点程度/200点満点)
- 準2級~7級:7割程度(140点程度/200点満点)
- 8級~10級:8割程度(120点程度/150点満点)
となっています。
7割・8割を目指して学習すればいいので、目標がはっきりしています。
自分の実力が合格ラインを超えればいいので、何人が合格するのかという「合格率」を気にする必要はありません。
もちろん余裕を持って、受検するのがいいでしょう。
ちなみに、満点合格をすると「満点合格証書」をもらえます。
中学受験の国語学習における漢検の活用方法
次に、「中学受験の国語学習における漢検の活用方法」を考えていきましょう。
漢検合格者を優遇してくれる中学校は…
まず、あれば嬉しいのが「漢検合格者への優遇」ですよね。
ただ、結論から先にお伝えすると、漢検の合格で有利になる中学校はそれほど多くありません。
近年、中学受験で優遇されるのは、「英検(実用技能英語検定)」の方です。
ですので、関西圏の中学受験での、優遇や加点を狙って、漢検を受検する必要はないでしょう。
中学受験での英検による優遇について、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
中学受験の勉強で、漢検の学習に取り組むメリットは?
では、中学受験の勉強において、漢検の学習に取り組むメリットはあるのでしょうか?
私は、次の3つのメリットがあると考えています。
- 習熟度に合わせて、予習・復習ができる
- 合格という目標に向けて勉強でき、「合格」を経験できる
- 漢字だけでなく、知識・語彙も習得できる
1つずつくわしく見ていきましょう。
メリット1.習熟度に合わせて、予習・復習ができる
まず、漢検の学習に取り組むメリットの1つ目は「習熟度に合わせて、予習・復習ができる」ということです。
小学校では、当該学年の漢字しか学習しません。
中には…
次の学年で学ぶ漢字を、どんどん勉強したい!
という漢字が得意なお子様もいるでしょう。
一方…
苦手だから、1つ前の学年の漢字から復習したい…
という漢字が苦手なお子様もいらっしゃるはずです。
漢検ならば、学年の壁を気にせず、予習・復習を自由にすることができます。
さきほどの表でご紹介した通り、小4範囲が7級、小5範囲が6級、小6範囲が5級です。
ですので、各学年の年度末に、ご自身の学年に対応する級を受検するのが基本パターンです。
でも、漢字が得意なら、漢検では次の学年の級を受検できるわけです。
周囲の進度を気にせず、どんどん予習することができますね。
一方、漢字が苦手なら、前の学年に該当する級を受検することもできます。
復習をメインにして、漢字を学習することも可能です。
自分のペースで勉強できるのはええな
中学受験のおすすめの漢字の問題集について、くわしくはこちらの記事をご覧ください↓
メリット2.合格という目標に向けて勉強でき、「合格」を経験できる
塾のテストでは、偏差値が重視されます。
偏差値というのは、「みんなの中で自分はどの位置にいるのか」という相対評価ですね。
ですので、もし自分の実力がアップしても、周囲の実力もアップしていたら…
自分の相対的な位置は変わらない、つまり、偏差値は変わりません。
一方、漢検は…
絶対評価
です。
絶対評価は「何点取れば合格」ということが、ハッキリしています。
つまり、漢検は、学習した分だけ合格に直結する、努力が報われやすいテストと言うことができます。
「何点取れば合格」という目安が明確になっている方が、学習にも取り組みやすいですよね。
励みになるわ
また、合格を「疑似体験」できるのも、漢検のメリットだと私は考えています。
中学受験というのは、模試と違って、合格・不合格がはっきりしています。
そのような、合格・不合格が突き付けられる経験をしていないお子様は結構いるものです。
漢検を受検することで、合格の「疑似体験」という貴重な経験を得ることができます。
成功体験を持っておくことは大切です
メリット3.漢字だけでなく、知識・語彙も習得できる
漢検に向けた学習で身に付くのは、漢字の読み書きだけではありません。
さきほどご紹介した通り、受検級によっては…
- 筆順・画数
- 部首
- 送りがな
- 類義語・対義語
- 同音・同訓異字
- 三字熟語・四字熟語
- 熟語の構成
- 故事・ことわざ
- 誤字訂正
なども出題されます。
類義語・対義語、四字熟語や熟語の構成などは、中学受験国語の知識問題としても、もちろん出題されます。
ですので、漢検に向けた学習を通して、中学受験国語で要求される国語の知識も、身につけることができます。
一石二鳥やな
また、漢字に多く触れることで、「語彙力」も強化することができます。
「語彙」というのは、「ボキャブラリー」、つまり、知っている言葉のことですね。
知っている言葉が多ければ多いほど、文章は読みやすくなります。
逆に、知っている言葉が少ないと、文章は読みにくくなります。
※語彙(ボキャブラリー)を鍛える問題集については、こちらの記事をどうぞ↓
でも、小学生の語彙力は、常に発展途上です。
言葉の数が少ない状態で、難しい言葉が登場する説明的文章に挑まなければなりません。
漢検ならば、検定に向けた学習を通して、知識や語彙を増やすことが可能です。
もちろん漢字は、国語だけでなく、あらゆる教科の土台です
中学受験のおすすめの読解問題集については、こちらの記事もご覧ください↓
いつまでに、どの級まで学習すればいいの?
では、中学受験の一環として漢検にチャレンジする場合、いつまでに、何級まで学習すればいいのでしょうか?
