こんにちは、プロ家庭教師のひかるです。
うちの子、文章を読むのが遅すぎる…
どうすれば読む速度を上げられるの?
そのように悩んでいるお母様・お父様も多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
- 国語の読解スピードが遅い5つの理由
- 読むスピードを上げる大前提とは?
- 読解スピードを上げる8つの方法
がわかります。
テストはいつも時間との勝負です。
文章を読むスピードが遅いと、時間切れの危険が常につきまといますよね…
読み方を工夫して、読むスピード・解くスピードを上げていきましょう!
元塾講師・プロ家庭教師として、のべ1000人以上を担当してきたノウハウを紹介します
読解スピードが遅くなってしまう5つの理由
まず、読んで解くスピードが遅くなってしまう原因から見ておきましょう。
読解スピードが遅くない理由は…
- 文字を認識するのが苦手
- 語彙(ボキャブラリー)が少ない
- 文章を読むのに慣れていない
- 文章の展開を理解せずに読んでいる
- なんとなく読んで解いている
の5つです。
1つ1つ見ていきましょう。
文字を認識するのが苦手
まず、脳の機能的に、文字を認識するのがもともと苦手な子もいます。
「読字障害(ディスレクシア)」という学習障害と診断されることがあります。
読字障害(ディスレクシア)は、国立成育医療研究センターによると…
ディスレクシアは、学習障害のひとつのタイプとされ、全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり、そのことによって学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。1896年に英国のMorgan先生が最初に報告しました。
国立成育医療研究センターのホームページより引用
知的能力の低さや勉強不足が原因ではなく、脳機能の発達に問題があるとされています。そのため発達障害の学習障害に位置づけられており、2013年に改定された米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、限局性学習症(いわゆる学習障害)のなかで読字に限定した症状を示すタイプの代替的な用語としてdyslexia(ディスレクシア)を使用しても良いことになりました。読字に困難があると当然ながら書字にも困難があります。そのため本邦では発達性読み書き障害と呼ばれることもあります。
私も、読字障害と診断されたお子様を担当することがあります。
算数は抜群に得意なのに、国語では文章を読むのに苦労する子、漢字の形を覚えにくい子、アルファベットや英単語のつづりが覚えづらいなど、さまざまな学びづらさを感じています。
ただ、素人が診断したり、指導したりすることは困難ですし危険です。
お子様の文字の認識について、気になる場合には、
- かかりつけの小児科
- お住まいの地域の保健センター
- 市役所の子育て支援課
- 総合病院の地域医療連携室
などに相談するようにしましょう。
語彙(ボキャブラリー)が少ない
語彙(ボキャブラリー)、つまり、知っている言葉が不足していて、文章が読みにくい子もいます。
知らない英単語ばかりの英文を読んでも、意味がぼやけてしまいます。
同様に、知っている日本語が少ない場合、文章を読んでも穴だらけに感じてしまいます。
- 知っている言葉が多い=読みやすい
- 知らない言葉が多い=読みにくい
とてもシンプルですが、語彙(ボキャブラリー)不足がネックになって、読むのが遅くなっている子は多いでしょう。
ただ、語彙(ボキャブラリー)は人生経験に大きく左右されます。
特に小学生はまだまだ発達途上で、知らないことも多いでしょう。
子どもたちは、おとなが思っている以上に言葉を知りませんよね
中には、語彙(ボキャブラリー)が増えるにつれて、国語の読解が得意になる子もいます。
中学受験では国語が苦手だったけれど、大学受験では国語が得意教科になっていることもあり得ます。
文章を読むのに慣れていない
ただただ読書する経験が少なく、文章を読む「体力」がついていない子もいます。
子どもたちもSNSなどで、たくさんの文字情報に触れてはいるでしょう。
ただ、まとまった内容の文章を読むのは、けっこうスタミナが必要ですよね。
スポーツと同じで、読む「基礎体力」がないわけやな
文章を読むのに慣れていないと、文字を目で追うだけで精一杯。
文章の内容を理解するまでに至らない、という子はたくさんいます。
文章の展開を理解せずに読んでいる
文章の書き手は、読み手が理解・納得しやすいように、文章を書いてくれています。
みんなに受け入れてもらいやすい「文章の展開」がありますよね。
- 抽象的な内容+具体例
- 2つの物事の対比
- 問題提起→答え
- 物語の起承転結
などです。
読む側も「次はきっとこんな話の展開になるだろうな」とか「きっと筆者はこういうことが言いたいんだろうな」と予想できます。
でも、まだ文章を読みなれていない子は、このような「論理展開」を知らずに、あるいは、意識せずに読んでいます。
心当たりあるわぁ…
話の脈絡もつかめず、筆者の言いたいことも理解できないまま、読み進めているわけですね。
ひと文字ひと文字はがんばって読んでいるのですが、「木を見て森を見ず」状態になってしまいがちです。
なんとなく読んで解いている
「読解」は、「読んで解く」という作業です。
もちろん趣味として読書をするのであれば、なんとなく楽しみながら読むのでOKです。
というよりも、趣味として読書してほしいんですけどね…
でも、国語のテストのときには、なんとなく読んでいてはスピードが上がりません。
ときどき、えんぴつも持たずに、ひじをついて、文豪のように読んでいる子もいますが…
テストで得点するためには、「解く」という目的を持って読む必要があります。
読むスピードを上げる大前提は?
ここから、読解のスピードを上げる方法を紹介していきますが、読む速度を上げるための大前提があります。
それは…
(ある程度)スムーズに音読して内容が理解できること
です。
入試やテストのときには、声を出さずに読む(黙読)しなければなりません。
でも、黙読でスピードを上げるためには、まず音読がある程度きちんとできていなければなりません。
音読がていねいにできないのに、スピードだけを上げても、
- 読み飛ばす
- 読み間違える
- 変なところで区切る
- 意味が分からないままただ速く「見ているだけ」
という状態に陥りがちです。
速く読んでも、理解が雑になってしまっては意味がありません。
まずは、ナチュラルスピードの音読がきちんとできるようになることが、スピードアップの大前提です。
ただ、さきほど紹介した読字障害(ディスレクシア)をお持ちの場合には、思うようにトレーニングが進まないことがあるでしょう。
繰り返しになりますが、心配な場合にはご自身で判断せず、専門家に相談するようにしましょう。
読解スピードを上げる8つの方法
では、読解の速度を上げるための方法を具体的に見ていきましょう。
国語の読解スピードを上げるための方法は…
- ナチュラルスピードで音読する
- 語彙(ボキャブラリー)を増やす
- 音読スピードを上げる
- ひと文字ずつ読まない
- 文章の展開を理解しながら読む
- 解くために読む
- タイムプレッシャーをかける
- 速読のトレーニングをする
の8つです。
掘り下げて見ていきましょう。
ナチュラルスピードで音読する
さきほど紹介した通り、音読がきちんとできることが、読むスピードを上げる大前提です。
小学校では、どのクラスでも、どの先生も「音読」の宿題を出しますよね。
音読には効果があるからこそ、宿題が出ているんです。
子どもの頃、親のサインをまねて、音読の宿題をしたフリをしていた私が言うのもなんですが…
塾ではあまり音読を重視しませんし、中学校以上ではあまり音読の宿題は出ません。
でも、音読がスムーズでないならば、まずはていねいな音読から始めてみるといいでしょう。
ちなみに、英語の学習でも、音読はとても重要です。
言語を習得するときには、「声を出して読む」ことで、その言語に脳が慣れていきます。
音読の方法や効果については、こちらの記事をどうぞ↓
語彙(ボキャブラリー)を増やす
知らない言葉が多くて、読むときにスピードが落ちてしまう場合には、語彙(ボキャブラリー)を増やしていかなければなりません。
語彙(ボキャブラリー)を増やすには、人生経験を増やすことも大切です。
年を重ねると、だんだんと知っている言葉が多くなります。
おとなになれば(専門的な文章でなければ)だいたい理解できるようになります。
子どもの頃、国語が苦手でも、大学受験では国語が得意教科になる子もいます
日常の会話、テレビやインターネットからも、言葉を増やすことはできます。
ただ、たくさん言葉に触れるという意味では、やはり本を読むのはおすすめです。
本を読むと、日常生活ではあまり出会わない言葉を知ることもできます。
小学生におすすめの本は、こちらの記事をどうぞ↓
中学生・高校生におすすめの本は、こちらの記事をどうぞ↓
ただ、入試まで自然に語彙が増えるのを待っていられない、というご家庭も多いでしょう。
そういう場合には、教材を使って語彙を増やすこともできます。
特に小学生は人生経験は少なく、常に発達途上です。
中学受験用の語彙(ボキャブラリー)の教材は、たくさん売られています。
中学受験用の語彙(ボキャブラリー)のおすすめ教材については、こちらの記事をどうぞ↓
中学生向けのおすすめ教材の記事でも、語彙(ボキャブラリー)を強化する教材を紹介しています↓
音読スピードを上げる
ナチュラルスピードで音読できるようになったら、音読のスピードを上げていきましょう。
その際、雑になったり、理解できないほどのスピードになったりしては意味がありません。
- 読み飛ばさない
- 読み間違えない
- 意味が分かる
ように音読するようにしましょう。
音読のスピードを上げられるということは、しっかりと文字が認識できているということです。
すると、声を出さない黙読でも、文字が認識できて、内容が理解しやすくなっているはずです。
ひと文字ずつ読まない
え?