まず、小学6年生修了程度レベルの5級範囲の漢字までの「書き取り」を身につけておけばいいでしょう。
中学生以上の漢字、つまり、4級以上は取り組まなくても構いません。
というのも、漢字の書き取りで出題されるのは、小学校までの漢字だからです。
安心したわ
もちろんトップ校では、小学校範囲の漢字でも難しい熟語が出題されるで
確かに、文章では、中学生以上の漢字や難しい言葉が出てきます。
さきほどご紹介したように、漢検の学習で語彙を身につけられるのも事実です。
でも、語彙を身につけるためだけに、4級以上の漢字学習に取り組むのは、非効率です。
それならば、語彙強化のための問題集・テキストに取り組んだ方がいいでしょう。
また、小学6年生内容の5級までをいつまでに合格しておけばいいのかというと、小学5年生の間、遅くとも小学6年生の1学期でしょう。
つまり、中学受験を見据えて漢検を受検する場合、前倒して受検しなければなりません。
さっき漢字が苦手なら、前の学年の級を受検できるって言ってたやないか!
と突っ込まれそうですが、実際には、6年生になってから、漢検の学習している余裕はありません。
平日は塾と塾の宿題で手いっぱいになりますし、土曜日・日曜日・祝日は、特訓授業や公開テストで埋まります。
また、塾の漢字の教材がしっかりしていて、きちんと漢字のテストをしてくれている場合には、あらためて漢検の学習に時間を割く必要もないでしょう。
一方、塾によっては、漢検対策を塾のカリキュラムに取り入れて、漢字学習を進めているところもあります。
関西圏の大手の中学受験塾を比較した記事はこちらです↓
漢検対策にオススメの教材は?
では、どのような教材を使って、漢検対策をすればいいのでしょうか?
オススメの教材を2冊ご紹介します。
- 漢検 漢字学習ステップ
- 漢検 過去問題集
いずれも日本漢字能力検定が出版している公式問題集です。
次に、これらの教材をどのように使って勉強すればいいのか、見ていきましょう。
『漢検 漢字学習ステップ』の使い方
『漢検 漢字学習ステップ』は、その級に登場するすべての漢字が網羅されています。
負担にならないように、たくさんの章に分けて漢字を紹介してくれています。
問題のページは…
- 「読み」の問題
- 「言葉」の問題(部首・熟語・類義語など)
- 「書き」の問題
の3ページに分かれています。
オススメの進め方は…
「読み」のページばかり解く
↓
「読み」のページのまちがい直しをする
↓
「書き」のページばかり解く
↓
「書き」のページのまちがい直しをする
↓
「読み・言葉・書き」のページすべて通しで解く
↓
「読み・言葉・書き」のページのまちがい直しをする
このようにサイクル学習することによって、苦手な漢字には最低6回は出会うことになります。
もちろん、苦手な漢字が出てきたら、そこを重点的に取り組んでも構いません。
ただし、完璧を求めすぎたり、1章1章じっくり進めたりしないようにしましょう。
パーフェクトを求めすぎると、なかなか前に進めなくなってしまいます。
完璧を求めるよりも、何度も同じ漢字に出会った方が、脳に定着しやすくなります。
何度も登場するから、この漢字は大切なのか。
仕方ないから、覚えてやるか
脳がこのように錯覚してくれるように、スピーディーに問題集を繰り返すのがオススメです。
そういう意味でも、別の問題集に手を出す必要はありません。
まずは『漢検 漢字学習ステップ』を繰り返して解き…
あのページの、あの辺りに、書いてあった気がする!
と記憶が残るくらいまで、1冊の問題集をやり込む方が、新しい問題集に手を出すよりも価値があります。
漢字の勉強法について、くわしくはこちらの記事もお読みください↓
『漢検 過去問題集』の使い方
『漢検 漢字学習ステップ』で、ある程度その級の漢字を身につけたら、次はいよいよ実戦練習です。
中学入試と同じように…
過去問演習
です。
そこで役に立つのが、『漢検 過去問題集』です。
『漢検 過去問題集』は、実際に出題された問題が10回分以上収録されています。
いよいよ本番に向けた実戦練習やな
きちんと時間を計って、本番と同じ条件で解いてみましょう。
もちろん、答えや解説、他の参考書などは、見てはいけません。
「自力」でどれだけ得点できるかを、過去問演習で確認できます。
そして、まちがったった問題や弱点が見つかった場合には、自分でテストをしてみて、正解できるよう覚え直しましょう。
中学受験の過去問演習と同じです。
まちがった漢字を覚え直したら、次の過去問に取り掛かりましょう。
漢検は、毎年・毎回、同じ漢字が繰り返し出題されます。
出題範囲が決められているので、同じ漢字を出題せざるを得ません。
ですので、過去問を何回分も解いているうちに…
あ、この漢字、前回も出てきたぞ
という経験をし続けるはずです。
そして、何回分も解いているうちに、だんだんと得点も上がっていきます。
もし、漢字が苦手な場合には、学習のペースメイクに、家庭教師などを利用するのも有効です。
国語は「つまずきポイント」が多岐にわたるので、個別指導向きの教科です。
まとめ:中学受験の国語学習における漢検の活用方法
漢検学習を取り入れるメリットは、次の3つ
- 習熟度に合わせて、予習・復習ができる
- 合格という目標に向けて勉強でき、「合格」を経験できる
- 漢字だけでなく、知識・語彙も習得できる
ただし、小学6年生になると、塾のスケジュールが忙しくて、漢検対策している時間はありません。
それまでに先取学習をしておくのが、オススメです。
日本漢字能力検定公式の問題集がオススメです。
何度も繰り返して解く中で、点数が上がっていく実感が得られます。
ぜひ漢検で「成功体験」を積んでくださいね!
ご家庭で漢字学習のスケジューリングが難しい場合には、家庭教師を利用するのも有効です↓