ていねいに読むのに、ひと文字ずつ読まないの?
矛盾してない?
と思われたかもしれません。
もちろん大前提は、ナチュラルスピードで音読できることでした。
ただ、そこから読むスピードを上げていくためには、文字の認識速度をさらに上げていかなければなりません。
そのためにも、ひと文字ずつ読むのではなく、
- 単語
- 文節(「ネ」を入れて読んで不自然でない区切り)
という大きい「かたまり」で、読んでいくことが必要になります。
たとえば、次のどのタイプが、速く読めるでしょうか?
- ゾ ウ が 長 い 鼻 で 器 用 に 水 を 飲 ん で い る。(ひと文字ずつ)
- ゾウ が 長い 鼻 で 器用に 水 を 飲ん で いる。(単語ずつ)
- ゾウが 長い 鼻で 器用に 水を 飲んで いる。(文節ずつ)
- ゾウが 長い鼻で 器用に水を 飲んでいる。
もちろん4番ですよね。
中には「ゾウが長い鼻で器用に水を飲んでいる」と一気に、認識できる子もいます。
もっと速い子は、頭の中で「ゾウが長い鼻で器用に水を飲んでいる」シーンをすぐに思い描けます。
おとなよりもはるかに速く読める子っていますよね
ただ、読むのが遅い子は、1番の読み方のように、1文字1文字を読むのにいっぱいいっぱいになっていることがよくあります。
スピードが上がらないばかりか、理解もしにくいですよね…
文章の内容を、頭の中でイメージや絵として思い描くことも難しい状態でしょう。
まずは、「ネ」を入れて読んでも不自然にならない程度のかたまり(文節)で読めるようにするといいでしょう↓
ゾウが(ネ) 長い(ネ) 鼻で(ネ) 器用に(ネ) 水を(ネ) 飲んで(ネ) いる(ネ)。
そして、少しずつおおきなかたまりで認識できるようにしていくといいでしょう。
文章の展開を理解しながら読む
さきほど紹介した通り、文章の展開を知らないと、話の脈絡や筆者の主張がわからず、読み進めてしまいます。
一方、文章の展開を知ると、話の内容を予測しやすくなります。
次はきっとこんな話の展開になるぞ。
筆者が言いたいことはこういうことだな。
文章には、万人が理解しやすい一定の「型」があります。
まずは、どんな文章の「型」があるのかを知っておくだけでも、文章が読みやすくなります。
たとえば、論説文(説明的文章)であれば、
- 「キーワード」強調型
- 「主張&具体例」型
- 対比型
- 「Q&A」型
- 列挙型
などが定番ですね。
論説文の「型」について詳しくは、こちらの記事をどうぞ↓
物語文(小説)でも、登場人物の気持ちを中心に読むと、話の流れがつかみやすくなります。
物語文の読み方についてくわしくはこちらの記事をどうぞ↓
長い文章でも、ずっと大切なことが書かれているわけではありません。
大切なところを注意深く読む、そうでなさそうなところは駆け足で読む。
このように緩急をつけて読むことによって、読むスピードが上がります。
解くために読む
入試やテストでは、得点を取ることを目的にして読まなければなりません。
つまり、ただ漫然と読むのではなく、「解く」ために読むというわけです。
もちろんさきほど紹介した文章の「型」を知っているだけでも、解きやすくなります。
出題者にとっても、「型」が使われているところを出題しやすいからです。
文章を理解していると、解きやすいのは確かです
また、「解く」テクニックも、しっかりと知っておく必要があります。
まずは、設問で問われていることに対して、正しく答えることが求められます。
たとえば、
(1)ー線①「今の田中の気持ち」がわかる1文の初めと終わりの5字を抜き出しなさい(ただし、句読点も1字に数えます)。
(2)ー線②「それ」の内容として、適切でないものを記号で選び答えなさい。
(3)ー線③「田中は泣いた」のはなぜですか。30字以内で書きなさい。
よくある設問ですが、国語が苦手な子は、問われていることを無関係なことを答えていることがよくあります。
本文中に答えがあるのに、「なんとなく」や「思い込み」で答えを探してしまっています。
そうではなく、「解く」ために読むとこうなります↓
(1)「今の田中の気持ち」がどこに書かれているか、探しながら読む。
(2)「それ」の内容について、文章と選択肢を照らし合わせながら読む。
(3)「田中は泣いた」理由を探しながら読む。
そうすれば、漫然と読むよりも、理解も深まり、問われていることに対して正しく答えやすくなります。
また、「設問」を正しく読むことも必要です。
国語が苦手な子は、設問を読み飛ばしたり、適当に読み流したりしていることが多いです。
さきほどの例であれば、
- (1)1文の初めではなく、文の途中を抜き出している。
- (1)句読点を1字に数えず書いていない。
- (1)抜き出しなのに、勝手にアレンジしている。
- (2)「適切でないもの」を選ぶのに、「適切なもの」を選ぼうとしている。
- (3)「なぜ」と問われているのに「から。」で終わっていない。
- (3)まったく関係ないことを書いている。
という間違いをしてしまいがちですよね。
せっかちな子あるあるやな
設問には、大切な条件・ヒントが書かれています。
その設問で求められていること、問われていることを、文章から探す。
つまり、「答えの根拠を探す」・「解く」いう目的を持つことで、効率的に文章を読むことができますね。
タイムプレッシャーをかける
また、読解問題を解くときには、制限時間を設けることも大切です。
制限時間がないと、だらだらと時間をかけてしまい、スピードも上がらないでしょう。
たとえば、「見開きの読解問題なら16分」というようにタイムリミットを設定します。
短すぎず長すぎない時間を、見つけてみましょう
タイムプレッシャーをかけることによって、スピードも上がります。
人間やはり追い込まれることによって、力を発揮しようとしますよね。
また、時間が無制限のテストや入試なんて存在しません。
テストは常に時間との闘いです。
練習の段階から、時間を意識して読み解くトレーニングをしておくことは大切です。
もちろん焦り過ぎて、読み方が雑にならないように気を付けましょう
速読のトレーニングをする
また、速く読むトレーニングをして、読むスピードを引き上げるという方法もあります。
いわゆる「速読」トレーニングですね。
たとえば、中学受験専門 速読解力講座というオンライン教室では、読んだ文字を速く処理し、速く解くためのトレーニングが用意されています。
中学受験専門 速読解力講座
- 速読力トレーニング
- 読解力トレーニング
- 脳力トレーニング
- 教科トレーニング
教室に通うわけではなく、自宅でオンラインの速読トレーニングできます。
「速読解力講座」についてはこちらの記事をどうぞ↓
もちろん「速読=即成績アップ」ではありません。
速く読めるようになれば、解くことや考えることに時間を使うことができ、結果的に成績アップにつながるというのが正しい考え方でしょう。
- 選択肢の見極め
- 抜き出す言葉を文章中から探し出す
- 記述答案を整える
読む速度を上げることで、答案を作る精度も上がるでしょう。
入試まで時間の余裕がある場合には、速く読み解くトレーニングをするものおすすめです。
首都圏の中学受験向けの講座です。
全国向けにしてほしい講座ですよね
速読教室を併設している塾もあるので、お住いの地域で探してもいいでしょう。
まとめ:国語の読解スピードを上げる8つの方法
今回の記事では、速く読むための方法を紹介してきました。
読むスピードが遅いのは、いろいろな原因が重なり合っていることが多いでしょう。
読むスピードを上げるのは、一筋縄ではいかないとは思います。
すべてを取り入れる必要はありません。
もし使えそうであれば、1つでもぜひふだんの読解トレーニングに取り入れてみてくださいね!